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処刑された無名の少女僵尸は道士に偏愛される  作者: 雨海月子


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第39話 形のないもの、あるもの

 形のないものが朧げな顔をして生きている世界で、確かなものは案外ないのだと杏杏(シンシン)は語った。


「だから、そういうもの……形のある確かなものは、大事にします。それが、この世界に新しくできた価値です」


「形のある、もの……」


「ここは、そういうものばかりですから。皇后さまがお持ちのすべて、皇帝陛下から賜ったものすべて、ここでは生きていた頃よりもさらに価値を持っております」


 生きていた頃のものでも、ここにあるような美しい装身具のひとつとっても価値が高いことだけは私にもわかった。具体的な価値はわからないけれど、腕輪や首飾りのひとつでも父さんが買えるようなものではないことだけは確かだ。今となっては、さらに価値が跳ね上がっているというのだと。


「私、あの人にもっと沢山、お礼を言わないといけないわね。それほど価値のあるものをくれていただなんて、知らなかったんだもの」


「皇帝陛下が皇后さまに様々な贈り物を用意していたことは、この世界で知らない人がいないほどのことですよ」


 私が死んでから目を覚まさないまでの間は、それなりの年月があったらしい。その間、彼が私に様々なものを用意していることが、人々の間にいつの間にか広まってもいたようだった。


「女たちのあこがれなんですよ、それだけ愛されるだなんて素敵っていう」


「今更だけど、これらはどうやって用意していたのかしら……」


 杏杏に聞いてみたけれど、彼女はわからないと首を横に振った。ふわり、と私の横に現れたのは、葉夫人だ。


「この宮殿の建てたのは、兄君……地上の皇帝陛下と伝わっております。皇后陛下のお召し物の一部も、地上の物です。半分以上はこちらの世界で、気を凝らせて手間暇をかけて作った物ですから、こうして受け取って使ってくださるのは我々にとっても大変に嬉しいことでございます」


「そうなんですか? どれも素晴らしくて、大切に使わせてもらっております」


 光栄です、と頭を下げる葉夫人と杏杏。手巾にしている絹布や、糸の作り方を教えてもらう。形のない霞のようなものをいくつもいくつも撚り合わせて、重ねに重ねたことで、霞の中に小さな糸が生まれるのだそうだ。それをさらに重ね合わせて伸ばし、あるいは織ることで形のあるものが生まれるらしい。


「金属や木や石を作るのも、理屈は同じそうです。あとは、地上の世界からこちらへと贈られたものですね。燃やした紙銭とかも、ここに届いて結構使われています」


 葉夫人の後ろで、杏杏も頷いていた。

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