偽善者
著者の日常から気付いたことについて
私は偽善者がきらいだ
そう思っていた
でも、ふと気がついた
そういう私こそ、偽善者かもしれないと…
昔、職場にとても穏やかな人がいた
彼女は世界的な宗教の信徒なのだといった
何か困った事があったら、いつでも相談して欲しい
良かったら自宅に遊びにおいでと、
私は宗教について興味はあったが、詳しくは聞かなかった
やがて、職場で一緒にいる時間がながくなり
彼女のこころの動きがみえる様になった
具体的にいうと男女関係の問題だ
当時、私は経営者(男性)と彼女が勤める会社に
パートから正社員となり、事務所には私を含めて
3人で働くことになった
他には20人以上のパートさんがおり
経営者や彼女、そして私がそれらの人のスケジュールを
管理しながら、会社運営を行う事になった
もうお分かりかもしれないが、私が入ったことで
彼女の私に対する接し方が微妙に変化してきた
ある日、経営者より話しがあったと彼女がいった
「○○(私)さんがする事を制限せずに見守るように」と…
当時、私はパートさん達を指導できるように
資格を取得したばかりだった
私は張り切っていたとおもう
私より先に社員として勤務していた彼女は
どうおもったのか?
またある日、20代であろう派手めな二人の女性が
経営者を訪ねてやってきた。丁度留守だった為に
その旨を伝えると名前を名乗り、「来訪したことを
伝えて欲しい」との事。その時、私が
対応したが、二人が帰った後の彼女は
「今のなんだったの?」と私に問いただした
私、「さあ、よくわかりませんが来訪した事を
社長に伝えて欲しいそうです」と彼女に伝えた
その後も彼女はこの事を、とても気にしていた
また、ある日は私が外周りから事務所に帰ると
中から鍵がかかっており、ベルを鳴らしても反応がなく
スペアキーで開けようとしたら、中から彼女が現れた
その時の彼女の姿に私はギョッとした
普段は身だしなみのきちんとしている彼女の
髪にしっかり寝癖がついており、私と目を
合わさないように俯いているのだ
この時間、事務所には経営者と彼女の二人がおり
通常はパートさんがいつでも出入りできるように
鍵は掛けない事になっていた
私は一気に不快感を感じた
当時、二人はお互いに独身であった
物質的には障害はないが、後から入った
私には二人の関係を知られたくなかったのか
よくわからない
そんなこんなで、彼女と私の関係は
いつしかギクシャクし始めた
ちなみに、当時の私は既婚者で経営者に
対しても、苦手意識が芽生え始めていた
私は…そうならそうと言ってくれれば、
気が楽なのにと思っていたが、あえて触れず
気付かないふりをした
私の憶測だから、ホントの所はわからない
その後、私は居づらくなりしばらくして辞めた
数年して、同じ業界の研修でばったり彼女に会い
私、「○○に受かったんですね、良かったですね」と
声を掛けたところ、彼女から「どういう意味?」と聞かれた
私は数年前に○○に受かり同研修を受けていたが、
その言葉に特に意味はなく
称賛の意を表したつもりだったが、またしても驚いた
それからは特に彼女に会うことはなかった
私のなかでは、世界的な宗教に対する不信感のみが残った
現在、私は長年に渡って携わった業界を離れている
自分に自信がなくなり、とてもその業界では
やっていけないと感じたからだ
心も身体もボロボロだ
でも、何らかの形でお役に立ちたいとおもい
行政の窓口に相談をしてみた
窓口の方より、ボランティアの受け入れ先の一覧表を
見せてもらった。後で連絡をとるため
手帳に書き留めていった
そこには、見覚えのある名前がいくつもあり、
その中に、彼女の名前もあった
偽善者
私は彼女の事をずーっとそう思い、
忌み嫌っていた
いや、待てよ
もしかしたら、私の方が偽善者!?
自分の存在意義を確かめたくて、
ボロボロになるまで、ずーっと業界で働ていた
そして今は離れたが、誰かに必要とされたくて
業界の扉をまた叩いている
偽善者
心やおこないが正しいように見せかける者
果たして、私は大丈夫だろうか…
ここまで、つきあって下さりありがとうございました