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有名ステルスアクションゲームの炎上その1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・企業・宗教・人種・商品・事件・出来事などとは一切関係ありません。

また、特定の思想や宗教などを押し付ける意図もありません。

あなたの感想はあなただけのものです。

一本木いっぽんぎくん、今話題になっているゲームをご存知かね?」


 そんな大仰な感じで話題を投げかけてきたのは、主任のココロさんだ。

 俺はツーブロックの刈り上げたばかりの後頭部を抑えながら、疲労に喘いだ首をぐるぐると回していた。


「なんのことですかね。自分、そういう……SNSみたいのは全然見ないんで……」


 俺がそう答えると白衣に袖を通したココロさんがくるりと椅子を回転させた。

 そして、火のついたタバコをこちらに向けながら不敵な笑みを浮かべる。


「そう、ザッツライト! 某社が制作した大人気ステルスゲームシリーズの最新作だ」


 一体全体、今のやり取りの何がどうして「That's right!(その通り)」なのかは地球上の誰にもわからない。

 だが、この人の一挙手一投足を気にしても意味がないのだ。

 無駄に反論して深夜までお説教をされるのはゴメンなので、俺は不満などおくびにも出さないふうに「はい」とだけ返事をした。


「このゲームが最近、炎上していてね。……わかるかい、炎上」


 コツコツと靴を鳴らして、ココロさんがテクテクと歩く。

 その仕草はいつもどおり芝居がかっていて不敵な仕草なのだが、いかんせん彼女の身長が小さすぎてごっこ遊びのように見えてしまう。

 ……なんてことはやはり口に出すわけにはいかないのだが。


「……炎上。主任が好きなやつですよね」


 ココロさんは名前で呼ばれるのを好まない。だからいつも役職で呼ぶのだ。

 女性らしい可愛らしい名前なのが気に入っていないらしい。以前、もっと中性的な名前だったら良いのにと愚痴っているのを聞いてしまった。

 確かに、温森ぬくもりココロという名前はほんわかしていて可愛らしそうなイメージを抱く。

 名前だけなら、そういう感想を抱くのだが、本人にはそういう一面は欠片も見当たらないのが哀愁を誘う。


「その通りだとも! よくわかっているじゃないか一本木くん!」


 ツカツカと俺に歩み寄りバシンと肩を叩いた。

 そのあとちょっと涙目で手を振っていたのは筋肉が硬すぎて痛かったからだろうか。

 普通にしていたはずなのだけれども。


「……ッ、我々は炎上案件専門のジャーナリストだからね。いつも通り取材に行ってもらいたいんだ。お願いできるかい、一本木くん?」


 ……疑問形ではあるが、どんな真っ当な理屈を持ち出そうと、俺の取材は確定している。

 この事務所で働き始めてまだほんの少ししか経っていないが、その程度にはココロさんを理解している。


「わかりました、行ってきます。いつも通り領収書も持って帰りますね」


 そう言うと、ココロさんは満足そうに頷いてタバコを口にくわえる。

 「あとアカマルも頼む。もちろんボックスで。あ、カートンで買ってこいよ! 忘れるなよ!」と余計なおまけまで頼まれた。

 タバコばかり吸ってると背が伸びないぞ、とはさすがに言わなかった。……まぁとっくに成長期も過ぎてるだろうしな。


――


 そんなこんなで俺はビジネスバッグにタバコのカートンを突っ込んだまま電車に乗り込んだ。

 昼下がりの車内は空いていたので、広い椅子のど真ん中にドサッと腰を下ろして一息ついた。

 考えるのは取材するゲームの話題だ。

 どうやら最近発表されたばかりのゲームで、シリーズは累計一千万本以上も売れている大人気シリーズらしかった。

 これほど大人気のゲームが炎上するなんて珍しいなと、情報に疎い俺でも思ったほどだ。


 トピックスを眺めると黒人侍に批判殺到! と書いてある。

 (弥助、……って誰だろ?)さすがに架空の人物だろう。

 戦国時代に黒人の侍なんているはずもないし。

 俺はそんなことを思いながら車内のクーラーで身体を冷やしていた。


 電車を降りると、途端に蒸し暑い空気に辟易してしまう。

 俺はタオルハンカチで額の汗を拭きながら、スマホの地図とにらめっこする。

 どうやら着いたらしい。

 眼の前の立派なビルに目的の人物はいるらしい。

 俺は入口を探して右往左往していると、トントンと肩を叩かれる。


「そのデカい図体、あなたが一本木くんですね」

「あ、はい。フォレストブリーズ所属の一本木と申します。あなたは……?」

「遅れまして失礼しました。わたくし、あなたの取材を受ける佐村井さむらいです」


 キョトンとしている俺に佐村井氏が告げる。

 「あと、約束していた会議室は隣のビルですよ」とにこやかに告げる。

 指さされた先には、まず視界にも入らないようなこじんまりした建物が建っていた。


 通された貸し会議室は意外と綺麗な内装をしていた。

 「穴場なんですよココ。安いし、設備も良いし」

 佐村井氏は慣れた手つきで天井から巻取り式のプロジェクタースクリーンを引っ張り下ろす。

 映し出されたのはさっき電車で調べた際にも出てきたPVの映像のようだった。

 「まぁ、まずは例のPVから一緒に見ましょうか」、そう言って佐村井氏はリモコンを操作した。


 荘厳な音楽、綺麗なグラフィック、最近のゲームは映画さながらの技術力を持っているなぁと感心しながら俺は映像を見つめていた。

 そして、女性主人公が出てきたあとに、登場するのは黒人の甲冑姿の侍。

 そんな人物がいるわけないので、まぁフィクションなんだろうと思うことにした。

 まぁ、同じ侍なら日本人の侍を見たいというのが個人的な感情だが、全世界で売るゲームだし、日本人特有の感情なのだろうか。

 そして映像が盛り上がると弥助は金棒を持って敵の侍を殴り倒してゆく。

 (う~ん、これ侍なのかなぁ……?)と思いつつも、まぁ海外制作のゲームらしいし、突っ込むのも野暮なのかもしれない。

 俺は黙って映像を見続けた。

 そして、最後に女忍者が敵を仕留めるシーンで映像は終了した。

 佐村井氏は眼鏡をクイッと上げると照明を明るくする。

 俺は明暗に馴染めない目をシパシパさせながら、佐村井氏を見返した。


「どう感じましたか?」

 「えっと、そうですね……」俺は言葉を選びつつも先程見た映像を思い返していた。

「なんていうか、黒人の侍って違和感ありますね。コスプレっぽいと言うかなんというか……」

 その返答に佐村井氏は「ふ~む」と案じるように顎をさすっていた。


「まぁ、知らない人は知らないでしょうが、弥助という人物は実在したアフリカ系の渡来人なんですよ」

 歴史の授業では習わなかったなと思いつつ、そもそも日本史にどれだけの武将がいると思っているんだと、自省した。

「ですが、歴史に語られる弥助は一介の刀持ちに過ぎません。侍などではありませんよ、少なくとも侍として刀を振るったという史実はありません」

「そうなんですか。じゃあフィクションってことなんですね。けど、それって炎上するほどのことなんですか?」

 俺がそう訊くと、佐村井氏は呆れ顔で笑っていた。

「もちろん、それだけではそれほど炎上はしなかったでしょう。世界中の多くの人は日本人の侍になりたかったし、日本人の忍者になりたかった。まぁ、もう一人の主人公として女忍者はいますが……。とにかく、ゲームの中でそういう体験をしたかった、そういうゲームを求められていたという事実は無視するとしても、ここまでの炎上騒動にはならなかったことでしょう。……そう、問題はそこじゃないんです」

 ……俺は佐村井氏の言葉を待った。


「それでは、2つ目のPVを見てもらいましょうか」

 と言うと、おもむろにリモコンを操作する。

 映像を見つめながら、佐村井氏は続ける。

「ここで話題に上がったのは歴史考証の浅さです。四角い畳、桜の咲く季節に田植え、田植えを眺める弥助が何故か豊作だなと発言する、黒人の侍が甲冑姿で町を練り歩く様子を恐れもしない町人たち、荒くれ者を金棒で殴り倒し顔面を粉砕する弥助、流れ始めるHIPHOP音楽……」

 ひとつひとつの要素はささやかな違和感でしかない。

 だが、外国人が作成しているゲームだと聞くし、こんなものではないだろうか。

 たまに耳にするものだ。

 外国人が思う日本人の偏見のようなものだろう。

 曰く、日本人はお辞儀をして挨拶をして、土下座で謝る。どの家庭にも畳があり、家族揃って和食をいただく。非礼を詫びるなら切腹をして、戦うときは日本刀で戦う。お城には忍者がいて、庭には枯山水がある。

 ……そんな想像をしているのだろう。

 そう考えればこういった間違いは仕方ないのではないだろうか。

 俺はそんなふうに感じていた。

 佐村井氏はそんな俺を見て、小さく頷いた。そこまでの前提は、お互いの共通認識のようだった。

 ならば一体、何が問題なのだろうか。


 佐村井氏は映像が終わるとまた照明を点ける。

 そして眼鏡をスチャっと持ち上げた佐村井氏。

「これらがフィクションであるという前提であれば、まぁ許せたかもしれません。しかし彼らはこれを歴史を再現したと告げた。日本の歴史に詳しい人も楽しめる内容になったとかなんとか。歴史に残る伝説の侍弥助という煽り文句まで出てくる始末。歴史的表現に定評があるシリーズだったのにも関わらず、今作はあまりにもお粗末だ。炎上を受けて日本版では文章を修正しましたが、海外版は相も変わらず伝説に残る黒人侍のままです。その場しのぎで誤魔化す気しか感じられませんよね」

 佐村井氏の語調が強まる。

「数人の日本の歴史に詳しい専門家を雇っているとはいうものの、PVで既にこれだけの間違いがあるというのにその考証に如何ほどの価値がありますか? ましてや彼らはインタビューでとんでもない発言をしている」

 佐村井氏は握り拳を作った。

「私達の目になれる人物を探していた、それが弥助だと」

 その眼には強い怒りを感じた。

「つまり彼らは最初から日本人を主人公にするつもりはなかった。弥助に関心があるわけでもなかった。ただ日本の歴史にアフリカ人がいた。ただそれだけの理由で彼を起用したに過ぎない。近年騒がれているポリコレ、政治的妥当性ポリティカル・コレクトネスに配慮して黒人を主人公にしたという訳だ」

 そこまで断言できるのだろうか。そう思わなくもない。だけど……

「言い換えれば彼らは日本の歴史に興味なんて微塵もない。敬意すら払っていない。捉えようによってはアジアへの差別と言っても良いでしょう。日本人になんて感情移入できるわけがない。暗にそう言っているようには聞こえませんか?」

 俺は黙ってその言葉を聞くことしかできなかった。

「これだけの問題を我々が訴えても彼らは謝罪など一つもしない。それどころか我々の作るゲームを批判する奴らは差別主義者だなどと宣っている」

 状況が、追えない。

「彼らは何も理解していない。あるいは彼らは大きな誤解をしている。日本の歴史すら自分の手のひらの上で形作れるのだと、そんな思い違いをしている。インタビューで彼らは言ったよ。歴史の空白を私達のストーリーで埋めた。なんて浅はかなんだ」

 痛々しい横顔を見せる佐村井氏。

「彼らは彼らの罪を何一つ理解などしていない。差別というものは最初、無意識から生まれるものだ。それを彼らが証明してくれた」

 日本に興味がない。それが全ての発端なのだろうか。わからないけれど、否定もできないように思う。

「アジア人が差別されているんですよ、だから日本の文化にも興味を持たない。考証もテキトーだ。そして空白を私達のストーリーで埋めた! ……素晴らしい思い上がりだとは思いませんか? 発売中止を求める署名も始まっているそうですね。コンセプトアートはAIの使用疑惑もでていますし、指摘されたらサイレント削除を行ったそうです」

 更に佐村井氏は不満を吐き出す。

「字幕には中国語字幕を使う! 声優を無料で雇おうとする卑劣なコンテストまで行っている。コンセプトアートにはガードレールが描かれているそうですね、他にも著作権や権利的に怪しい画像がたくさん含まれていました。実在の団体名が入った背旗も描かれていました。当時存在したはずのない団体名なのに。見てください、仏像なんて鏡写しですよ。右手と左手で意味合いはまったく変わってしまうというのに。仏教徒だったら絶対に間違えませんよ。こんなものが初回限定ボックスには付いてくるそうですよ。とんだお笑い種です」


 あまりの情報量に俺は時間をかけて話を精査する必要を感じていた。

 というか一流の企業がそんな炎上案件を連発しないでほしい。

 まずは弥助という人物。

 彼は実在した人物らしい。

 安土桃山時代に実在した歴史上の人物。

 イエズス会の従者として連れてこられたらしい。

 この時点ではかなり低い身分だ。

 当時の日本情勢に詳しい訳ではないが、それほど低い身分で刀を持つことはできないだろう。

 ここの大前提は、向こうの某有名ゲーム開発会社も理解しているはずだ。……はずだよな?

 少し不安もあるが無視して進めよう。


 そんな彼が天下の織田信長に気に入られて刀持ちとしたらしい。

 その際に刀(いわゆる脇差しと言われる小さい刀)を与えられたという話があるらしいので、そこを拡大解釈して侍ということにしたのかもしれない。

 だがその期間は一年程度と短く、とても剣術を教わったとは言えないだろう。

 また、名字も残されていないことからも、侍や武士として生きたかと言うと、疑問が残る。

 そして、有名な本能寺の変。

 ここで彼は討ち取られなかったらしい。

 戦いに参加したとは書物には記されているものの、黒人は日本人ではないため殺されなかったらしい。

 もし一端の侍であったなら敵として処理するはずなのに、である。

 なので状況証拠だけで言えば弥助は従者でしかなかったという話になる。

 とはいえ、問題はそこではない。

 問題はあまりに歴史的史料が少なすぎるということだ。

 そもそも歴史書に1ページ程度しか名前が存在しない人物なのだ。

 だからこそ「空白を私達のストーリーで埋め」させてしまうことになる。

 だがそれは、そこまで行ってしまえば史実ではない。フィクションだ。

 それを知っている者たちは、このゲームのPVを見てどう思うか。答えは明白だ。

 フィクションならば許される。だが、史実とはとても言えない。

 ……ということになるわけだ。


 その問題を開発会社はどう捉えているのか。

 制作スタッフは「歴史に忠実に作ったから日本の歴史ファンにはぜひ楽しんでもらいたい」とインタビューでは発言していた。

 そのうえでこんなことも言っていた。「弥助には謎が多い。そこには創作意欲を掻き立てられる。だからこそ、歴史の空白を私達のストーリーで埋めた」

 二つの発言が全く噛み合っていない。

 まぁ同一人物の発言とは限らないので、噛み合わないこともあるだろうが、それにしたって極端ではある。

 そのうえで社長の発言もトピックに上がっていた。「批判するやつは差別主義者だ」という旨の発言である。

 そもそもの話、翻訳の過程で齟齬が生まれている可能性もゼロではないが、ここまで対話の拒絶をされるのも困りものだ。

 批判をしている日本人の多くは史実に忠実に作るのであれば、謙虚に誠実に作ってほしいだけなのだ。

 フィクションを入れることが悪なのではない。事実と虚実を曖昧にされることが嫌なのだ。

 日本の歴史を細かく知っている外国人はそれほど多くはないだろう。

 だが、このゲームシリーズは今まで歴史に忠実に作られてきた。

 その看板とその巨大すぎる宣伝文句が、虚実を真実にしてしまう。

 嘘を本当にしてしまう。

 これを日本の歴史に対する冒涜や暴力だと感じている人がいるのだ。

 この怒りや憤りを差別主義者の発言とぶった切られるのは我慢ならないだろう。

 だからこそ炎上しているし、販売中止の署名まで始まっているのだろう。

 佐村井氏によれば、本当に発売中止になるとは考えにくいという。

 だが、反発したという事実を形にする意味はあるのだという。

 これは行動したという履歴を残すための活動であるらしい。

 よくよく見ればそれは署名サイトにも書かれていることでもある。

 ちゃんと日本の歴史に敬意を払って、調査をしてほしい、という旨の嘆願なのである。


「すみません、時間はかかりましたが、なんとか理解できました。いえ、できたと思います」

 俺は少し悩みながらもそんなふうに返事をした。

「状況は複雑ですけど、一貫して謝罪しない・訂正しない点に不信感が募るのは理解できます。それにもうちょっと日本人の気持ちに寄り添ってほしいです。日本をテーマにする以上は、日本人に嫌われないゲーム作りをしてほしいです」


 佐村井氏はコホンと咳払いをすると眼鏡をまたスチャらせた。

「いえいえ、充分に伝わったようで何よりです。以前発売された他の開発会社が作った日本をテーマにした作品は本当によく作られていましたし、誉れという言葉は日本人の心を丁寧に表現していました。他社の作品が優れているからこそ、この作品の底の浅さが見えるようで本当に腹立たしいのです」

 佐村井氏はやり場のない怒りを、念力で解き放つかのように虚空を睨みつけていた。

 そして、虚ろな視線で言葉を続ける。

「そういえば、私たちの活動を伝えていませんでしたね。私たちの活動はいわゆるアンチテーゼです。彼らが適当な歴史を史実と宣うならば、同じことを仕返してやろうと思いましてね。こちらを見てください」


 佐村井氏が手を向けた先にはPCの画面が映し出されていた。

 そこで流れる映像は開発中のゲームだろうか。

「フランス革命ですよ。特に深い意味はありませんがね。そこに偶然居合わせたアフリカ系黒人の処刑人が極悪貴族たちをギロチンで処刑しまくるという爽快なゴアアクションムービーを考えていましてね。これに彼らが文句を言うのなら彼らは差別主義者ということになりますよね? ……開発はまだまだ初期段階ですが、映像作品として全世界に配信する日が待ち遠しくてたまりませんよ! 奴らはどんな顔でリアクションしてくれるんでしょうか!? 楽しみですねぇ!! あははははははははははは!!!!」


 俺は少し怖くなって足早に会議室を後にした。

 数ヶ月後にあの映像が世に出るのだろうか。

 それを受けた世界の反応がどうなるのか。

 俺はそれを空恐ろしいと感じてしまう。


「これで、いいのかな……」


 呟いたところで、誰も答えを返してくれはしなかった。


――


 聞いた内容や感じたことを記事としてまとめて、ココロさんに提出した。

 このご時世、文章はアプリから簡単に投稿できる。

 ココロさんのアカウントへ送信が完了すると、程なくして既読の表示が現れる。

 そして、『Good!』と書かれたスタンプが届いた。

 とりあえずこれで今日の業務は終了した。


 思うところは色々あった。

 日本人のほとんどが知らない弥助という人物。

 彼が過去に何をしたのか、それは誰にも知る由はない。

 過去の書物にもほとんど書かれていない人物のことなど、調べることは困難だ。

 だからこそ断言はして欲しくない。

 歴史に残る伝説の侍だなんて、誰が言い始めたのだろう。

 そんな疑問が浮かびはしたものの、それは付け焼き刃の知識しかない俺には察しようも無いことだった。

本来ならこれ以上このネタを続ける必要もなかったのですが、弥助伝説の始まりを書かなきゃいけないみたいなのでもう少し続きます。

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