地方自治法改正案は「プチ緊急事態条項」か? パンデミック条約についても考察
筆者:
本エッセイを選んでいただいて誠に光栄です。
今回は今国会で審議されている「地方自治法改正案」が政府の権力を増強するものであることや、それと同時に密かに進行している同様の項目である「パンデミック条約」について考えていこうと思います。
◇「プチ緊急事態条項」となりえる「地方自治法改正案」
質問者:
まず地方自治法では主にどんなことが改正されるんですか?
筆者:
重大な災害や感染症などで非常事態に陥り、
個別の法律が想定しないことが起こり、かつ国民の安全確保が必要になった場合の条項です。
この際に政府は地方自治法を根拠に、地方自治体の事務処理について「必要な指示」をできるようにする改正案です。
質問者:
現在ではどうなってるんですか?
筆者:
現行の地方自治法でも国から地方に「是正の指示」「是正の要求」ができるのですが、
自治体の事務処理に法令違反がなければ行えないのです。
そこで今公開されている答申は、非常時の国の指示権を定めることを要請しています。
質問者:
「指示」ってどれぐらいの強制力を持っているんですか?
筆者
ここで言う「指示」というのは法律上では限りなく“義務”に近い扱いと言えると思います。
何と言っても法的拘束力があるので、従わなければ最低でも行政訴訟などに発展することが考えられます。
当然その”指示の内容”というのは国民への強硬な行動制限であるロックダウンやワクチン接種の強制、マスクの強制と言っても間違いないと思います。
質問者:
地方分権とは一体……。
これっていわゆる緊急事態条項とはどう違うんですか?
なんだか近い気がしますけど……。
※緊急事態条項についてはこちらをご覧ください。 ncode.syosetu.com/n6349in/
筆者:
地方自治法改正案では国が指示する際は、事態が全国規模または局所的でも被害が甚大な場合など、規模や状況を考慮して判断して閣議決定をするようです。
この「指示できる範囲」というのがとても大事になります。
緊急事態条項では個人財産権にまで介入できる可能性があるので、そこが最大の懸念点となっています。今のところ地方自治法ではここまではありません。
また、両者の決定的な違いとしては国会議員の任期延長がないことだと思います。
そのために僕はこの地方自治法を「プチ緊急事態条項」だと認識しています。
質問者:
なるほど……。
筆者:
ただ、現在でもマイナンバーカード取得率やワクチン接種率に応じて地方交付税交付金を変動させるなどの“間接的圧力“を行うことも全然可能だということは過去の事例からも明らかです。
質問者:
ところで、この指示権を持ったところで良くなることってあるんですか?
筆者:
国が指示権を持ったとしても、地方の医療体制や災害対応の専門人材などが不足していたら、指示の実効性は上がらないんですね。
今回の能登半島地震においても道路が寸断されていたり、海面が隆起していたりなど、
誰にもどうすることもできない要因が複数ありました。
指示権を行使したところで、突然道路が修復したり海面が戻ったりする魔法のような現象は起きないです。
つまり、何か言い訳に使って権力強化し、地方公共団体の上に立とうという意図が見えますね。
質問者:
何かにつけて権力強化を行おうとしているわけですか……。
◇パンデミック条約はWHOを「国家機関の上にできる」条約
筆者:
この地方自治法改正と同じぐらい最近気になっていることとして、
WHOによるIHR(国際保健規則)改正、パンデミック条約締結についてですね。
これは今年5月にもWHOで決議をしようと試みているようです。
質問者:
その2つはX(旧ツイッター)などでもよく話題になっているんですけど、そんなに危険なんですか?
筆者:
IHRの内容はよく変わる上に、秘密裏に行われるために詳しく触れることができませんが、WHO参加国の過半数で決めることができてしまいます。
昨年11月末にIHR改正が話題になった際には、
自動発効期間を24カ月から12カ月、IHR改正案の拒否または留保の表明期間を18カ月から10カ月に変更することを日本が拒否しなかったために自動的に承認されてしまいました。
だから一部のネット上では話題になっていたということなんですね。
質問者:
なるほど、猶予期間が短縮されてしまったことで話題になっていたんですね。
パンデミック条約で危険視されていることって何でしょうか?
筆者:
大体4点だと僕は感じました。
・WHOの提言を「拘束力のない助言」としていたのを”拘束力のない”を削除(第1条)
⇒ 国家権力をも上回る可能性
・「個人の尊厳、人権、基本的自由を十分尊重して」という部分が削除(第1条)
⇒ その上の国連憲章であるために、全く保証されないわけではないが不気味。
・緊急事態の判断は、締約国の合意なくして、事務局長判断で発出可能(第12条)
・グローバルヘルス健康証明書
⇒ マイナンバーと健康保険証の廃止を必死にやっていたのもこのためなのではないかと言われている。(18条など)
こういった感じです。
質問者:
WHOの判断が国の上に来てしまうことが懸念されているわけなんですね……。
ですが、WHOは国際機関だから平等に判断してくれないのですか?
筆者:
WHOがちゃんとした選ばれた人たちであるならばまだ救いがあるのですが、
今の事務総長は中国の力によって就任しているのでコロナ初期に中国の初動対応について”問題なし”と忖度したりしていました。
2021年の5月12日のWHOの独立調査パネルは初動に問題があったとし、パンデミックは回避可能だったとの見解を示しています。
また、某財団や製薬会社から多額の出資を受けていたりと、さながら“株式会社”のような存在だと言えるので、彼らの判断が国の上に来ていいとは僕には少なくとも思えません。
質問者:
でもWHOのを日本が批准しなければ解決という感じがするのですが、
それについてはどうなんですか?
筆者:
確かに各国が批准、承認をしなければ国ごとに施行されることはありません。
フィリピン、オランダ、スロバキア、メキシコ、ニュージーランドなどは反対意思を表明しています。
日本はしかしこれらを取りまとめている副議長国として推進している立場なんです。
パンデミック条約やIHR改訂を拒否する可能性はほとんどゼロだという悲しい現実があるんですね。
質問者:
条約は国会の決議を経なければいけなかったと思うんですけどそれについてはダメなんですか?
筆者:
新たな立法措置が必要なく予算の範囲内で実施し得る国際規則については、
外交関係の処理の一環として行政府限りで締結し得ると解釈されています。
パンデミック条約などは特別に予算を組む必要が無い“概念”として存在していることから、秘密裏に首相や大臣の一任ということで、最終的に決まっていくと僕は思っています。
質問者:
本当に水面化で進んでいく上にもうダメな可能性が高いんですね……。
これほど重要な内容なのに全く話題になっていないのはどうしてなんでしょうか……。
筆者:
まぁ、単純に知られると反対される可能性があるために秘密裏に行いたいという、いつもの流れです。
マスメディアも政府のプロパガンダ機関ですからね。社会正義で彼らは動いていません。
8人に1人は医療関係者とまで言われている(薬を搬入する人とかも含めていそうではありますが)ので医療利権はそれだけ巨大ですからね。
触れることはメディア企業の存亡の危機に瀕することなのでしょう。
質問者:
「メディアも政府広報機関」という事実が日本の悲しい現実ですよね……。
パンデミック条約などではワクチンの強制接種なども話題になっていますがそれについてはどうなんですか?
筆者
現状の案では僕が見た限りでは確認できませんでした。
これに関しては個々の国の判断に任されているということなのでしょう。
だからこそ、憲法改正に伴う緊急事態条項を防いでいく必要があると思います。
憲法だけは個々の法律で唯一国民の意思で賛成・反対を表明できますからね。
今年衆院解散総選挙と同時に行われると僕は思っており、一番重要だと感じています。
◇政府が信用できない理由
質問者:
そこまで政府について警戒をしていく必要があるのか改めて教えていただけますか?
筆者:
2022年の日本の平均寿命は、21年と比べて男性は0・42年縮んでいるのですが、
そのうち新型コロナの影響は0・12年に過ぎない(女性もほぼ同水準)と厚生労働省の寄与分析が明らかにしています。
つまり平均寿命が縮んだことの3分の2以上は、新型コロナ以外の要因で“対策のし過ぎ“だと僕は考えています。
それを分析する気が無いというのが政府への不信です。
また22年の使途不明金としてコロナ対策費11兆円があるのですが、これも事後検証は無く話題になっていません。
このように、新型コロナ対策について事後検証する気が壊滅的になく、
利権の拡張を行うばかりの人達に信頼は置けません。
まず同じような過ちを犯すことでしょうからね。
質問者:
おっしゃる通り総括をして何が良かったか悪かったかを議論している話はありませんよね。
多少問題があっても”あの時は仕方なかった“で終わっちゃっているイメージがあります。
筆者:
パンデミックという人類に共通した危機においても、
個人の尊厳や基本的人権は、最大限に尊重されなければいけないと思うんです。
人権と個人の健康に関する自由な選択を確保するために、
どのような仕組みが適切かを共に考えていくべきだと思います。
しかし、現状はただの上からの“押しつけ”で終わってしまっていますし、
個人の選択の保障は次々と失われていく方向性になっています。
質問者:
国のワクチン接種の指示に従わず敢えて生活が不自由になる選択をするのなら、まだ良いと思いますけどね。
強制ですからね……。
筆者:
強制力が働けば罰金は当たり前で最悪は拘禁刑もあると思います。
中にはこういった考えについて、
「恐怖を煽るなよ」「考えすぎだよ」「そんなことあるわけがない」
などとおっしゃる方がいると思うんです。
しかし、生殺与奪権を任せて“悪用できる可能性がある”と言うことは大変恐ろしいことを生じさせかねないと僕は感じています。
質問者:
議論する場すら無いというのが本当に闇しか感じませんよね……。
筆者:
最後の砦として憲法があると思うので、憲法裁判所が無く事後検証ができない「緊急事態条項」だけは絶対に創設させてはいけないと思います。
緊急事態条項の有無でこの地方自治法改正案の「指示」の内容も変わってきますからね。
今の状況では後で振り返っても「あの時は仕方なかった」というだけで済ませてしまうに違いありませんので本当に問題です。
ということで、ここまでご覧いただきありがとうございました。
このような政治・経済、マスコミの問題などについて個人的な解説をしていこうと思うのでどうぞご覧ください。