レッスン9『冴えない俺が牙をむいたら』
「ほう……所詮偶然でバズっただけの小猿の分際で! 随分と牙を向いてくれるじゃないか……お前のような問題児をこれまで面倒見ていたのは誰だ? 飼い犬に手を噛まれる気分だ――」
今まで言うことを聞いていた俺がここまで成長した事実が悔しくて認められないのか?
どこまでも『教師』で居たいようだな。
教師は怒りを満ちた表情で再び『ブレイクダンス』を始めた。マズイ!
再びローキックを受けてしまえば即死は免れない……!
「……待てよ? 攻撃型のダンスが存在するならよォ……『“守り”のダンス』もあるハズだよなぁ!」
「ナニっ!?」
教師はダンスを中断し俺から距離を取る。
よし、ハッタリだが相手の攻撃を中止させることができたぞ!
実際にあるとは思うが――俺は人を感動させるダンスしか踊れない!
「……滝廉太郎で『花』!」
道端に咲き誇るアザレアのように身体中を捻らせると、世界中の花が教師めがけて飛んできた。
――俺のダンスは花ですら魅了する!
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺の号令を合図に世界中の花が教師の顔めがけて花粉を飛ばした!
教師は涙と鼻水をダラダラと流した状態でふらついている。
よし、このまま押し切るぞ!
……最終奥義は――
「――最終奥義は、君と踊りたい。市川リン」