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127「三つ巴の戦い」

第一段階はプリ―ストのプロテクションをかけつつ魔術師部隊を最前列に移動させる。

第二段階は魔術師部隊サンドストームで敵を払いのけつつ重装備部隊で防壁を造る。

第三段階は弓部隊で後方支援をしつつ騎馬隊を突入させる。

ここまではいい。

問題は敵の大砲をどう制するかだ。


「敵の大砲を使えないようにするのがいいのではないか」


それならばサンダーストームで破壊するのが一番だ。

しかし、敵も魔法で対抗して来る。

魔法で魔法を打ち消されてしまえば意味がない。

大砲を破壊せずとも使えなくする方法は……。


「グラシスだ!」

「何だ、いきなり大声を出して?」

「グラシスだよ。グラシスならば大砲を使えないように出来る」


私は興奮しながらラクレスに詰め寄る。

もともとグラシスは魔法のツタで敵の動きを止める魔法だ。

下級魔法で詠唱時間も短く使い勝手がいい。

冒険の序盤では頻繁に活用していた。

多数で一斉に魔法をかければ、その効果は絶大だろう。


「中門を突破すれば敵は大砲をぶち込んで来る。その時にプリ―スト達にグラシスを唱えさせる。そうすれば大砲を使えないように出来る。もちろんプロテクションで防壁を造りつつになるだが」

「ならばプリ―ストを2つに分けることだな」

「全部隊をひとところに集めておけばプロテクションは広範囲にしなくても済む。浮いた要員をグラシス用にあたらせる」


前線に立たせるプリ―ストは全部で千いる。

その内、半分をプロテクション要因に、残りをグラシス要員にする。

アルタイル軍のプリ―ストとグルンベルグ軍のプリ―ストで分けるのが無難だ。

その方が統制がとりやすい。


「敵の大砲を阻止できれば騎馬隊を突入させることが出来る」

「しかし、敵のプリ―スト達もグラシスで対抗してくることはないのか?」

「重装備部隊で敵の騎士達と衝突させておけば、敵のプリ―スト達は回復に回るだろう。敵の方が数が少ないのだからな。兵士の損失には気を使うだろう」

「なるほどな」


ここへ来て合同軍が大部隊であることに救われる。

兵力に余裕があれば、それだけ様々な戦況にも対応ができる。

この戦術で確実にクーデターを制圧出来るだろう。


「よし。次の攻撃を開始するぞ!」


こうして私達の侵攻は再び幕を開けた。

確実にクーデターを制圧するために立てた戦術を持って。

もちろん敵も簡単には城を落とさせないだろう。

お互いに手の内を見せ合った状況だ。

勝利を手に出来るのは確かな戦術を立てた方だ。





合同軍は隊列を組んで侵攻をはじめる。

それに応対するように敵の弓部隊がけん制をして来た。

私はすぐさまプリ―スト部隊に支持を出す。


「プロテクションで敵の弓攻撃を阻止せよ!その間に魔術師部隊は最前線へ移動せよ!」


アルタイル軍のプリ―スト部隊が魔法の詠唱に入ると同時にエリザ達、魔術師部隊が最前列へ移動する。

そしてアルタイル軍のプリ―スト達が一斉に魔法を放つ。


「「天より降り注ぎし光、星光の束となりて、かの者を守らん『プロテクション!』」」


金色の魔法陣が浮かび上がると光の壁が魔術師部隊の前に競り立つ。

すると敵の弓部隊の雨あられのような無数の矢の攻撃を弾き返す。

それを見て最前列にいた魔術師部隊が進軍をはじめる。

もちろんプリ―スト部隊はプロテクションをかけたまま進軍をして。

その間も敵の弓部隊からの攻撃の手は緩まない。

攻撃が効かないとわかっていても攻撃は止めないのだ。


「次はエリザ!サンドストームで敵の騎士団を吹き飛ばせ!」


エリザ達はプロテクションに守られながら最前列で魔法の詠唱に入る。

すると、敵の騎士団が先制攻撃を仕掛けて来た。

すかさず私はプリシアに支持を出して後方支援をさせる。


「エリザ達には近づけさせないよ!」


プリシアの合図で合同軍の弓部隊は一斉に矢を放つ。

無数の矢はきれいな円弧を描いて敵の騎士団に降り注ぐ。

たまらずに敵の騎士団は後退をはじめる。

そしてエリザ達の詠唱が終わると、


「「空を駆ける旋風、風神の目となりて、大地を飲み込め『サンドストーム!』」」


城へ続く橋の中央にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がると小さな竜巻が出現する。

そして周りのモノを飲み込みながら巨大な竜巻へと姿を変えていく。

敵の騎士団は身構えながら暴風に耐えていたが虚しくも竜巻の飲み込まれて行く。

敵の騎士が空に放り出されると城へ続く橋に一本の道が出来上がった。

同時に私はガルド達、重装備部隊に支持を出して最前列に移動させる。

ガルド達、重装備部隊は正門の前で防壁を造った。

ここまでは戦術通りだ。

すると、敵は作戦を変えて大砲を前面に押し出して来た。


「よし、ルーン。グラシスで敵の大砲を使えないようにしてくれ!」


ルーン達、グルンベルグ軍のプリ―スト達は前に出ると詠唱に入る。

それを見て敵の砲撃手は大砲を撃って来た。

巨大な砲弾が光りの壁にぶつかると大爆発を起こす。

しかし、光の壁は無傷で敵の砲撃から仲間達を守っていた。


「いくら撃っても無駄だよ。もう、降参しろ!」


ガルドは光の壁の内側で敵を挑発するように叫ぶ。

それに対抗するかのように敵の砲撃手は砲弾をぶち込んで来た。

無数の爆炎が光りの壁を覆う。

そしてルーン達が魔法の詠唱を終えた。


「「大地よりい出し伊吹よ、漆黒の鎖となりて、かの者を絞殺せ『グラシス!』」」


敵の砲撃手の足元に緑の魔法陣が浮かびあがると地面から無数のツタが伸びて来る。

無数のツタは大砲に絡みつきながら飲み込んで行った。

巻き込まれないように敵の砲撃手は大砲を手放す。

そこにはツタに飲み込まれた大砲の樹像が出来上がった。


「よし、ドミトス!騎馬隊で突入せよ!」

「これで終わりにしてやる!皆の者、行くぞ!」


ドミトスは合同軍の騎馬隊を率いてアルタイル城に突入して行く。

それに対抗するように敵の騎士団が立ち塞がる。

ドミトス率いる騎馬隊と敵の騎士団は城の入口で衝突する。

すると敵の弓部隊が前線目がけて矢を放って来た。

ドミトス率いる騎馬隊がひとりまたひとりと討ち取られて行く。

それを受けて私はガルド達に指示を出す。


「ガルド!アルタイル城へ向けて突進せよ!」

「そうこなくっちゃな。これで終わりにするんだ!」


ガルドは大剣を引き抜いて敵の騎士団へ向かって行く。

それに続くように重装備部隊が突入をはじめた。

敵の騎士団とガルド達、重装備部隊が激突する。

その間も敵の弓部隊からの攻撃は続いていたが、重装備部隊には効かなかった。

すると、今度は敵の魔術師部隊が魔法の詠唱に入る。


「エリザ!魔法で対抗せよ!」


エリザ達、魔術師部隊は橋の手前まで前進すると魔法の詠唱に入る。

もちろんプリ―スト達は再度プロテクションを放ち光の壁を造る。

そのおかげで敵の弓部隊の攻撃はエリザ達には届かない。

戦いにおいては先手先手をとる戦術が肝要なのだ。

敵の魔術師部隊は詠唱を終えるとダイヤモンドダストをガルド達に向けて放って来た。

すかさずエリザ達は、


「「零氷が紡ぎし雫、氷雪の飛礫となりて、空間を切り裂け『ダイヤモンドダスト!』」」


同じ魔法で敵の魔法を打ち消す。

お互いのダイヤモンドダストは宙でぶつかり合い跡形もなく消え去った。

これで次の魔法を放つまでに時間を稼げる。

その間にアルタイル城を制しておくのだ。

ガルドは爆裂剣を連発しながら敵の騎士を薙ぎ払う。

ドミトスも馬上から敵の騎士を翻弄していた。

敵はじわりじわりと後退しながら城の中に押し返されて行く。


「あと一息だ。その為には敵の弓部隊の勢いをとめなければならない。プリシア、敵の弓部隊を目掛けて攻撃をせよ!」

「任せてよ!みんな行くよ!」


プリシア達、弓部隊は橋の中央まで来ると城の上にいる弓部隊目がけて攻撃をはじめる。

プリシアは、それをフォローするように爆裂霧弾を放って敵の視界を奪った。

私の指示がなくともプリシアは状況を判断して的確な攻撃を仕掛けている。

それはこれまでの戦いの経験がプリシアを成長させて来たからだろう。

頼もしいものだ。


「もうひとおしだ!みんな頑張れ!」


私は部隊の士気を高めるように気合を入れる。

それに応えるように兵士達はいきり立つ。

これでアルタイル城を制するのも時間の問題だ。

後は戦況を見守るだけ。

すると、空に乾いた音が響き渡ると後方で待機していた魔術師が倒れ込む。


「何だ?」


私は周りの様子を確認するとひとり、またひとりと魔術師達が撃ち落とされて行く。

その奇襲攻撃は止まずに魔術師達を仕留めて行った。

私は地面に伏して状況を確認する。

すると、丘の上にキラリと光るものが見えた。


「敵は丘の上にいる!みんな身を屈めろ!」


私の指示を受けて後方にいた魔術師部隊は一斉に身を伏せる。

しかし、敵の銃撃は止まずに次々と魔術師を捉えて行った。


「このままでは狙い撃ちだ。みんなアルタイル城の正門まで駆け抜けろ!」


私は勢いよく立ち上がるとアルタイル城の正門まで走って行く。

それに合わせるように魔術師達も立ち上がり一斉に正門まで駆け出した。

それでも敵の銃撃は止まずに逃げ惑う魔術師達を仕留めて行く。

ものの数分で100名ほどの魔術師達の命が奪われてしまった。

私達は正門の影に隠れながら銃弾が飛んで来た丘を見やる。

すると、丘の上に無数の人影が現れた。

その数にして3千はくだらないだろう。

他にも部隊を隠していたと言うのか。


「タクト、これはどう言うこと?」

「わからない。しかし、あいつ等は私達の敵だと言うことだけははっきりしている」

「それにしてもあの武器は何でしょう。弓でもないようですし」


あれはおそらくドワーフ村で見た銃と言う武器に違いない。

だとするならばあいつらは過激派と言うことになる。

この混乱に乗じてマクミニエル国王の首をとるつもりか。

すると、過激派が武器を掲げながら一斉に丘を駆け降りて来た。


「来たわよ。どうするの?」

「仕方がない。迎え撃つ」

「両方を相手にするつもり?」

「それしかない。反乱軍はガルド達に任せて私達で迎え撃つんだ。ルーン、プロテクションで敵の攻撃を防いでくれ!」

「わかりましたわ」


ルーン達、プリ―スト部隊は一斉に魔法の詠唱に入る。

そこを狙い撃ちするように敵の銃撃部隊が銃撃を放ってくる。

次々とプリ―スト達は銃撃に倒れて行く。

それでもルーン達は魔法の詠唱を止めることはなかった。

そして、


「「天より降り注ぎし光、星光の束となりて、かの者を守らん『プロテクション!』」」


一斉に魔法を放つと光の壁が目の前に聳え立った。

銃弾はプロテクションに阻まれて弾き返される。

それでも過激派の銃撃は止むことはない。

次いで戦斧を掲げた2千ほどの戦士達が一斉に立ち向かって来た。


「エリザ!ダイヤモンドダストで敵の動きを封じるんだ!」


エリザ達、魔術師部隊も一斉に魔法の詠唱に入る。

過激派の戦士達はプロテクションを避けるように2手に分かれ突入して来る。


「マズイな。両サイドから攻め込まれたら一溜りもない」


かと言って今プロテクションを外すと敵の銃撃に合ってしまう。

ガルド達、重装備部隊と騎馬隊は前線で敵と交戦中だ。

追撃に回す兵はいない。

私達だけでやるしかない。

エリザ達、魔術師部隊は過激派の戦士達を十分に引きつけてから魔法を放つ。


「「零氷が紡ぎし雫、氷雪の飛礫となりて、空間を切り裂け『ダイヤモンドダスト!』」」


過激派の戦士達の足元に青色の魔法陣が浮かび上がると空気中の水分が冷気を放つ。

そしてパキパキと音を立てながら過激派の戦士達を氷像へと変えていく。

それが壁となり後方にいた過激派の戦士達は足を止めた。


「これで何とか蓋は出来たな。しかし、時間を稼ぐだけにしかならない。次の手を考えなければ」


ガルド達は今だ交戦中。

さっきよりもだいぶ城へ近づいたが、まだ反乱軍の反撃は止まない。

そしてこちらは過激派に取り囲まれている。

どちらにも退路がない状況だ。


過激派達は魔術師部隊とプリ―スト部隊で止めるしかない。

過激派は間接攻撃の銃撃部隊と近接攻撃の戦士部隊のみ。

銃撃は止むことなく続いているからプロテクションはかけ続けなければならない。

ならば交代交代でプロテクションをかけつづけるしか方法はないだろう。

後は戦士部隊の対応だ。

ダイヤモンドダストの効果が切れれば戦士部隊は動き出す。

回り込まれないように近づけさせないようにしないといけない。

それにはファイヤーウォールをかけ続けることだろう。

ガルド達の交戦が終わるまでは、この戦術で凌ぐしかない。

体力勝負になりそうだが、それもしかないだろう。


「よし。ルーン、エリザ。部隊を2つに分けて魔法をかけ続けるんだ。ルーンはプロテクションを、エリザはファイヤーウォールを」

「タクトを信じるわ」

「みなさん行きましょう」


私の指示通りエリザとルーンは部隊を2つに分ける。

そして間髪入れないように魔法を続けざまに放った。

これで過激派の攻撃はとりあえず防ぐことが出来た。

しかし、長期戦にでもなれば、こちらが不利になるだろう。

魔力が尽きれば魔法がかけられなくなってしまう。

それまでにガルド達に決着をつけてもらわなければ。


「ガルド、戦況はどうだ?」

「あと少しだぜ」


ガルドは激しく肩で息をしながら報告をする。

見ると反乱軍の騎士団はほとんど倒れていた。

今はドミトス率いる騎馬隊が前線で騎士団と交戦をしている。

プリシア達、弓部隊も後方支援をしながら戦っていた。


「それよりエリザ達は何をしているんだ?」

「後ろから過激派に狙われていてな」

「過激派だって!こんな時に」

「だから早めに決着をつけてもらいたい。こちらも時間がモノを言う状況なんだ」

「わかったぜ。エリザ達にはもうちょっとの辛抱だって伝えてくれ」


ガルドは、そう言い残すと騎士団へ向かって突入して行った。

後はガルド達の戻りを待つだけ。

それまではエリザ達に粘ってもらわなければならない。

私は戦況を見守りながら部隊の指揮にあたった。


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