うなぎちゃんとカチューシャ18
「王子さまの目覚めのキス」
眠ってしまっているお姫様に王子様が目覚めのキスをする。
小さい頃とかに読んだ絵本の童話などでよく出てくるシチュエーションである。
「ぇ、でも王子様なんて何処にもいないよ」
私は辺りを見回しながらピンと来ていない顔で魔女さんに返を事した。
そんな私を見て魔女さんはニッコリ微笑む。
すると摩夜さんが口を開く。
「鰻木みうなさん」
「貴女ですよ」
「……?」
未だに理解できずに文花ちゃん達の方を見る私。
すると文花ちゃんが少し照れ臭そうに口を開く。
「……みうなちゃんが……王子様ってことかな」
その答えに思考が追い付かなかった頭が、少しづつ状況を理解し始める。
「ぇ」
「ぇえええええええええ!?」
「私が王子様!?」
さっき魔女さんが、私の力が必要って言っていた。
私が王子様って事になるって事は、あの、その、
「私が、私が王子さまのアレを!?」
「私がヒロちゃんに王子様のアレを!?」
そんな動揺している私を見て魔女さんは、ニッコリ微笑んだ後に静かに頷いた。
「ぇええええええ!?」
自分の顔は自分で見ることは出来ないが、真っ赤になっているのは自分でもわかる。
確かにさっきの私はヒロちゃんを助けられるなら何でもするって言ったけど、
ヒロちゃんにそういうことするのは嫌じゃないけれど、
むしろしてもいいと思っているけれども、
真っ赤になっているであろう自分の顔で眠っているヒロちゃんを見つめる。
呼吸が浅く血色も悪い。
このままだと危ないとも言っていた。
迷ってなんかいられない、
照れてなんかいられない、
ヒロちゃんを抱き抱えた状態で私は意を決して、周りに居るみんなを見る。
魔女さんは笑顔で頷く。
摩夜さんは真剣な顔で頷く。
文花ちゃんは照れくさそうに心配した顔で頷く。
嬢子ちゃんは眼をキラキラさせて期待の眼差しで頷く。
「私はヒロちゃんを助けたい!」
そう言ってヒロちゃんを見つめる。
いつも一緒にいてくれるヒロちゃん。
いつでも私を笑顔にしてくれるヒロちゃん。
そんな大好きなヒロちゃんを助けたい。
私はそっと目を瞑り、ヒロちゃんに顔を近付ける。
目を瞑るとよくわかるヒロちゃんの浅い呼吸。
それがだんだんと近づく。
ほんのり体温が感じられる程に近づくと、私の口が何かに触れる。
それは王子様の目覚めのキス。




