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藍の輝きもう一度  作者: シャボン玉
4章 藍の輝き

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4章1話 進路

第四章  藍の輝き


 進学高である不動高校において、大学受験は三年間の高校生活を締めくくる一大イベントであった。ここに合わせて三年間努力を続けた生徒も少なくない。がっつり勉強時間を取れる夏休みは重要な追い込み期間である。

 部活を引退して勉強に本腰を入れ、追い込みに成功してぐっと成績を伸ばす生徒も多い。特に運動部はきつい練習で培ったメンタルと単純に時間が増えたことによって、急に成績上位に躍り出るケースも見られる。

 ただ、多くの生徒は将来のことをぼんやりと先延ばしにして進学している。

 将来何するかは大学に入ってから考えても遅くはない。専門的な学問に触れたり、バイトとかインターンっていうので経験を詰むことでやりたい仕事が見つかることもある。

 だから、不動高校で将来を明確にイメージしている生徒はほとんどいなかった。

「高木も来てるからあれなんだが、みんな進路どうすんの?」

 二学期も始まり、ようやく涼しくなってきた十月頭。いつものように机で島を作り、昼飯を食べていた。最近は高木が週二回ほど同席していた。

「私は文学部一本で行くよ。神社とかお城の研究してみたくて」

 みんながう~んと考えている中、滝沢さんが先人を切った。

「ゆっちゃん、神社巡り好きだもんね」

「歴史部の鏡じゃん。成績も良いし、余裕そうだな」

「そんなことないって。どこ受けるかまだ決めきれてないの。そういうかたおかはどうなの?進路」

 片岡はしばらく考え込んでから答えた。

「俺、夏休みに将来のこと結構考えたんだよ。何やりたいかから考え始めてさ」

「悩む前に勉強する方が先じゃね?」

 もったいぶる片岡に俺は反射的に茶々を入れた。

「矢上く~ん、俺より成績上になったことあったっけ?」

「大して変わんなくない、片岡とやがみって」

 高木の珍しくまともな発言に、みんなが笑い声をあげた。

「と・に・か・く。俺は悩んだ結果、理系に決めたぜ」

「ええ~~、かたおかが理系?」

「そ。まぁ、あれよ。甲子園、観に行ったのが俺の中で大きくてさ。スポーツ関連の仕事してぇなって」

「へぇ、やがみの影響受けちゃったんだ?」

 嬉しそうに高木が言う。

「それだけじゃねぇけどな。藍川さんの解説も面白かったし」

「んで、理系で何やるんだ?」

「分かった!お医者さんになってまこっちゃんの手を治療するとか」

 なつは目を輝かせている。冗談ではなさそうだ。

「医学部ムリです!ってか藍川さん、話聞いてた?スポーツ関連言ったでしょ。それに医学部卒業と研修医で何年かかると思ってるの?ツッコみどころ多すぎ」

 ムードメーカーらしいツッコみはさすがだ。場は笑いに包まれる。

「ちょっと話させてくれよ・・。なんつうかさ、矢上って大事なところで打つじゃん。もっと評価されて良いんじゃねって思うんだわ。大宮学院の鈴矢と比較されてたけど、試合結果と関係ない本塁打数とかだし。答え出てねぇわけだが、とりあえずデータみたいの学ぼうと思ったわけ」

「面白いね。プロだと結構細かい指標あるよ」

 なつは興味を示したように生き生きとした表情を見せている。

「あと、藍川さんが良く言ってた『流れ』。結果を見て、流れってあるんだと思ったけどよ。もっとデータで説明できないのかなって」

「なつの言うように指標は最近増えたけど、『流れ』はねぇんじゃないかな」

「だろ。だから野球のデータを研究するのやってみたくてな。一応、今でもあって、なんつってたかな、えと、サイバーマッドサイエンス?」

「セイバーメトリクスな」「セイバーメトリクスだよ」

 俺となつの声が完璧にシンクロした。

「息ぴったりすぎ!」

 滝沢さんはニヤニヤして言った。

「それそれ。間違えたのはあれよ、矢上と藍川さんが知っているか試しただけだぜ」

 涼しい顔しているが、怪しいもんだ。

「それにしても、いが~い。かたおかがそこまで考えてたなんて」

「まぁな。って俺の話、終わりな。高木はどうすんだよ、お前も理系志望だろ」

「あたしはスポーツ科学行く予定だよ。いくつか推薦で来て欲しいって言われてる」

「さすが、さちちゃん。かっこいい!」

 なつは両手を拝むようにして尊敬の目を高木に向けた。

「推薦だけどちゃんと勉強したいこともあるよ。指導技術とかね」

「ちなちゃん、理系クラスだもんね」

 高木はにかっといつもの笑顔を見せた。

「さて、真打ち登場なんだが、矢上と藍川さんは?」

「なんで、一緒にするんだよ」

 片岡と滝沢さんは揃ってニヤッとした。

「わたしは女子大希望だよ。普通に受験だからがんばらないと」

「そういや、この前、公式サポーターで卒業した人が出たじゃん。そのあたり、どうなの?」

 片岡が結構核心的なことを聞いた。

「う~ん、本人の意思が強いよ。やり切って次の目標ができたから卒業決めたって言ってた。わたしは他のサポーターさんや、周りの人がすごく良くしてくれるし、続けたいなって思ってる」

「ナツキ、最年少だし、可愛がられてるよね」

「うん。ついつい甘えちゃって頼ってばっかり」

「仲の良い先輩っていいなぁ~。大学行ったらできるかなぁ~」

「おまえは大丈夫だろ」

「そっかなぁ~。それより、やがみは?」

 みんなの視線が俺に集まる。

「野球の強い大学行くつもり。スポーツ推薦でいけるって春頃の進路相談で新井監督言ってた」

「そのケガで推薦大丈夫なの?完治まで一年、さらにリハビリ必要って話でしょ」

「わからん。だから勉強はしてる」

「最近、図書室でナツキと矢上君、一緒に勉強してるもんね」

「あっ、図書室デート!めっちゃ絵になるってうちのクラスで有名だよ~」

「んだよ、みんなで勉強会でもやるかって思ったけど、お邪魔だなこりゃ」

「い、いや、俺たち、成績的にアレだし」

「わたしもみんなでやりたい!ゆっちゃんに先生やって欲しい!」


 高校生活も残りわずかとなり寂しくもあるが、みんな前向きに卒業後を考えていた。

 各々将来に希望を持ちながら日々を過ごしている。

 そんなある日、最後の六限の授業を眠そうに聞いていた。数学の授業であったが、最近は入試に出そうなところをピックアップして受験テクニックの総復習をしている。俺は私立文系狙いで数学は必要なく、余計に眠かった。

 寝ぼけ眼で授業を聞き流していた俺は突然の声に一瞬で目が覚めた。


「ええぇっーーーーーーーーーーー‼‼」


 がたっと席を立つ音が右後方から聞えた。誰かが先生に指された?そのわりには大声で。

 振り向いて声の主を探すと、なつが一人、席で立ち上がっていた。

 両手で口元を押さえ、何かに驚いている。

 そして、その藍眼はまっすぐ俺を見てパチパチと瞬きをしている。俺・・?

 何のことか見当がつかない。

「おい、藍川。どうした?」

 先生の質問になつは答えようとしたが、そこで校内放送が流れた。

「あーーー、三年矢上。いますぐ職員室まで来るように」

「はぁ⁉」

 整理がつかない俺に数学教師が言った。

「矢上!職員室、呼ばれているぞ」

 なつが気になったが、俺は渋々教室を出た。ったく、なんだよあの放送。新井監督の呼び出しって。

 職員室に入ると先生たちが何やらざわついていた。何事?と思ったが、とりあえず新井監督のもとに向かった。

「監督。なんですか?すぐ来いって」

「おまえ、見てないのか。感心だな」

「・・良く分かんないんすけど」

「・・矢上」


「お前がドラフトで選ばれた」


 ドラフト?ってプロだよな。って志望届なんて書いた覚えねぇぞ。ってそうか、さっきのなつの反応と合点がいく。

「いや、志望届なんて」

「私が書いて提出してある。ちゃんとご家族の了承つきだ」

「はぁ⁉聞いてないって!」

「何球団か、スカウトから連絡ぐらいあっただろう」

「いや、あんなの甲子園出てれば普通じゃ。それに前日に連絡あるとかって聞いたことが」

「私のところにはあったがな」

「マジ⁉・・・・あの、それで、どこの球団で何位なんです?」

 こうして会話しても実感が全く沸かない。最近は受験勉強の毎日。今シーズンも既に終わっているからプロ野球から離れていた。なつも勉強の邪魔しないように野球話は控えめ。それもあって、ドラフトが意識になかった。


「地元、埼玉レオネスでドラフト三位だ」

「レオネス⁉」


 完全に寝耳に水だった。こんな嬉しい話はないが三位?そんな上位に俺が?

 いやいやいや、あり得ない、あり得ない。そんなのあり得ない。

 ドラフト上位はどこも投手ばかりだ。しかも即戦力重視だから高卒が上位指名自体少ない。甲子園に一度行ったぐらいで、しかも野手の俺が選ばれるなんて。

 三位という話を聞いてドラフトの話自体が冗談としか思えなかった。三位・・・。

「・・ああ、育成三位ですよね。それでも、そんなに評価してくれるなんて」

「いや・・・・」

 新井監督は手元のデスクトップパソコンを操作すると、モニタに動画を再生された。


『三巡目・・・』


 ドラフト中継の様子が映っていて、いつもの人の声がパソコンから聞こえてきた。


『埼玉レオネス・・・・矢上 真。内野手。不動高校』


 それはまぎれもない上位指名だった。あの、レオネスが。昔からずっとファンだったんだ。大好きな大好きな球団。試合に勝てればそれだけで力をもらえた。いつからか自分の野球を優先してきたが、一番の球団であることは今もこの先も変わらないだろう。

 目頭が熱かった。

 まこやんのためだけに無心で続けてきた野球。

 そんな俺がプロになって良いのか?

 未だに自由が利かない右手。その代償として、皆に恩返ししたつもりでいたが、これはお前からのプレゼントとでも?

 急に現実味が帯び、俺はグラウンドに立つ自分を想像した。

 レオネスの公式戦で内野手・・ショートは壮田選手がいるから・・サードか。

 そして、マウンドにはあいつが上がっている。

 まこやんが投げて俺が後ろを守る。

 あいつでもさすがにプロでは打たれる。

 俺は三塁線への痛烈な打球を捕り、ファインプレーでピンチを乗り切る。

 『ナイスサード!助かったぜ、矢上!』

 グラブを俺に向けて叫ぶ。プロになっても変わらず子供のような笑顔で野球をしている。


 ・・・・。


 別にプロじゃなくても良いんだぜ。


 そこまでは望んでいない。


 それに、たった一度だけで良いんだ。


 あいつと・・。


 同じグラウンドに立ちたかったな。


 ・・・・。


 はは、らしくねぇな。


 そんな贅沢、叶うわけねぇじゃん。


 欲張りすぎ、欲張りすぎ。


 にしてもさ。


 俺がレオネスだってよ。


 笑っちまうか?


 ありがとな。


 まこやん。


「お前でも泣くんだな」

「・・・・ええ・・さすがに」

 新井監督は気を遣ってくれたのか、無言で中継の動画を流してくれた。

 画面には各球団の指名状況が映し出されていた。レオネスの一位指名はあいつなのかよ。

「矢上君!レオネスのスカウトから電話です」

「は、はい!」

 突然呼ばれた俺は慣れない手つきで固定電話の保留を解除した。電話口の先にいる人物はスカウト担当の古屋さんという方であった。落ち着いた声をした男性はドラフトで指名したこと、新井監督や俺の両親と一度会って話をしたこと、今度対面で話したいことを順に話した。

「では次の土曜日に詳しく話をさせてください」

「はい」

「それまでにご自身のお気持ちを整理しておいてください」

「はい、分かりました」

「最後に何かありますか?」

「・・詳しくは土曜日だと思いますが・・自分を指名した理由を知りたいです」

「・・・・良いでしょう。土曜に伝えるつもりでしたが、簡単に」

「すみません」

「矢上君はチームの雰囲気を変えるプレーができる選手だと高く評価しています」

 雰囲気?

「今年の夏、県大会や甲子園でキャプテンとして打撃に守備と結果を残しています。ですが、その成績自体、それほど高い評価はしていません」

 分かる、だからこそ知りたい。

「ですが、公立の不動高校を甲子園まで導いたのは矢上君の功績。どの試合でも矢上君が勝利の起点になっていました。矢上君のプレーでチームが明らかに変わった。決勝や甲子園で実力以上、いや何倍もの力を発揮し、前評判を覆していく不動高校ナインが印象的でした」

 ・・・・

「決勝でのホームランに、奇跡的なライトゴロ。甲子園でイレギュラーを止めたプレー。最後のは褒められたプレーではないですが・・。チームの雰囲気を変えられる選手はレオネスでも希少なんです。悪い意味で皆、野球エリートのため、劣勢に立たされる機会が少ない。そのため、当然ながら逆境を覆してきた経験も少なく、どう立ち向かえば良いか分からない選手も多い。ただ、それは我々スカウトにも問題があるのかもしれないと最近気づいたのです」

 自らを否定もするこの人の言葉は信用できた。

「だからこそ、矢上君の力が欲しいのです」


 古屋さんとの電話は短かったが満足のいく理由を聞けた。要点だけを押さえていて俺でも分かりやすかった。

 評価されたのは雰囲気を変えるプレーができること。

 理解はできる。ただ、それをまたやれと言われてできる自信はない。プロに行ったとして平凡なプレーしかできないかもしれない。

 そもそも、ケガで出遅れるのは確実。一軍に行けるかも怪しい。

 だが、できる人が少ないからこそ価値があるのは間違いない。

 そのスペシャリストを目指せってことなのか?

「矢上、ゆっくり考えるんだな」

「監督は・・どう思ってますか?俺がプロって・・」

 目を瞑り、う~んと唸ってから新井監督は話し出した。

「長く生徒を見てきたがお前レベルのやつは数人いた。だが、一人としてプロにはなれなかった。あと一歩というところで成長が止まり届かなかった。本人は限界だったと口を揃えて言うが、若いうちは伸びしろしかない。・・プロの可能性が出て欲が出たんだろうな。変な自信や油断が生まれ、視野が狭くなり、目の前の試合結果に一喜一憂する。地に足がついた計画的な成長ができなくなっていた」

 監督は他県の私立であったが甲子園に導いたことがあった。その時の選手なんだろう。

「その点、お前は不思議な奴だ。欲があるような無いような。勝ちに拘り、誰かの期待に応えようとしているようだが、それ以外は考えていない。私は初め、藍川の期待に応えようとしているのかと思ったが、違うんだろう。リトルシニアのころの説明がつかない。質問で返すようだが、お前はなぜ野球をやっている?」

 長年選手を見てきた鋭い眼光が俺を捉える。

「・・少年に夢を与えるため、とか」

 誤魔化して左手で頭を掻いた。

 ふっと笑い、無駄なことを聞いたとあきれ顔をされた。

「お前はプロ向きかもな」

「ありがとうございます」

 俺は慌ただしい職員室を後にした。失礼しますと引き戸を閉めるとすぐに誰かに抱きつかれる。


「おめでとう‼」

「なつ!」


 レオネスカラーのメガネが俺の胸に押し当てられたが、そんなことは気にもせず腕に力がこめれていた。

 なつの頭越しに周囲を見ると、まるで有名人の出待ちでもしているかのように人が集まっていた。片岡や高木、滝沢さんにチームメイトだったやつらに見知ったやつも大勢。

「嬉しい‼まこっちゃんが・・レオネスに・・レオネスに選ばれるなんて!信じられない!」

 見上げるなつの顔。感傷的になりやすいなつの目には早くも涙が浮かんでいる。

「俺も信じられなかった。・・なつ、後でゆっくり話そうぜ。みんな見てる」

 恥ずかしそうに俺から離れ、顔を赤らめた。

「矢上!進路決まったの一番乗りだな」

 片岡の突き出した右こぶしにこつんと俺もこぶしを突き返した。

「ああ、俺だけ就職だけどな」

「うちの評判落ちるんじゃね」

 こんなときにいつもの漫才か。

「悪かったな、進学率落として。でも一人ぐらい良いだろ」

「ああ、そうだな。・・一人ぐらい大学行かないバカがいても・・」

 珍しいこともあるもんだ。

「・・泣くなよ、だっせーな」

 片岡は腕で両目の涙を豪快に拭いた。

 さっきちょっと泣いたせいか、涙を誘われる。

「やがみ!」

「おう、高木。俺、プロになれるみたいだわ」

 なぜかこいつだけ教室の椅子を持っている。

「うん、やったね!」

 その椅子を俺の前に置いて、言葉を続けた。

「あたし、あんたが何と闘ってたのか知らないけど、たくさんがんばったね。ずっと苦しそうだったもんね」

 こいつにはなぜか良く見透かされる。


 高木はおもむろに上履きを脱いで椅子に乗り、立ち上がった。ちびなこいつとの視線が逆転した。


「でも、もう終わったんでしょ」


 すっと伸ばした右手が俺の頭にのせられた。そして、そのまま優しく撫でる。


「えらいよ、やがみ」


 いつもと真逆のしおらしい言葉に涙が溢れてきた。

 天才であるこいつの言葉は俺の胸に良く響いた。


「がんばったね、やがみ」


 急にニカッといつもの笑顔で俺を甘やかす。心の芯にある緊張が解け、涙が頬を流れた。


「ああ・・・・がんばったんだぜ」


「辛かったね、やがみ」


「・・そうだな」と頬を濡らしながら精一杯強がった。


「でもね、もう大丈夫」


 目を細める高木。


「これからは・・」


 撫でる手を止める。


「みんなをたよってね、やがみ」


 両手を横一杯に広げて、笑顔も一杯にしてそう言った。


 目を遣ると柿沼や蓮見が親指を立てて笑顔を見せた。二年の高野や今泉は涙を拭っていた。


「お前ら・・」


「まこっちゃん!」

 なつに再び抱きつかれたのを機にみなが俺に体を寄せた。

「矢上!」「キャプテン‼」「矢上君!」

 そんな感動のシーンはほんのわずかだった。すぐに職員室の扉が開き、全員退場を宣告されたのだった。


 撤収する中、俺はなつに声を掛けた。

「なつ、今日、家に寄って良い?」

「うん、どうして?」

「旬の果物買いたくて」

「あっ。じゃあ、お代は良いよ」

「良いの?」

「出世払い。それにわたしも絶対一緒に行く。保泉さんのところ」

「りょーかい。そのあと、お墓も行こう」

「もちろん。お父さんに送迎の連絡しとくね」

 なつは俺の左手を握った。俺はギプスが取れたばかりの右手をちらっと見て、なつの右手を握り返した。

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こちらで過去編を描いています。 【藍の軌跡
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