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第7通 アルバム

 悠平は美代子に持って来てもらったアルバムをじっくりと眺めていた。10年前に付き合い出してから撮り貯めた写真の数は約1000枚にもなっていた。

 一ページ、一ページ思い出を振り返りながら、自由なあの頃に戻りたいと、嘆いているところであった。

 抗がん剤の投与を止めてから初めての検査日。ガンの進行速度は大して変わりはなかった。とは言え、着実に死への階段を昇っていた事には変わりはなかった。

 アルバムでも見ていれば、気が紛れるかと思ったが逆効果であった。その日の内に美代子に全部持って帰ってもらった。悠平はそれからただひたすら、窓の外を眺めていた。

 何をするでもなくボーッとしていた。そうしていれば、直ぐに死ねるかも。そんな無気力に近い状態になってしまった。そんな悠平に美代子もどんな言葉をかけてやれば良いのか分からなかった。主治医にも相談したが、具体的な事は言わず、悠平が何かしたくなるのを待ってみようと言われた。美代子はそんな無気力な悠平を見ているのが辛かった。


 我が子へ 其の七

 何か出来る事はないか。そう思っても病院のベットの上じゃ、限られてしまうよね。仕方無い事も分かっている。このまま死んだって何も残せていない事くらい。俺にはクリエイティブな才能は何もない。でも手紙なら残せる。だから何があっても書き続ける。それしか今の俺に出来る事はないから。ここでは嘘つかない。それは普段嘘をついているとか、そう言う事じゃないけど、ごまかしている事はあるから。未来の我が子が読むであろうこの文章にはごまかしや嘘は書きたくないから。ただそれだけ。

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