15「国王からの手紙」
翌日、宿屋へ私宛の手紙が届いた。
送り主はなんとダゼル国王。
一国の王様が私宛に寄こす手紙なんていったいどんなものか。
さっそく手紙の封を切ると広げて読んでみた。
――こたびのお主らの活躍はワシの耳にも届いておる。
そなたはニーズの街を救った英雄として称えられている。
死神討伐、見事であった。
そなたの様な冒険者がいることに感謝をしたい。
今回、我が王国の戴冠式が行われるのだが、そなた達にもぜひ参加してもらいたい。
グルンべルグ王国で待っておるぞ。
ダゼル国王。
「タクト、凄いじゃないか。ダゼル国王から召喚状をもらうなんて。もちろん参加するんだろ?」
「……いや、まだ、迷っていてな」
身を乗り出して食い気味に言って来るガルドは参加したい様子をアピール。
しかし、私は迷っていた。
「何を迷っているんだよタクト。ダゼル国王の直々の誘いに臆したのか?」
「そんなんじゃないよ。まだ、私には早いかなって思ってさ」
ダゼル国王から召喚状を頂けることは大変、名誉あることだ。
普通に冒険をしていても、そもそももらえることはない。
勇者にでもなれば話は別なのだが、それでも強力なモンスターの討伐は必須だ。
今回、私達は運よく死神の討伐に成功することができた。
それは私ひとりの力ではなく、ガルド達、並びに、街の冒険者達がいてくれたおかげだ。
だから、戴冠式に参加することに気が引けていたのだ。
「タクトがそう言うなら仕方ないんじゃない。諦めなさいガルド」
「本当かよ、タクト。ダゼル国王からの召喚状だぞ。こんな名誉なことは滅多にないんだぞ」
「ガルド、悪い。今回は見逃してくれ」
かしこまって丁寧に謝る私を見て、ガルドも観念したのかしぶしぶ頷いた。
「それでこれからどうするんだ?この街の近辺のモンスターはあらかた倒したぞ」
「北東のサミトスの街へ行こうかと考えている。さっき、ギルドから直接依頼が入って、サミトスの街の近辺にいるモンスターを討伐して欲しいとのことだ」
私の答えにガルドはマジかよと言わんばかりの表情を見せる。
「サミトスの街と言えば雪の降るところよね?」
「そうだ。北東は一年中、雪の降り積もる凍えるような寒さの所だ」
北東地方はこの大陸でも珍しく雪が一年中見られる。
それ故、生息している動植物も珍しい種類のものが多く、記念物に指定されている。
もちろん、モンスターも寒さに強い物しかいない。
「雪って何?美味しいの?」
「雪はフワフワしていて、触ると冷たいものだ。かき氷にして食べる風習もあるが、北東地方では見られないな」
「かき氷、食べてみたい」
どんなものを想像しているのかわからないが、プリシアはムフフと笑うと目を輝かせ涎を垂らしていた。
「北東に行くなら身支度も整えないといけませんね。私は厚手の服は持っていませんから」
「そうだな。北東に出掛ける前に、新しい服を新調しよう。死神討伐の報酬も入ったことだし、ついでに武器や魔法も強化しておくんだ」
私達はそれぞれ街の店に向かうと衣服や武器、魔法を強化した。




