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6「爆弾娘」

モンスター討伐で死人を出したことは私にとってもショックな出来事だった。

ガルド達はすっかり意気消沈し、ルーンに至っては寝込んでしまっている。

このまま冒険を続けるのも困難な状況にすら見えた。


「クロースをうまく使いこなせなかったのは策士としての私の責任だ。これからガルド達をどうするのかは私にかかっていると言っても過言ではない。クロースの死を無駄にしないためにも冒険を続けなくては」


私はグラスに注いだ酒を持つと、一口で飲み干した。


「しかし、クロースを失ったことでパーティーのバランスが悪くなった。弓使いのように詠唱なく攻撃できるメンバーが欲しいな」


私はひとり宿を後にするとギルドへ向かった。



ギルド内はいつもと変わらず酔っ払い達が祝杯をあげていた。


「ここはいつもと変わらないな」

「おい、兄さん。エルフがゴブリンにやられたんだって?」


どこで話を聞きつけてのか、酔っ払いのひとりが私に絡んで来た。


「ついてないよな。あの非力なゴブリンにやられるなんて。いったいどんな戦い方をすれば、そんな風になれるんだ。ガハハハ……」


酔っ払いは酒を煽りながら豪快に笑って見せた。

しかし、周りにいた連中は一歩身を引いて様子を伺ってる。

全部が全部、この酔っ払いみたいな非情ではないことがせめてもの救いだ。

私は酔っ払いを押しのけると、依頼を選んでいる冒険者達に声をかけた。


「キミは弓使いだな。私達のパーティーに加わってみないか?」

「僕はもうパーティーを組んでいるんだよ。だから、ごめんな」


細身の弓使いは丁寧に断るとパーティーの元へ戻って行った。

仕方がないので他の冒険者をスカウトしてみることに。


「キミはハンターだな。私と組まないか?」

「悪い。俺はハンター仲間がいるんだ。だから他をあたってくれ」


しかし、どの冒険者にあたっても断りの返事ばかり。

駆け出しの冒険者が多いだけに、みんなパーティーを組むことからはじめているようだ。

そんな中、ひとりで依頼を眺めているドワーフの少女を見つけた。


「キミも冒険者なのか?」

「私?私はこう見えても誰もが憧れる爆弾使いよ」


見るからに可愛らしい格好をしている少女からは想像できない。

爆弾使いと言えば、ドワーフが得意とする職業。

大量の爆薬を使うから常に危険と隣り合わせ。

ドワーフでもこの職業に就く者は少ないと言われている。


「爆弾使いとは珍しい。ぜひ、私達と組んでほしいところなのだが、キミはまだ幼過ぎる。他をあたるよ」

「ちょっと、聞き捨てならないわね。私が子供だって?私はこう見えても15歳よ」


私の失言にドワーフの少女はご立腹な様子で睨みつける。

その姿を見ても、とても15歳とは思えなかった。


「これは失礼。レディーに対して言う言葉じゃなかったよ」

「わかればよろしい。それより、仲間を探しているんでしょ?私、仲間になってあげてもいいわよ」


ドワーフの女の子は機嫌を直すと、私にすり寄って来た。


「でもな……」

「他にあてがないんでしょ。なら、私しかいないわよね。仲間にして損はないわよ」


どこからそんな自信が湧いてくるのかドワーフの少女は胸を張って見せる。

私は迷ったが、他にあてがないので、とりあえずこの少女を仲間にすることにした。


「とりあえず仲間にするが、力不足だったら、すぐに降りてもらうからな」

「わかったわ。私はプリシア。よろしくね」


私とプリシアはお互いに自己紹介を済ませると、次の依頼を選んでからガルド達のいる宿へ戻った。



「タクト、正気か。その子はまだ年端もいかない子供じゃないか!?」

「ちょっと、失礼ね。こう見えても私は15歳よ。立派なレディーだわ」


私に食い掛かって来るガルドを睨みつけ、プリシアが怒りをあらわにした。


「それにしたってタクト。私達、クロースを亡くしたばかりなのよ。モンスターと戦う気なんて起きないわ」

「そうです、エリザさんの言う通りです。私も気が進みません」


意気消沈しているエリザとルーンはうつろな面持ちで言って来た。


「それはわかっているが、ここで諦めてしまったらクロースの死も報われないぞ。クロースは何のために命を懸けたんだ」

「「それは……」」


エリザとルーンは言葉を失って黙り込んでしまった。

クロースを失ったショックは私とて同じ。

策士としての私の不甲斐なさから起こった出来事なのだ。

すると、その様子を傍らで見ていたガルドが口を開いた。


「エリザ、ルーン、冒険に戻ろう。俺達はクロースの意思を継がなければならない。そのためにパーティーを組んだのだからな」

「……わかったわ、ガルド」


心の入ったガルドの言葉に押され、エリザとルーンは了承した。


「それより私を紹介してよ?」

「忘れていた。この娘は爆弾使いのプリシアだ。私達の新しい仲間だ」

「よろしくね」


プリシアはかしこまった様子でお辞儀するとガルド達も応えた。


「俺は剣士のガルドだ」

「私は魔法使いのエリザよ」

「私はプリーストのルーンです」


私達はお互いに手を重ねると気持ちを一つに合わせた。

これでパーティーは五人に戻った。

弓使いの代わりに爆弾使いが入り。

戦い方はこれまでと変わることになるが、貴重な戦力だ。

そして、次のターゲットにしたのはこのモンスターだ。


「ゴーレム討伐が次の目標だ」

「ゴーレムって、あのゴーレムか!?」


私の言葉にガルドが目をむき出しにして驚く。

それを受けるようにエリザが自信なさげに呟いた。


「今の私達じゃ難しい相手じゃない?」

「総合的に強さを比較したら、私達の方が劣る。しかし、戦い方次第で戦況は大きく変わるものだ。やって損のない相手だぞ」

「タクトさんが、そこまで言うのなら」


私の説得にルーンは同意を示した。


「ようし、みんなゴーレム討伐に行くぞ!」


ガルドが音頭をとるとみんなの気持ちがひとつにまとまった。


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