うなぎちゃんとカチューシャ21
「神様にお願いしたんだ」
「あと鰻も大好きって」
みうなのその台詞に私は思い出す。
「合格発表後、高校入学前にお詣りをしていたらうな重が落っこちて来たっていうあれか!」
「二人とも同じお願いをしていたんだね~」
みうなが照れくさそうに頬を赤らめて話す。
なんだか色々とあったが、そのかわいらしい顔で全部許せる気がしてきた。
「なるほど、その二人分の想いがカチューシャに込められていて」
「一緒に居たいという念が歪曲されて、鰻である姫様を引き寄せて離れなくなっていたという事なのね」
寝ているうな重を持つ摩夜さんが冷静に分析している。
「じぇじぇじぇ!」
そんな話をしていると、うな重が目を覚ます。
「あれ?歩けないじぇ?」
カチューシャが無くなり、鰻だけの姿になったうな重が体をくねらすが歩くことが出来ない。
まぁ、鰻が歩いているという時点でおかしかったので今が普通とも言える。
ピチピチ
「じぇじぇ~!」
「お勉強やだじぇ!逮捕されるのも嫌じゃ!」
うな重が摩夜さんに捕まれている事に気付き、再び叫ぶ。
「姫様……落ち着いて下さい」
「勉強はともかく、逮捕はされませんよ」
摩夜さんはヌルヌルの鰻を手慣れた様子で持ち、うな重に静かに話しかける。
「ぇ、そうなんだじぇ?」
「でもさっき逮捕されるって……」
うな重が摩夜さんを警戒しつつ喋る。
「姫様が手続きも無く不法入国したので」
「私が機転をきかせて短期観光ビザの手続きをしておきました」
摩夜さん若干怒っている気もするが、態度に出さないようにしている感じだ。
「……ただ」
摩夜さんがそこまで言った時にうな重が反応する。
「ただ、なんだじぇ?」
「急遽取得した短期ビザですので今月中で期限が切れます」
摩夜さんは静かなトーンで話す。
「き、切れたら……どうなるじぇ?」
うな重が恐る恐る聞き返す。
「逮捕です」
摩夜さんが喰い気味に返答する。
眼鏡が光って怖い感じになっているのがちょっと面白い。
「やっぱり逮捕されるんだじぇ~!」
抵抗むなしくうな重がピチピチ動く。
「だからビザが切れる前に帰りますよ、姫様」
摩夜さんがうな重をなだめるように話す。
「逮捕はやだじぇ……」
うな重は観念したようで、うなだれるように喋る。
「……うな重帰っちゃうんだ」
今までの話を静かに聞いていたみうなが、そっと口を開いた。




