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宣告-SENKOKU ~余命宣告を受けた父から愛する家族へ贈る365通の手紙~  作者: 佐久間五十六


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第17通 お金よりも大切なもの

 数年前までは面白いように収入が伸びていた。それとは反比例して悠平は美代子と過ごす時間が減っていた。そうすると不思議なもので、夫婦仲と言うものは冷めやすいかと思えば互いを信頼して温まるものであった。熱しやすく冷めやすい、その字のごとくであった。

 しかし、ある時を境にして悠平の考えは変わる。2年程前体調を崩した時の事であった。無理に出社しようとして、通勤途中で倒れて救急車で運ばれ2、3日入院するという事があった。その間ずっと看病をしてくれていたのは妻であった。大した病気ではなく、過労が原因だったにも関わらず。

 その美代子を見て思った。金を増やす事ばかり執着していたが、そんな事よりも自分の側にいてくれる美代子を大切に出来ないなんて、男として失格だ。

 お金よりも大切な事に気付いたから今がある。それが分かっただけでも、成金拝金の醜い悠平にならなくて済んだのである。


 我が子へ 其の十六

 父さんが一番大切なものは思い出だ。過去の積み重ねが今ならその今を形成しているのは、思い出のピースなんだ。お金や財産なんてものは、その思い出作りに協力してくれる便利な対価みたいなものであって、父さんそれを集める事に集中し過ぎて物事の本質を見失っていた。お前には父さんが歩んだような道を行って欲しくない。どんな道を選択するかはお前の自由だが、一番大切な事は何か考えて欲しい。自分にとって大切な人は誰だ?まず真っ先に思い浮かぶ人。それがお前にとって大切な人だ。それを忘れて欲しくない。

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