うなぎちゃんとカチューシャ17
「……深淵の魔女」
静かにこちらに向かって歩いてくるのは商店街にある老舗喫茶店、魔女の森のマスター通称魔女さん。
「まさか貴女がこんな所に居るなんてね」
驚いているが冷静な顔で摩夜さんが話す。
「それはこちらの台詞ですよ、摩夜さん」
「それにこれは一体どういう状況ですかね」
「説明してもらえますか」
魔女さんが静かに微笑みながら摩夜さんに話しかける。
「え、魔女さんって摩夜さんと知り合いなの?」
嬢子ちゃんが驚きながら質問する。
「ぇえ、まあ昔一緒に仕事をしたことがあるって所かしら」
「貴女のことだから、おおよその状況は把握しているんでしょう?」
摩夜さんがそう言って魔女さんの方を向く。
「ふふっ、そうね」
魔女さんは静かな微笑みのまま、私とヒロちゃんの側に近づく。
「呪いに当てられて目が覚めない、と言った所ですかね」
魔女さんがひざまずき、ヒロちゃんの様子を見て話す。
「私は治癒と補助は得意ではないけれど、深淵の魔女あなたならこういうことは得意でしょう?」
摩夜さんが魔女さんに向かってそう言った。
「魔女さんなら、ヒロちゃんを治せるの?」
私は心配そうな顔で問いかけた。
「……」
「……これは、私にも無理ですね」
魔女さんが静かに立ち上がりそう言った。
「ぇっ!?」
「そんな!」
私達はそれを聞いて絶句する。
「ヒロちゃんは、ヒロちゃんはこのままどうなっちゃうの!目が覚めないままなの?」
私は捲し立てるように叫んだ。
「助ける方法ならあります」
魔女さんが呟く。
「ぇ!それは?」
私は喰い気味に問いかける。
「ふふっ」
魔女さんは微笑んだあとこう続けた
「それはあなたの力が必要なの、鰻木みうなさん」
「私の……?私が出来ることなら何でもする!」
「何をすればいいの!?」
私はヒロちゃんの為なら何だって出来る。
私はヒロちゃんを助けたい!
「先程の刀捌き、見事でしたけどそれを産み出したあなた本来の力」
「癒しの力を使うの」
魔女さんは私を笑顔で見つめてそう話す。
「癒し……?まさか」
文花ちゃんが何かに気付いた様に喋り始める。
「特定保健用食品としての力に目覚めたという事!?」
「そんな感じですかね」
微笑みながら魔女さんは私を見つめた。
癒しとか力に目覚めたとかは正直よく分からない、
でもヒロちゃんを助けられるなら!
「私は何をすればいい?何をすればヒロちゃんを助けられるの!?」
私は魔女さんに問いかけた。
「呪いで眠りについたお姫様を目覚めさせる方法は」
「昔から決まっていますよ」
魔女さんはニッコリ微笑んで私を見る。
「……方法って?」
ピンと来ていない顔をして問い返した私に、魔女さんは一言。
「王子さまの目覚めのキス」




