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第二話 アタシのカレシ2

 アタシの夜は長い。

 お母さんは一時間前に知らない10歳以上若いお兄さんと家から出たのを確認した。どうせ朝に帰ってくるからどうでも良い。家を出ると、私は街の方にぶらぶらと歩き出した。大胆に脚の出たスカートを履いているので視線がチクチク刺さる。悪くない。しばらく歩いていると、一軒のコンビニについた。入り口にはいつものメンバーが揃っていた。

「あ、真由!」

 その中でアタシに呼びかけてくれたのはカレシのヨシアキだった。走っていくと、ニコニコ笑いながらアタシを輪に入れてくれた。ヨシアキはこのあたりで一番喧嘩が強い男の子。一見地味に見える恰好をしているが本当はとってもカッコイイの。アタシの学校に喧嘩好きは多いがカッコイイ子は居ない。でもヨシアキは違う。喧嘩が強いだけでなく頭も良いのだ。学校ではテストで毎回順位が上の方らしい。アタシがヨシアキに出会ったのは、絡まれていたのを助けてもらった時。他校の生徒に囲まれていた時に全員叩きのめしたのが彼だったのだ。アタシには白馬に乗った王子様よりも最高にカッコイイ男の子。その日から色んな友達に聞き込みをして名前を知り、学校を知り、そして告白をした。少し困った顔をしてからヨシアキは「良いよ」と言ってくれた。そして今に至る。あの時どうして少し困った顔をしたのかはわからない。

「そのスカート最高に可愛いね。でも他のヤツに見られるのは悔しいかも」

そう言ってアタシの太ももに手を置いてくれる。少しぞわぞわするけど嬉しくなって、手を重ねる。

「ねぇ真由、今さ家に誰もいないんだけど家に来ないかな?」

「えっ!良いの?行きたい行きたい!」

今まで何回アタシからお願いしても駄目と言って断っていたヨシアキの家、まさか本人から言われると思わなかった。スカートのおかげかな?

「じゃあ今日はオレら帰るわ」

立ち上がったヨシアキの腕に絡みつくと、アタシ達は輪から抜けて歩き出した。しばらく歩いているとヨシアキがアタシの顔を見た。

「ねぇ、さっきから誰かついて来てないか?」

「え?アタシには全然わからないけど……キャ!」

言われて振り返ると、電柱の影に女の人がいた。よく見ると凄く美人な女の人だったが、顔は青白く元気がなさそうな色をしている。

その時にヨシアキの異変にアタシは気が付いた。明らかに顔色が悪くなっていたのだ。何かボソボソと呟いているが全く聞き取れない。

「ごめん、オレちょっと帰るわ」

そう言って爆速で逃げ帰ってしまう。追いかけようとしたが、一瞬だけ見えた顔の迫真さから声もかけられなかった。あんな顔初めて見た。振り返るとさっきの美人さんは消えていた。頭に幽霊という文字がよぎってしまい、私もいつもより速足で家に帰った。

 数日間ヨシアキから連絡が返ってくることがなかった。不審に思ったアタシは久しぶりにコンビニ前に行ってみる。

「あ、ヨシアキのカノジョさん!やっと来てくれた」

取り巻きの一人である男の子から声をかけられた。普段は干渉してこないのに珍しいなと思いながらそちらを見た。

「実はヨシアキのやつ、事故死してしまったんです」

頭が真っ白になった。その事故はアタシと一緒に家に向かっていた後に起きていたようだ。

「二人で歩いていたら突然走って行った日だ!でもなんで……」

思い出したのはあの美人さん。もしかしたらあの人と何かあったのかもしれない。


アタシの依頼はヨシアキと連絡を取って、どうして逃げたのか知りたい。

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