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処刑された無名の少女僵尸は道士に偏愛される  作者: 雨海月子


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第23話 本を開く

 彼は私の膝の上でうとうとと、数刻眠った。その眠りは彼を呼ぶ急ぎの声に起こされ、少し不満そうな顔をして彼は仕事に行ってしまったけれど。残された私には人魚の名前と、刺繍の図案の二つを考える時間ができた。


「葉夫人、これは?」


「お名前のことを悩んでいらっしゃるようですから、こちらは少し古いですが辞典です。それから、こちらは外国の植物の図鑑ですわ。ご参考になるかと思いまして」


「まあ! ありがとう、ちょうどこういうものがあったらと思っていたの」


 私はそう言って、葉夫人が持ってきてくれた大きな辞典と図鑑を寝台の横の小机に置いてもらった。それから、まずは図鑑をめくる。美しい多色擦りの、知らない形式の本だった。流れるような外国語の文字は何一つ読めないけれど、どこから来た本なのだろうか。


「それらは、皇帝陛下の兄君……つまり、地上の皇帝が海の向こうにある国の使節より受け取った本を、こちらに写させてくださったものです。こちらに兄君が持ってきてくださった物もありますが、これは他国からのものですからね」


「外つ国では、本の形式が全然違うんですね。それにそもそも、字を横に書いている……んでしょうか? 国が変われば、字を書く向きまで変わるだなんて」


 あの人ならもしかしたら、本の中身を読むことができるのだろうか、と思った。今度会いに来てくれた時までに、絵を全部見るのを目標にしようと決めて図鑑をめくり始めた。知っている花もあるけれど、知らない花の方が多い。生き生きとした色彩豊かな絵は、専任の絵師が描いたものに違いない。表紙にも細かな連続した植物の茎と花の柄がついていて、一続きの長い絵が円を描いている表紙。そして、模様で一面に埋めた裏表紙をしていた。背表紙には金色の字で何かを書いているようだけれど、やっぱり読めない。


「国が変われば、こんなところまで変わるんですねぇ。さすがは、皇帝陛下方です。このような異人から、これほど素晴らしいものをいただいていたんですもの」


「ええ、本当に素晴らしい。図鑑は私の家にはなかったので、時折、親戚に見せてもらっていたんです。その時の絵や本とは、全然違いますわ」


 確かあれは、おじい様の家だった。時折見せてくれて、刺繍の参考にと言われた記憶がある。おじい様のことを考えると、少し胸が痛かった。おじい様のことが族滅のきっかけだったと言われた記憶。でも、私にはおじい様は優しかった。だから、おじい様は無罪だと思いたかった。あの人に聞いたらわかるだろうかと思っても、本当におじい様が悪いことをしていたと聞くのも――怖かった。

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