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宣告-SENKOKU ~余命宣告を受けた父から愛する家族へ贈る365通の手紙~  作者: 佐久間五十六


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第120通 ライスケーキ

 子供の頃から正月の餅とバースデーケーキだけは欠かした事は無かった。それくらい餅が好きだった。雑煮にいれるのもきな粉にまぶすのもあんこをつけて食べるのも好きだった。

 入院中に迎える事になった正月も美代子にこっそり差し入れて貰って食べた。これでまたひとつ死んでも良いと口には出さなかったけれども内心思う所はあった。好みが意外と和に近い所はいかにもお坊っちゃまらしい所である。

 入院生活も4ヶ月を越えて来たが悠平の体調は特段の変化は無かったものの、悠平のガンの進行は進んでおり、これからも緩やかに悪くなって行けば良い方で、急激に進行する最悪のシナリオだけは避けたい。

 ただ、今の所悠平にその兆候は見られなかった。どんな名医でもガンを100%治療するのは、現代医学では困難な事であった。死に至るまで進行するのを押さえ込む事は出来てもそれは大変なリスクを伴うものであった。悠平はその選択肢を選ぶ事は無かった。


 我が子へ 其の百二十

 ライスケーキは良いぞ。え?何の事かって餅だよ、餅。日本人なら食べておきたい正月の風物詩の食べ物だよ。俺の子供ならきっと大好きなはずだと思うが、好きなものがあるのは良い事だ。それが生きる目標になる時もあるからそう言うものは大切にした方が良い。あれをやるため、食う為生きている。それでも充分じゃないが、生きるのが大変な時代だからこそ目標を持って生きる事は必要な事である。それが分かる時がいつかきっと来る事を父さんは信じている。

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