うなぎちゃんとカチューシャ23
例の事件から2週間程過ぎた。
元気に振る舞っているものの、私には分かる。
あのみうなは、しょんぼりしているのを紛らわしている時の顔だ。
うな重が居なくなってから、ずっとこの感じなのだ。
今日も夏休みの出校日だったのだが、ずっと心ここにあらずといった感じだ。
さらにはあの日以来、みうなはカチューシャを着けていない。
何か思うところがありそうだが、私は未だに聞けずにいた。
「今日もいい天気だね~、ヒロちゃん」
元気よく跳ねるが、いつもよりジャンプの高さが10センチ低い。
空元気な証拠だ。
「そうだね、みうな」
その心配を気取られないよう私は返事した。
うな重が戻ってくるのかすらわからない、そんな状況ではうな重の話題は私の中で禁句となっていた。
「あれ」
みうなが家の少し手前で足を止める。
「どうしたの、みうな」
私はみうなと共に足を止め、みうなの見つめる先を見た。
「女の子がこっちを見てる」
みうなが見ている視線の先には、確かに女の子が居た。
見た感じ小学校低学年といった所か。
ここらでは見ない子だ、服も今風の和装?
「誰だろう」
私はそう言ってみうなと一緒にその子の方へと向かう。
すると女の子の方から声をかけてきた。
「ぉお、待っておったじぇ」
じぇ?どこかで聞き覚えのある話し方だ。
そんな疑問を抱いていると、再び女の子が話し始める。
「いゃ~、ずっと待っていたら喉が乾いたじぇ」
「アレは無いのかじぇ?」
アレとは何だろうと思ったら、みうなが何かを察したように懐から何かを取り出した。
「ぉお!これじゃ、これ」
そうみうなが取り出したのは、
「蒲焼きのタレ!」
ここで私も何かを察したが、確信が持てずにその女の子の挙動を見つめた。
ゴクゴクっ!
その女の子は蒲焼きのタレをまるでお風呂上がりのフルーツ牛乳の様に飲み干す。
「ぷふぁぁあぁっ!」
その言動に私とみうなは目が離せないで居た。
来るのか?あれが、
私がそう思った矢先、
「うまい!うまいのじゃ!」
その女の子が叫ぶ。
その言葉にみうなが目を輝かせて叫んだ。
「……うな重!?」
その女の子はニヤリと不敵に笑うと、頭からヒレなのかリボンなのか分からない物がニョキッと生えた。
よく見ると尻尾らしき物も生えている。
すると手に持った蒲焼のタレを目の前に突き出し
「やっぱり蒲焼きのタレは最高なのじゃ!」
私達に向かってそういい放った。
ぁあ、見た目はかわいらしいが、このふてぶてしい笑顔にこの言動。
この子は間違いない、完全にうな重だ。
私とみうなはみうなはそう思った。




