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宣告-SENKOKU ~余命宣告を受けた父から愛する家族へ贈る365通の手紙~  作者: 佐久間五十六


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第14通 レントゲン

 入院した時以来CTやレントゲンをとって来た。ガンは確実に進行しているであろうと思ったが、結果は特に変わりはなかった。胃ガンのステージ3だ。

 悠平はそれに関しては特にショックを受けていなかった。良くなる見込みがほとんどない治療程残酷なものは無い。それでも下を向かず前を向いて行こうとしていた悠平は立派であった。

 美代子も無理をしない程度に悠平を支えた。二人は病気になる前よりは裕福な暮らしは出来なくなっていたが、その豊かさと引き換えに家族の絆と二人の愛の深さと言うかけがえの無いものを手にしていた。

 それは何物にも変えがたいものであった。今日の検査の結果がなんだ。明日明日死ぬ訳じゃない。それに治るかも知れないじゃないか。悠平はそんな気持ちになっていた。

 先の見えない闘いと言う物に対して、大抵人間は未来を描く事が得てして苦手であったが、悠平は先が見えないなら見えないなりに工夫をする事の出来る人種であった。

 今日はどんな楽しい事が待っているかな。明日はどうかな?そうやって1日1日を大切にする感情が出て来た事は悠平にとって嬉しい事であった。


 我が子へ 其の十三

 レントゲンって言う人が開発したから、レントゲンって言うんだよ。この世界にあるものは、発見した人や開発した人の名前がつけられている事が多い。きっと新たに考えてつけるよりそっちの方が手っ取り早かったからなんだろうね。お前も勉強が好きだったら、学者を目指すのも悪くないかもな。まぁ、父さんの子供だから勉強は嫌いだと思うけどな。何か歴史に名を残す様な人になって欲しいと思うなんて、これはもう完全に親バカだな(笑)。

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