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85「魔窟③」

第三階層に来ると再び熱風に襲われる。

それは目の前にいるモンスターがそうさせていたのだ。

巨岩石のような風貌に加えドロドロとした溶岩を身に纏っている。

煉獄の底から這い出て来たような姿に身震いを覚える。


「あいつ、この前の奴じゃないか。まだ、懲りずにやって来たのか。お前の攻略法なんてわかっているんだよ。これでも食らいやがれ!『紅蓮剣!』」


ガルドは高く舞い上がるとモンスターの頭部目がけて紅蓮に燃え盛る剣を突き立てる。

その炎は地獄の業火の如く、モンスターの頭部を燃え上がらせた。


「どうだ」


しかし、モンスターは沈黙することなく仁王立ち。

ドロドロとした溶岩が炎を吸い込みし元の形に戻った。


「おいおい、こいつ。紅蓮剣の炎を吸収したぞ!しかも、再生能力までありやがる」

「ガルド。そいつは巨岩石じゃない。溶岩石だ」


――溶岩石――

種類:群れで行動する巨大な溶岩モンスター

全長:10メートル

知性:低い

耐性:火炎耐性

弱点:氷の魔法に弱い

特徴①:火炎攻撃を吸収する

特徴②:再生能力がある

生息場所:魔窟・第三階層

倒し方:心臓を粉砕する


巨岩石の時はガルド、マリアーヌ、プリシアの三人同時攻撃で打ち破ることができた。

今回もその手が使えるが、まずは動きを止めることが肝要だろう。

何せ、今回は一体だけではなく10体も同時に相手をしなければならない。

弱点の氷の魔法に弱いのならばダイヤモンドダストが有効だ。

ダイヤモンドダストは中級魔法だが氷の魔法の中でも一番広範囲をカバーできる。

一度に溶岩石を全て凍らせられる。


「エリザ。ダイヤモンドダストで溶岩石の動きを止めてくれ」

「いつものお決まりのパターンね。任せておいて」


エリザは両手を前に翳すと魔法の詠唱に入る。


「ルーンはチャクラでガルド、マリアーヌ、プリシアの身体能力を上げてくれ」

「わかりましたわ」


ルーンも両手を胸の前で組むと魔法の詠唱に入る。

すると、一体の溶岩石は自分の体から溶岩をもぎ取るとエリザ達に目がけて投げつけて来た。

すかさずガルドが間に入り大剣で溶岩を払いのける。


「こいつ。エリザ達を狙って来たぞ」


知性は低いとあるが、今の攻撃は本能から来た行動なのだろう。

いくら知性が低いからと言って危険を感知すれば、それを排除するものだ。

わざわざやられる選択をする者などいない。

他の溶岩石達はそれに習うかのようにエリザ達に向けて溶岩を投げつけて来る。

ガルドとマリアーヌは溶岩を剣で打ち払いながらエリザ達を守る。


「零氷が紡ぎし雫、氷雪の飛礫となりて、空間を切り裂け『ダイヤモンドダスト!』」


溶岩石を取り巻く空気中の無数の水滴が氷に姿を変える。

凍るような冷気を放ちながら溶岩石の体を凍らせて行く。

みるみるうちに溶岩石達は巨大な氷像へと姿を変えた。

狙い通りだ。

これでチャクラで身体能力を上げて三人同時攻撃すれば溶岩石を撃破できる。

次いでルーンが魔法を発動しようとした時。

巨大な氷像から白い蒸気が沸き上がり、氷に亀裂を走らせる。

そして溶岩石達はダイヤモンドダストの魔法を打ち破り復活した。


「な、何と!ダイヤモンドダストを破っただと!」


予想外の展開だ。

弱点の氷の魔法であるにも関わらず、それをもろともしないのは。

ダイヤモンドダストはこれまでにも多くのモンスターを凍結させて来た。

打ち破られたのは大蛇ぐらいだ。

大蛇は魔獣の前身と呼ばれるくらい強いモンスターだ。

だから中級魔法程度では効かなかったのだが。

それに比べ溶岩石は大蛇の足元にも及ばないモンスター。

しかも氷の魔法が弱点にも関わらずダイヤモンドダストを弾くとは。

それは地形の恩恵を受けているからだろう。

魔窟の地下には大量の溶岩が流れている。

言わば溶岩石はいつでもそのパワーを吸収できる環境にあると言って過言でない。

通常の状態が100%だとしたら+30%の戦力強化に繋がっているはずだ。


「よし、エリザ。死のつららで溶岩石を凍らせてくれ」

「上級魔法ならイケるってことね」


すぐさまエリザは魔法の詠唱に入る。

その間にルーンがチャクラをガルド達にかける。


「神樹より生まれし果実、緋色の甘き雫となりて、かの者に力を与えん『チャクラ!』」


ガルドとマリアーヌとプリシアの足元に黄金色の魔法陣が浮かび上がると。

同時に、キラキラとした粒子がガルドとマリアーヌとプリシアの神経を刺激した。


「こいつだよ、こいつ。この感覚はいつ味わってもいいものだ」

「いい加減になれろ。行くぞ」


ひとり興奮しているガルドをよそにマリアーヌは溶岩石に立ち向かう。

もちろんとどめをさすのではなく時間稼ぎのための攻撃だ。

マリアーヌは一番近い溶岩石に向かって必殺技を放つ。


「ここがお前の死に場所だ!『五月雨!』」


マリアーヌが剣を翳すと青白い冷気が剣を包み込む。

そして豪雨の如く連撃を溶岩石に浴びせる。

溶岩石は冷気に包まれて氷と化して行く。

すかさず、ガルドが頭上に飛び上がり必殺技を放つ。


「砕け散れ!「爆裂剣!』」


ガルドの一撃が溶岩石の肩を捉えて爆炎を放つ。

その時に、ガルドは気づいた。

火炎攻撃は吸収されてしまうということに。

溶岩石は何事もなかったかのようにガルドを振り払う。


「何やっているのよ、ガルド。火炎攻撃は吸収されるって言ったじゃない」

「悪い悪い。つい熱くなっちゃってな」


ガルドは照れくさそうに笑いながら頭を掻く。

マリアーヌのような冷静さがあればガルドも、もっと活躍できるはずなのだが。

それをガルドに求めるのも酷だろう。

そう言う弱点を含めてガルドのキャラクターなのだから。

そんなことを考えているうちにエリザの準備が整う。


「久しぶりの魔法だわ。うまく行くかしら。蒼白の海よりいでし青色の、瞬間に凍てる氷柱となりて、その雪白の吐息で凍てつくそう『死のつらら!』」


溶岩石の頭上に巨大な青白い冷気の塊が寄り集まる。

冷気は滴り落ちる雫のようにらせん状になりながら溶岩石達を飲み込んで行く。

そして大地もろとも溶岩石を巨大な氷柱へと変えて行った。

溶岩石達は沈黙しピクリとも微動だにしない。


作戦通りだ。

上級魔法の死のつららならば、いくら地の利を得ている溶岩石でも弾くことはできないだろう。

ダイヤモンドダストより範囲が狭いので凍らせられたのは半分だが、それだけでも十分だ。

あとは溶岩石の心臓を破壊するだけ。

人と同じ造りならば心臓は左胸にあるはずなのだが溶岩石はどうだろう。

こればかりは試してみないとわからない。


「よし、ガルド、マリアーヌ、プリシア!溶岩石の左胸を狙って必殺技を放て!」


プリシアは爆弾を持ちながら溶岩石の左胸にあてる。

そして、後ろに身を翻して離れると叫んだ。


「粉々に砕け散れ!『爆裂粉砕!』」


爆弾が破裂すると溶岩石を覆っていた氷もろともヒビが入る。

すかさずマリアーヌが左胸に目がけて奥義を放つ。


「冥府に帰れ!『紫電一閃!』」


紫色の雷光が空を走ると同時にマリアーヌの切っ先が溶岩石の左胸を捉える。

ズズズと溶岩石の体に沈み込み溶岩石の肉片を弾き飛ばす。

すると溶岩石の左胸にポッカリと大きな穴が空いた。


「心臓がないぞ!」


やはり人間とは造りが違うようだ。

巨岩石は頭部が弱点だったが溶岩石も同じだろうか。

それならば頭部に心臓があることになる。

考えていてもはじまらない。

私はガルドに指示を出した。


「ガルド!溶岩石の頭部を破壊してくれ!」

「最後は俺が決めるぜ!奥義!『千手雷光!』」


ガルドが頭上に飛び上がると無数の剣が周りに現れる。

紫色の雷光を放ちながらエネルギーを圧縮させる。

そして、溶岩石の頭部目がけて無数の連撃を浴びせた。

溶岩石を覆っていた氷にひびが入り溶岩石の頭部もとろも粉々に砕け散った。

すると、溶岩石は砂のように崩れ去り、その姿を消した。


「やはり心臓は頭だったか。ガルド、マリア―ヌ、プリシア。溶岩石の頭部にある心臓を破壊してくれ!

「心臓の場所さえわかればこっちのものだ」


プリシアが溶岩石の頭部に風穴を開け、ガルドが風穴を広げる

最後にマリアーヌが心臓を破壊する。

三人の連続攻撃で溶岩石を打ち砕いて行った。

しかし、破壊出来た溶岩石は半分だけ。

残りの溶岩石は、また一から死のつららで凍らせてから破壊する手順となった。

火炎攻撃がまったく効かない相手だったが、ブロックタートル動揺に動きが鈍いのが幸いした。

エリザの魔法の回復時間と詠唱時間を簡単に稼げることが出来た。


しかし、この戦いで私達の弱点を発見することが出来た。

それは火炎攻撃に偏りがちになっているところだ。

ガルドの必殺技もプリシアの必殺技も火炎攻撃が大半を占めている。

火炎耐性持ちのモンスターに遭遇すれば苦戦を強いられてしまう。

衝撃耐性にしても同じことが言える。

これから先は何かしらの耐性を持つモンスターが増えて来る。

だから、今から対策を練っておくことが肝心だ。


ガルドにもプリシアにも、もっと幅のある必殺技を覚えてもらう。

そしてエリザ達にも他の属性の魔法を覚えてもらう必要がある。

狙い目はエリザには風系と土系、ルーンには光系の上級魔法だろうか。

バランスの良い必殺技を身に着けているマリア―ヌには新たな奥義の習得だな。

いずれにせよ、まずは魔鉱石の採掘が先決だ。


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