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64「紅蓮サソリ戦」

毎度、おなじみのエリザの魔法で温泉を造り。

冷え切った体を温める。

もちろん温泉は混浴だけど。

エリザもルーンも慣れたものだ。

もう、すっかり恥ずかしがらない。


「やっぱ温泉は温まるな」

「エリザ、様様だ」

「そう思っているなら、もっと感謝してよね」

「みなさん感謝していますわ」

「そうそう」


あたり前のように混浴している私達を見てプリムは顔を赤らめる。


「どうしたプリム。入らないのか?」

「入らないって。男の人と同じ温泉になんか入れないわよ!」

「プリムは子供だね。私なんか全然平気」


プリシアはニヒヒヒと笑いながらプリムを馬鹿にする。

プリムは赤ら顔で頬を膨らませながらブー垂れる。

プリシアも性格が悪いな。

プリムの反応の方が普通なのだが。


「魔法で温泉だなんて考えたな。いつもこんな風にしてくつろいでいるのかい?」

「そんなところだ」

「ところでお前の目的は何なんだ?」

「俺の目的はいろいろさ。まあ、俺もヴェズベルト王都を目指しているってことは本当だ」


カイザルは飄々としながら答える。

どこまでが本当なのかわからないが、何かを隠していることだけはわかる。

それは私達に危険を及ぼすものなのか、それとも逆もしかりか。

目的がわからない以上、あまり関係を深めないのがいいだろう。


「お前を連れて行くのはヴェズベルト王都までだ。王都に着いたら立ち去れよ」

「つれないことをいうなよ。俺とお前の仲じゃないか」

「お前と親しくなったつもりはない」


私が冷たく接しても何事もなかったような顔で温泉を楽しむカイザル。

どこまで神経が図太いのか。

ガルドといい勝負だ。

私達は温泉で体を温めてから夕飯の支度にとりかかる。

私とガルドで火を熾し、エリザとルーンで料理をはじめる。

プリシアはと言うとひとりで温泉に入っているプリムをからかっていた。


「今夜は獅子肉のスープと卵サラダサンドイッチね。食材にも限りがあるからひとりひとつよ」

「何だよ。腹いっぱい食べたかったのに」

「俺ももらうぜ。モグモグ。なかなかうまいじゃないか」


カイザルはサンドイッチをほうばりながら満足気な顔を浮かべる。

少しは遠慮しろと言いたい。

食材は運転手を含めて7人分しか用意していないから、切り詰めないと足りなくなる。

とんだお荷物を抱えたものだ。


「それであとどれくらいでヴェズベルト王都に辿り着けるんだ?」

「ミレーネの森を……」

「あとはゴルドス高地を抜ければヴェズベルトだ」


運転手の口を阻んでカイザルが答える。


「それじゃあ……」

「何でもない。そうだよな」


カイザルは口を挟もうとする運転手を睨みつけて黙り込ます。

何だ?

カイザルの様子は気になったが、その時は何も聞かなかった。

そして私達はカイザルの企みにハマって行く。


翌朝、私達はヴェズベルトに向けて出発する。

カイザルの言う通り北東に進みゴルドス高地を突き抜けて行く。

カイザルが言うにはヴェズベルト王都に行くにはウルネス湖を迂回しなければ辿り着けないらしい。

その為、ゴルドス高地を抜けると言うのだ。

運転手は乗り気でない顔をしていたのだが。


「今日は天気もいいし気持ちいいな」

「野原で寝ころんで昼寝でもしたい気分だ」

「モンスターに合わずに行けたらいいですわね」

「そうね。たまにはのんびり旅をしたいわ」


私達の話を聞きながらカイザルがニヤリと笑う。


「何だよ、お前。何か言いたそうだな」

「気のせいだよ。まあ、モンスターに合わないのが一番だけどな」

「変な奴」


カイザルは頭に手をあてて寝転ぶ。

その仕草が何気に気になった。

カイザルはまるでモンスターが出現すると言わんばかりの態度に見えたからだ。

私達はカイザルにハメられたのか。

そんな疑問を抱いていると馬が急に暴れ出す。


「落ち着け!どうどう!」

「どうした?」

「馬が急に暴れ出して」


馬の足元を見やると赤色の針が刺さっていた。

傷跡から赤い血が滴り落ちている。


「手当をしないと」

「待て、ルーン。地面に何かいるぞ」


馬車を降りようとするルーンを止めて地面を見やる。

すると、モゴモゴと地面がうねるように動いている。


「何だ?」

「紅蓮サソリですよ。この辺には紅蓮サソリが生息してるのさ」

「お前、それを知っていて私達をここに連れて来たな!」


私がカイザルの首根っこを掴みかかるとカイザルはしゃあしゃあと言って来た。


「そんなことをしていていいのかい?このままじゃ馬が死んでしまうぜ」

「くっ。仕方がない、紅蓮サソリを討伐するぞ」

「でも、どうやって倒すんだ?」


――紅蓮サソリ――

種類:群れで行動する巨大サソリ。

全長:1メートル

知性:低い

耐性:火炎耐性

弱点:光の魔法に弱い

特徴①:尻尾に毒針を持っている

特徴②:砂地に身を潜めている

生息場所:ドルゴス高地

倒し方:毒針攻撃を封じる


下手に馬車から降りようものなら毒針の餌食になってしまう。

足元には数十の紅蓮サソリが身を潜めている。

毒針を封じるには動きを止めるしかない。

しかし、地面に身を潜めているのではダイヤモンドダストは使えそうにない。

グラシスの魔法で動きを止めるのが効果的だが、光の魔法が使えなくなる。

火炎耐性があるのではガルドもプリシアも相性が悪い。

まずは、紅蓮サソリの姿をさらすのが肝心だ。


「エリザ。サンドストームで紅蓮サソリの姿をさらしてくれ!」

「わかったわ。空を駆ける旋風、風神の目となりて、大地を飲み込め『サンドストーム!』」


魔法陣が地面に浮かび上がると中から小さな竜巻が出現する。

周りの土を撒き込みながら紅蓮サソリを巻き上げて行った。


「よし、ガルド!竜巻に向かって大車輪を放て!」

「何だって!?そんなことしたら俺が竜巻に巻き込まれてしまうじゃないか」

「ガルドの大車輪ならば竜巻を切り裂くことができる。私を信じろ」

「……わかったよ。やってやろうじゃないか」


ガルドは馬車から降りると竜巻に向かって大剣を構える。

そして、


「奥義!『大車輪!』」


そう叫びながら大剣を立て体を回転させて竜巻を切り裂く。

空中に巻き上げられた紅蓮サソリを断ちながら反対側に降り立った。


「ガルド、続けて大車輪を放て!」

「おうよ。奥義!『大車輪!』」


ガルドは竜巻に向かって大車輪を放つ。

紅蓮サソリはされるがままガルドの剣技に沈黙した。

ガルドの大車輪が竜巻を切り刻むように裂いて行く。

その度に紅蓮サソリの体が裂けて飛び散った。


「考えたな。竜巻で紅蓮サソリの動きを封じて大車輪でとどめをさすなんて」


カイザルは関心しながら戦況を見守る。


「よし、ルーン。レイで残りの紅蓮サソリを始末してくれ」

「わかりましたわ。天空より溢れしし光、数多の閃光となりて、大地を貫け『レイ!』」


地面に魔法心が浮かび上がると空から光の光線が降り注ぐ。

竜巻に舞い上げられた紅蓮サソリを貫くように突き刺した。

エリザ、ガルド、ルーンの連携攻撃で紅蓮サソリを全て討伐した。

私はカイザルの胸ぐらを掴む。


「お前、こうなることを知っていたよな?」

「何の話だよ。俺は近道を教えただけだぜ」

「まあ、いい。お前とはヴェズベルトまでだからな」


正直、胸糞が悪かったが、ここでカイザルを問い詰めても口を割らないだろう。

何を企んでいるのかわからないが、あと少しの間だけ我慢すればいい。

ヴェズベルト王都に辿り着いたら放り出してやる。

私とカイザルが揉めている間にルーンはアンチデットで馬の解毒を済ませていた。

そしてキュアで傷口を塞ぐと馬を落ち着かせた。


「よし、出発しよう」


私達は馬車に乗り込むとヴェズベルト王都に向けて旅立った。


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