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47「暗躍」

魔獣キマイラが出現してから、今日。

今だ集まらない兵士達に焦りを感じていた。

若くして国王に君臨したブレックスにとって軍事力は必須のもの。

世界各国の王達より経験も浅く発言力も低いブレックスは各国の王達から低く見られていた。

それが何よりも許せないブレックスは権力に固執する。

力こそ正義と声高に叫び、自国の軍事力を強化させる。

それは誰よりも早く魔銃討伐隊を指揮して名声を上げようと目論んでいたからだ。


「なぜ、奴らは来ないんだ。私が直々に招集をしたのだぞ」

「はっ。策士タクトは国王様の命令を無視したのです」


玉座のひじ掛けを叩きながら苛立つブレックス国王。

目の前で畏まる騎士に憤りを隠せない。

国王直々の召喚と言えば絶対的なものだ。

断る者などいないと踏んでいただけに落胆は隠せない。


「この役立たずめ!」

「申訳ありません」


膝ま付きながら頭を垂れる使者の顔から血の気がひく。

国王を怒らせたら何をされるかわからない恐怖があったからだ。

ブレックス国王の手腕は強引なものがほとんどだ。

軍事力を強化するために税を上げて資金を調達させたり、民衆を集めて兵士として訓練させたり。

従わないものには制裁を加えてねじ伏せる。

力の強い国王を演じることで民衆を従わせていた。

いわゆる独裁国家が行う恐怖政治だ。


国王は一族の継承順によって決まって行く。

選挙で選ばれた国王でないので権力を独占しやすい。

そのため国政は独断で行えると言う利点がある。

戦争を行う時は、反対されることもなく断行できる。

国の行く末は国王の手にかかっていると言っても過言ではない。

それ故に責任も重いのだ。


しかし、まだ若いブレックス国王は戦争の経験がない。

戦況を読めないばかりか、戦争の手順さえわからない。

けれど、若さゆえ、どの国の国王よりも勢いがある。

それは時に戦場では有利に働くのもの。

ブレックス国王は自信と過信に満ちていた。


「我が軍の軍事力を強化させるには策士の存在は欠かせない。何としてでも連れて来るんだ。手段は選ばない」

「はっ!畏まりました」


ここで策士を逃しては我が国が勢力を伸ばすことは望めない。

東方のダゼルもしかり、他の国の王達に先を越されることは防がなくては。

実権をつかむには言葉より行動が肝心だ。

行動で結果を示してこそ権威を掴むことが出来る。

世界の王に君臨するためにも、魔獣討伐は私が指揮をとらなければ。

老いぼれ達には任せておけない。



魔獣討伐隊の編成の一報が届いたのは数日前。

グラハムのダゼル国王から知らせが入った。

”我が国のサミトス周辺で魔獣キマイラの出現を確認。他の魔獣の覚醒にも繋がる忌々しきことと。聖戦へ向けた準備が必要と考える。各国が協力し魔獣討伐部隊の編制に協力されたし”


「魔獣キマイラだと……。これはチャンスだ。私に訪れた吉報に違いない。おい、軍師を呼べ!」


ブレックス国王は手紙を握りしめながら軍師を呼びつけた。


「お呼びでしょうか、ブレックス国王様」

「今すぐに兵士を徴収せよ。数は10万だ」

「10万ですと!そんな兵士は我が国にはおりません」

「これは命令だ」


ブレックス国王は権威を振りかざし軍師を黙らせる。

軍師は戸惑いながらも首を縦に振るしかなかった。


「それと策士を連れて来い」

「策士でしょうか。策士は既に消滅してしまっているのでは」

「策士はいる。あのアラジンも策士のひとりだ」

「ならば、アラジンを捉えることも……」

「手段は選ばない。金に糸目もつけない。策士を連れて来い」

「畏まりました」


アラジンを捉えたところで味方になるとは毛頭、考えていない。

奴の持っている戦術帳が目あてだ。

戦術帳があれば私でも作戦を立てられる。

策士ほどの戦術とはいかなくても軍事力強化には繋がる。

まずは魔獣に対抗できるだけの軍事力を身につける必要があるのだ。


他の国も今頃、魔獣討伐隊を編成しているだろう。

自国の軍事力を結集させ最強の部隊を持ち込んで来る。

それよりも強力な部隊と戦術が必要だ。

いくら強力な部隊を編制したと言えども、それを指揮する戦術がなければ無駄に終わる。

戦術が戦況を変えるほどの力を持っていることは、先の戦で証明されている。

たとえ策士がいなくても策士に変わる者がいればいいのだ。


「魔獣……待っていろ。私が狩ってやる」


ブレックス国王は確信めいたように強かに笑った。


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