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第二話 アタシのカレシ4

私の名前はキコ。高校二年生です。

 第一志望の高校に落ちてしまった結果、地元の高校に入ることになりました。親からは呆れられたし、私自身も教室の雰囲気についていけなくて毎日一人で過ごしていました。

そんな私のクラスには賢い男の子がいます。その人の名前はヨシアキ君と言うそうです。

誰にも分け隔てなく笑顔で話してくれるとても優しい男の子です。私も話したことが何度かあります。

 そんなある日、クラスの委員決めがありました。誰もしない図書委員でゆっくりしようとしていたのに、まさかの事件が起きたのです。

「はい!オレ図書委員の男子枠やる!」

意気揚々と手を挙げたのはヨシアキ君でした。教室中が驚いた中、ヨシアキ君は私を見てニコリと笑いました。


「ねぇ、キコちゃんって呼んでも良い?オレのことはヨシアキで良いからさ」

さっそく図書委員での仕事が始まりました。本の貸し借りの仕事では、普段なら来なさそうな女の子がたくさん来ています。でもヨシアキ君は静かにしないといけないよと言って女の子たちに帰ってもらっていました。

「うん、良いよ。どうしてヨシアキ君は図書委員になったの?」

「オレ前からテストの順位で1位のキコちゃんのこと気になってたんだ。すごい賢いし……可愛いし」

この学校のテストはそれほど難しくない。実際にまだ順位を落としたこともない。それよりも後ろの言葉に驚いて本を落としてしまった。

「え?私そんな他の子に比べたら全然可愛くないですよ!ヨシアキ君の方がかっこいいですし」

するとちょいちょいと手招きをしてひそひそと話してくれました。

「オレは化粧して頑張っている子も凄いと思うけど、キコちゃんみたいに可愛い子が好きだな~」

ボンッと一瞬で顔が赤くなるのがわかった。

「ね、オレ達付き合わない?」

私は嬉しさのあまり顔を上下に振るだけで精一杯でした。

 その日から私の生活は一転しました。付き合っていることは秘密にしていましたが、毎日寝る前に電話をしたり、学校ではさりげなく笑いかけてくれていました。付き合って何週間かしたくらいに家に呼ばれました。どうなるか察していたものの、私は逃げることなく家に行きました。私は彼との関係に浮かれていました。だからどうして私だったのか疑問に思わなかったのです。

放課後、図書室で借りたい本を取りに行って教室に帰った際に、教室内で話している声が聞こえてきました。

「どうよ?キコちゃんと付き合ってどんな感じなんよ?」

「え?ああ……まあ良い感じかな。可もなく不可もなくだよ」

これ以上聞けなくてわざとらしく足音を鳴らしながら教室の少し遠く離れたところから向かったのです。


 何度目かの家の後、私は体に違和感を持ちました。そしてとうとう気づいてしまったのです。体には新たな生命が宿っていました。その時私は本当に嬉しかったのです。学校に行き場があるわけでもなかったですし、親と離れる正式な理由ができたのですから。勿論ヨシアキ君も喜んでくれるだろうと思いました。久しぶりに家に行き、私はこのことを伝えました。ヨシアキ君の反応は私が思っているのと違いました。

「墜ろして」

「な、何で?嬉しくないの?」

初めて見た表情をしていました。まるで見下すような表情をして私のことを見ていたのです。

「そんなわけないだろ!そっちがそのまましていいって言ったからだろ!?自業自得だろ」

そう言って私を部屋から追い出してしまいました。どうしたら良いかわからなくなりました。

新たな生命は私の中で今もキラキラと輝いているようです。それを自分の力で消すわけにはいきません。親にも学校にも言うことができなかった私ですが、その日を境にヨシアキ君の反応も悪くなりました。


でも独りぼっちではありません。私には赤ちゃんが居たのですから。


 気分が悪くてフラフラと教室に戻っている際に、あの時と同じように声が聞こえてきました。

「最近あのキコちゃんと一緒に居ないじゃん。どうしたの?」

嘲笑うようにヨシアキ君は言いました。

「もういいよアイツ。子ども産むとか言い出したし。正直手に負えんわ。勝手にしてくれ」

私は扉を開けるのをやめました。そのまま勢いよく階段を上りました。吐きそうに、泣きそうになるのを必死に我慢して屋上につくと風が私の背中を強く押してくれます。

「ねぇ、もうヨシアキ君は勝手にしてくれって言ってたね。悲しいなぁ」

地面をのぞき込むと、少しだけ不安になりました。でも、私は独りじゃなかったですから。ひらりとジャンプすると鳥になったような気持ちになりました。不思議と怖くなかったのです。


目を閉じる直前、ふと教室をのぞくと丁度ヨシアキ君と目が合いました。


静寂

キコちゃんは復讐を大成功させたということで。

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