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作者: さっぽろな

愛とはなんなのだろうか。私がまどろみの中にいた時どこか遠くから聞いた言葉。愛。私の耳を引いたあことば。知りたい。私はある時狼のこどもとして生まれた。狼の両親は私に兎の肉を与えてくれ、また私の耳を舐めてくれた。これが愛だろうか。

ある時私はプランクトンとして生まれた。ここでぼんやりとしたまま海を漂っていると急に視界が真っ暗になり私の意識は途切れた。魚にでも食べられたのだろう。魚の血となり肉となり生を形成するのだろう。これは愛だろうか。

ある時私は野球のグローブとして生まれた。主人は私をぼろぼろに擦りきれ穴があくまで使ってくれた。私に穴が空いた日、私は主人の温かい涙がこぼれ落ちてきているのを感じた。これが愛なのだろうか。

ある時私は主人と同じように人間として生まれた。生物学的にオスとして誕生した。両親は小さな頃から私に興味がないようだった。ご飯をくれることも撫でてくれることも無かった。そこに愛はなかった。それでも私はなんとか成人、と呼ばれる年まで生きてたくさんのメスと出会った。両親以外の人間は優しさをたくさん与えてくれた。しかし私は愛、というものを誰からも感じることは出来なかった。また私自身誰かに恋をするということも誰かに愛を注ぐこともしなかった。だからだろうか、図書館の本で調べても愛というものを受けとることも知ることも人間の体では出来なかった。四季が八十回ほど巡って私は一人愛をしらぬまま人間として死を迎えた。

私は再びまどろみに包まれて眠りにつく。次目覚めたとき私は愛を知ることは出来るだろうか。愛とはなんなのだろう。私は愛を求めている。

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