第9通 ティータイム
悠平が甘いもので気をまぎらわせている事は以前述べた通りだが、それを取りすぎてはいけないので、10時と15時にティータイムとしてコーヒーや紅茶と一緒に少量のお菓子を食べていた。悠平はそれを楽しみにしていた。
入院食では成人の口を満足させられなかった。昨今の入院食はかなり美味しくなっているとは言え、この病院の入院食はあまり美味しいとは言え無かった。
それでも美代子が持って来るスイーツがあったため、我慢出来ていた。美代子は悠平が入院してから時間の融通の利くパートに出る様になっていた。経済的には悠平のこれまでの貯蓄と自分の蓄えが合計で800万円程はあったため、当分の入院費用は何とかなっていた。
悠平の許可なしに美代子はパートに出ていたが、直ぐに悠平にばれていた。それからは悠平の了解を得て月約10万円程を稼いでいた。
「あんまり無理するなよ?」
それが悠平と美代子の合言葉であった。
我が子へ 其の九
ティータイムは大切にしよう。そんなこと元気に働いていた頃は考えもしなかった事だな。寧ろ、ティータイムなんて西欧かぶれだなんて思ってた父さんが、今じゃそのティータイムを楽しみに生きているんだから驚きだ。まぁ、ティータイムに限らず小休憩と言うのは大切だ。母さんも弁当屋でパートに出始めたんだけど、あまり無理しない様に言ってある。母さんは母さんで、頑張り屋さんだからな。全ては父さんが病気になってしまったせいで、母さんの人生まで狂わせてしまったかと、罪悪感を覚えた事もある。でも、もうなるようにしかならないと諦める様になってしまった。