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宣告-SENKOKU ~余命宣告を受けた父から愛する家族へ贈る365通の手紙~  作者: 佐久間五十六


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第8通 ノートとペン

 「美代子、ノートとペンを頼む。」

 それはボーッと考え事をしていた美代子をハッとさせた。

 「何に使うの?」

 美代子は悠平に聞いた。

 「絵を描こうって思ってな。」

 一応主治医に確認して、病院の売店でノートとペンを購入して、悠平に渡した。するとそれを受け取った悠平は、プロのペン彩画家のようなタッチで、東京タワーを書き上げた。

 「どうだ?上手いもんだろ?」

 悠平はどや顔で美代子に聞いた。

 「どこで身に付けたの?そんな芸?」

 「芸とは何だよ?まぁ、イラストレーターの仕事していた事もあったかりね。」

 ノートとペンのお陰で、久しぶりに夫婦の間で明るい会話のキャッチボールのやり取りが出来た。それからは毎日、悠平は美代子の出すお題の絵を描く事になる。悠平は手紙に添える絵として、この特技を使おうと考えてやっていたのであるが、美代子には突然の事で本当に驚いていた。昨日までの悠平とは表情が180度変わっていたのである。いつ終わるか分からない闘病で悠平は足跡を残す手段を考え出した事は、素晴らしい事であった。


 我が子へ 其の八

 父さんは絵が得意だった。だから美術の時間は父さんにとっては、運動が得意な奴が体育の時間を待ちわびるのと同じ心境であったのだ。絵や芸術の才能があるからと言って女の子にモテる訳じゃないけど、それでも自分の絵を見て拍手したり会話の的になっているのを見ると嬉しかったし、それは才能だと思っていた。自分が苦しい時も絵に助けられた事は何度もあったし、今だって助けられてる。だからお前も何か夢中になれるものを探して欲しい。きっと何か見つかるはずだから。

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