表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/178

7「ゴーレム討伐」

ギルドの情報によればゴーレムが出現した場所は、かつて炭鉱で栄えていた山の奥らしい。

炭鉱の入口は、枕木がはげ落ち、いまにも崩れてしまいそう。

錆び付いたレールが時間の流れを現しているようだった。


―ゴーレムー

種類:単体で行動する岩石怪物

全長:10メートル

知性:低い

耐性:なし

弱点:足元と喉元が弱い

特徴①:臆病

特徴②:気性が荒い

生息場所:炭鉱跡

倒し方:足場を崩して転ばせ、とどめを刺す


「本当に、こんな所にゴーレムが出現したのかよ。俺だったらもっと人が集まりそうな場所を選ぶけど」

「ゴーレムは意外に臆病だ。群れで行動しないぶん、慎重になるのだろう」


ゴーレムと言うモンスターは好戦的に人を襲うということはない。

しかし、出くわしたら百発百中の確率で攻撃して来る。

それに、一回怒らせたら怒りが静まるまで暴れまわる危険なモンスターだ。


「じゃあ、みんなでぞろぞろ行ったら、ゴーレムも驚いていきなり襲ってくるんじゃない?」

「その可能性もある。だから、油断はするなよ」

「わかったわ」


少し緊張した面持ちで頷くエリザはどことなく腰が引けている。

それを見てプリシアがエリザの尻を指でなぞった。


「ひやぁぁぁ……。ちょっと、何するのよプリシア!」

「緊張をほぐしてあげただけよ。エリザ、緊張して顔が硬直していたから。せっかくの美人が台無しよ」


プリシアは悪びれた様子もなく、エリザをからかってみせた。

パーティーが和気藹々としているのはプリシアが加わったおかげだろうか。

戦いには緊張感は必要だが、緊張し過ぎも返って動きを鈍らせるだけで良い結果をもたらさない。

これからの戦いは思いの外うまく行くかもしれない予感がした。


と、炭鉱の中から地響きが聞こえて来た。


「な、何だ!?」

「みんな下がれ!ゴーレムのお出ましだ」


ゴーレムはズシンズシンと地響きを立てながら近づいて来る。

そして、姿を現すと、その大きさにみんなが驚愕してしまった。


「ゴーレムって、こんなに大きいのかよ!山ほどの大きさがあるじゃないか!」

「こいつはゴーレムでも、主のような存在だ。動きは鈍いがパワーはケタ違いだ。みんな気を抜くな」


ゴーレムはゆっくりと近づいてくると、おもむろに片足をあげ勢いよく踏み下ろした。

ドスンと言う衝撃と共に風圧でみんな吹き飛ばされる。


「うっ……。こんな攻撃ありかよ」


ガルドは地面に剣を突き刺して必死に耐えていた。

他のみんなは風圧で後ろまで吹き飛ばされてしまっている。

私は立ち上がると皆に指示をだした。


「みんな大丈夫か?まずは体制を立て直すんだ!」


それを受けてガルド達は立ち上がり、構えなおした。


「ゴーレムは巨体が故に足元が弱い。エリザ!デラグレイブでゴーレムの足元を崩すんだ!」

「わかったわ!古の大地に眠りしり命、漆黒の蛇となりて、大地を震わせ、『デラグレイブ!』」


エリザが詠唱をはじめると大地が地響きをあげながら大きく揺れ出し、ゴーレムの動きを止めた。

ゴーレムはバランスを取りながら必死に立とうとしている。

間髪入れずに私はプリシアに指示を出した。


「プリシア!爆弾でゴーレムの足を吹き飛ばすんだ!」

「OK、タクト。私の爆弾で粉砕してあげるわ!」


プリシアはすばしっこい動きでゴーレムに近づくと、爆薬をゴーレムの足に絡みつける。

しかし、ゴーレムの右手がプリシアを捉えた。


「きゃっ!」


プリシアはゴーレムの手に吹き飛ばされ、地面に転げ落ちる。


「プリシアさん!」

「これも計算のうちだ。ルーン!回復魔法でプリシアの傷を癒すんだ!」

「えっ、あっはい。天より零れし雫、清らかな息吹となりて、かの者に力を与えん、『キュア!』」


ルーンの魔法でみるみるうちにプリシアの傷が回復して行く。

すかさず、私は次の指示をプリシアに与えた。


「プリシア!作戦は続行だ!ゴーレムの足を吹き飛ばすんだ!」

「わかったわ。今度こそ!」


プリシアは再びゴーレムに近づくと爆薬を右足にセットする。

そして、素早く離れるとスイッチを押しながら叫んだ。


「粉々に砕けちれ!『爆裂粉砕!』」


激しい爆音とともにゴーレムの右足が粉々に吹き飛ぶ。

そして、バランスを失ったゴーレムは仰向けになりながらドスンと地に倒れ込んだ。


「やったー!」

「よくやった、プリシア。次はガルドだ!その大剣でゴーレムのとどめを刺せ!」

「うぉっしゃー!俺の出番だ。覚悟しろゴーレムめ!」


ガルドは大剣を振り上げながらゴーレムに切りかかる。

しかし、鋼鉄の体に阻まれ大剣が弾かれてしまう。


「くぅ……こんなに固いなんて」

「ガルド!ゴーレムの喉を狙うんだ。そこがゴーレムの弱点だ!」

「わかった。うぉぉぉー!」


ガルドはゴーレムの体によじ登ると、大剣を振り上げゴーレムの喉元目がけて振り下ろす。

ズシンと言う衝撃が走ると同時に大剣がゴーレムに突き刺さり。

ゴーレムの息の根を止めるまで、何度も何度も大剣を突き刺した。


「ふー。何とかゴーレムの息の根を止められた」

「よくやった、みんな。これでゴーレム討伐は成功だ」

「やった-!」


ガルドとプリシアは手を合わせ小躍りしながら喜んでいる。

その様子を見ながらエリザとルーンはホッとしたような顔を浮かべた。


「それにしてもタクトさん。私、聞きたいことがあるんですけど」

「何だ?」


ルーンは改まった様子で私に尋ねて来た。


「プリシアさんがゴーレムの攻撃を受けた時、”これも計算のうちだ”とおっしゃりましたよね?それって、いったいどういう意味なのですか?」

「そのままの通りだ。ゴーレム相手に無傷で戦えるほど、私達は強くない。だから、前もって作戦を考えていたんだ」

「それは前にクロースが言ってたように、私達を戦いの駒としか見ていないってことなのでしょうか?」


私を疑うような表情でルーンが尋ねて来る。

すると、脇で話を聞いていたエリザが口を開いた。


「ルーン、止めな。タクトが困っているじゃない。私達は勝ったのよ。それでいいじゃない」

「エリザさんは、それで割り切れるんですか?タクトさんは私達の命を預かっているんですよ。勝ったか負けたかで判断するなんて私にはできません」


ルーンの切実な言葉にエリザは口を噤んだ。

ルーンの言葉は最もだ。

私の戦術次第でみんなの命が危険にさらされる。

しかし、策士と言うものは、それを踏まえた上で戦術を立てなければならない。


「ルーンの言い分はわかった。次からは気をつけよう」

「何、みんなで神妙な話をしているの?早くギルドへ戻って報酬を頂きましょう」


空気を読まないプリシアのひと言が、その場の緊張をほぐす。

そして、私達はギルドへ戻ると多額の報酬を受け取った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ