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異世界のシャボン玉の色は  作者: アオとら
1/1

プロローグ          天使との出会い               

はじめましてヽ(´▽`)/

初投稿にございます。

自分でも小説を書くのも初めてとなりますので、何か至らぬ点や表現のミス等あればコメント頂けると幸いです。

これから続く予定になりますので、何卒よろしくお願いいたします!

~序章~異世界との出会い



「そんな………馬鹿な………」


額に脂汗を浮かべ自分の目の前にある一枚の紙切れに書かれている内容に絶句していた。


書かれている内容が夢であってほしい。 と、現実を受け入れる事ができない自分が居て、見間違いでもなくこれが現実と認識できる自分がいた。


「………………赤点、補習………」


夏休み前の最大の難関、補習と言う名の通知表を受け取り、俺こと御野(おの) (まもる)は現実と言う槍で心を一閃されていた。


嫌だ。


メンドイ、メンドウ、メンドクサイ。


―――と、全体重を机に委ねた。


守の得意技、現実逃避のポーズを使って気を紛らわした。


自分の周りの生徒たちは自分の成績を見せ合うという不毛な事をしてワイワイと楽しげにしている。


守はそんな気分になれる筈もなくただ脱力感から机に体を突っ伏して、現実逃避した。


そんな中「ねえ、どうだった?」と、力ない声で現実に引き戻された。


「………この体制でわからないか?」


「そうだね、成績表を貰ってあまりの悪さに現実から逃避して―――――」


はぁ、全くもってその通りだよ、分かっているならそっとしといてくれよ………。


「で、そのショックから前から我慢していたトイレをここで果たしてしまった事を隠すために前傾姿勢になっている」


間違ってる!間違ってるよ! 後半だいぶ勘違いしてるよ!


しかし、こうやる気の無い声で淡々とボケられるのもツッコミがしづらいな。


「そんなわけあるか!」と、一応否定して、目の前に居る水面(みなも) ()()()の額にチョップした。


一咲菜は額を擦りながら「いいじゃん、僕との仲なんだから隠し事はなしにしようよ」と、言いながら隣の席に座った。


「そういうお前はどうなんだよ」


「ボク? 僕は、んーと」そう言って一咲菜は鞄をあさり始めた。


てか、自分の成績は見てないのかよ………。 まぁ、一咲菜らしいが。


プリントや教科書がグチャグチャになって入っている鞄をまた更にあさりつつ、出てきたのはシワシワで所々破けている通知表だった。 


さっき貰ったとは思えないほどに見事な紙屑だ。


その紙屑を何食わぬ顔でシワを伸ばし中身を見ていた。


「ギリギリ―――」


プリントが一瞬で紙屑になるのは何時もの事だ。 まぁ、一咲菜が面倒臭がりなのは今に始まった事では無いからな。

 

それに、今はそんな事よりも中身が気になる。


成績なら俺と同じぐらいだから是非補習の仲間が欲しい。


「アウト――――」


ヨシッ、仲間一人ゲッチュ!


とりあえず少しは補習の課題が(はかど)りそうだ。


「―――――じゃ、無いかな」


「そうか、そうか!アウトじゃないか!よかったー、一緒に補しゅ―――――う?」


「赤いの無いから補習無いかな。補習ガンバ」


方に手でポンポンと慰められ今置かれてる現実に打ちのめされた。


「………はぁ」


色々思うことはあったが、とりあえず俺はまた現実逃避のポーズをとる事にした。


「だい………じょうぶ?」


苦笑いをした一咲菜が心配した素振りを見せながら、自分の鞄に用具などをしまい帰る準備をしていく。


「………」


「じゃないよね………」


はぁ、とため息をつき


「付き合ってあげようか?」


「いいのか!」


現実逃避のポーズを解き、目を輝かせた。


「もちろんだとも!アイス」


「ありがと………う?」


「友達だもん!アイス」


「アイス?」


語尾になぜかアイスがついている。


「どうしたの?アイス」


「アイスがどうしたんだ?」


一咲菜は指をスリーピースにして突き立てた


「さん………ですね」


「何を言ってるの?」


いや、こっちがだよ。


「これで手を打とう、ほら!行こ!」


アイス三つか。何とかなるかな。


曇りのない笑顔は輝いて見えた。


小遣い大丈夫か?


今月に買ったゲームを思いだしながら財布を見る。


「………二枚」


もちろん夏目さんだ。


率直な感想、………やばいね。


「ちょっと、一咲―――」


「三週間ね!」


………え?ほぼ夏休み中じゃん。


「ほらー早く行くよ!青春は待ってくれないよ!」


そう言って、軽やかなステップで教室を出て行った。


ポツンと取り残されて、もう一度財布の中身を見る。


「………はぁ」


俺は、ため息を吐きながら現実逃避のポーズをとった。


―――――――――――――――――――――――――――――


ミーンミーン


蝉がうるさい。


「あ………、あつい………」


「うまー」と、一咲菜が小生意気にちょっと大きめのカップに無駄に同じアイスを三つも入れて隣で食べている。


 待ちにまった夏休みが入って一日目、高校生活の中でも三回しかない貴重な夏休みを満喫していた

――――はずだった。


「マモルー、次はこれ食べたいー」


一咲菜が指を指した方向にクレープ屋があった。


「バナナクレープ一つ!」と勝手に頼んで支払うのは俺。


 補習は(はかど)るだろうが、代償にこの有り様。 これが今日だけならいいのだが夏休みの期間と言う悪魔的に長い期間で約束をしてしまった。


「四百五十円ね―――おっ、二人ともデートかい? お熱いねー」


『違います、タカリです!あわよくば恐喝です!』と言いたいが怒ると思ったので言わないことにした。


「そんなんじゃないですよ」と、否定しながら財布の中に居た夏目さんとバイバイした。


そんなことは居ず知らずさっき買ったアイスを食べ終えていた。


「はいよ、お二人さん」


おじさんの手の中には頼んでいないクレープが一つ増えていた。


「おじさん。これ―――」


「いいって事よ、それよりも頑張れ」と、二つのクレープを一咲菜に渡し、このクレープ作っているとは思えない程の図太い親指を立て俺たちを見送った。


―――十中八九、勘違いしてるよな………。


まあいいか、得もしたし。と思いおじさんから貰ったクレープを食べる事にした。


「一咲菜、さっき貰ったクレープくれ――――」


「―――ん?」


振り返った一咲菜の手にはクレープの包み紙らしき物が二つ掴んでいただけだった。


「一咲菜さん………クレープは?」と、恐る恐る聞いてみた。


「食べた」と、一咲菜的満面の笑みを浮かべ答えは帰ってきた。


………早い、実に早い。 それよりも何にも言えない、なんか言ってやろうと思ったがあんな純真無垢な笑顔で憎めないですよ!


「―――っ、あーもう! 次はどこに行く?」


半ば投げやりになってきたが、実際家に帰ってもやる事が無いので暇つぶしには助かるっちゃ助かるがな―――。


「うん、次は――――」


一咲菜に手を引かれて着いた場所は博物館だった。


こんな辺鄙(へんぴ)な町に博物館があるなんて少し気にはなったが、博物館自体に興味はなかったので気にしなかった。


だが、一咲菜は「ここ!」と、いつもはあまり見せないテンションで目をキラキラと輝かせている。


一咲菜の性格上普段は面倒臭がりで、自分の興味が無いのもには全くと言っていいほどに関心を持たないのに、いつも変なものに興味を持ち出す。 


―――って事は、また変な物に興味を持ってるって事か。


「なんか気になるものでもあるのか?」


「うん、だから早く中に入る!」


一咲菜はそれだけ言って先に行ってしまった。


………どんだけ待ちきれないんだよ、と思いながらトボトボと歩き始めたら博物館の入り口の前で『早く』と、一咲菜がジェスチャーでサインを送っていた。


―――そこは、待つのね。 と呟き、支払いのため小走りで向かった。


「いらっしゃいませ、何名様ですか?」


「学生二枚で―――」まだ言いかけの時に、いきなり一咲菜が割り込んで「まだ、あの絵ありますか?」と、店員に話しかけた。


 店員は、『あっ』っとした顔で「今日もいらしたんですね。 ええ、まだございますよ」


一咲菜の顔は、ぱあっと明るくなり。ありがと、とだけ店員さんに言って中に入って行った。


「―――すいません、なるべく迷惑はかけないようにしますので」


店員さんは、いえいえと会釈をした。


「全然大丈夫ですよ―――それよりあの子ここの所ほぼ毎日来ているんですよ」


「え?」


驚きもあったが――――毎日。 この店員さんに一咲菜が毎日迷惑をかけてると思うとかなり申し訳なく感じた。


「あの子、あの(・・)()がよっぽど好きなんですね―――あ、あの子見失っちゃいます―――」


と店員さんが言いかけた頃にはもう遅かった。 まぁ、人が少ないからすぐに見つかるとは思うが、一応早く見つけに行くか。


店員さんは気持ちを察したのか「ごゆっくり」と言って、見送ってくれた。


軽く会釈をして博物館の門をくぐった。 そして、中に入るなり何の動物かわからない模型が展示されていた。


「―――何かの恐竜かな?」と、圧倒的な存在感に息をのんだ。


全長三メートル程の等身に、目の色は赤く四本足の先には鋭い爪があり、背中には力強い翼が生えている剥製だ。


教科書に載っていた恐竜というよりかは、絵本やファンタジー小説に出てくる架空の生き物『ドラゴン』みたいだ………。


 まぁ、ドラゴンみたいって言っても抽象的に感じたものだからどうって事は無いけど。


それから館内を回って、ある事を思った。


「石で出来た人型の人形、作りが(いびつ)で持ちにくそうな剣、ガラス製の様な石、西洋で作られた様なアンティーク―――」


―――ここは何処の歴史博物館なんだろうな。 少なくとも日本ではないよな………。


 こんな展示品がこの日本に展示されていて、日本の中でも極めて盛んではないこの田舎にあるなんて―――。 


益々(ますます)この博物館が不思議な存在になった。


 そんな不思議な気分で展示品を転々と見て回っていたら奥の展示ブースからトコトコと一咲菜がやってきた。


「もう、遅い。何やってる」


なにって、展示品を見てたんだよ………。 博物館にきて他に何かすることありますか?


「こっち来て」


一咲菜は俺の手を引き、この摩訶不思議な博物館の奥に引き連れた。 


予想はしていたが奥に行くにつれてどんどん『ここって日本だよね?』って思わせるような物に満ち溢れていた。


だが、一咲菜はそれらをオールスルーして奥へ進んでいった。


この異国産とも言える展示品を差し置いて、一咲菜のこの反応はよほどそれ(・・)はすごい物なのだろう。


少しではあるがそれ(・・)に興味が出てきた。


「ここ」


一咲菜は足を止め、額縁に入った畳一枚ほど大きな絵の前に着いた。


描かれているのは、澄み切った空の下、黄色い花が一面に咲いていて、その中心に羽の翼が生えている天使が祈りを捧げていた。 


「――――――――。」守は息を呑んだ。


その理由は絵に描かれている内容っていうより―――――。


「―――デカいな」


「でしょー」


声のトーンをいつもより2段高い感じの一咲菜はまるで自分の事を褒められたみたいに上機嫌になった。


でも、一咲菜の気持ちが分からなくも無いかな。


誰だって自分しか知らない秘密の場所とかを褒めてもらったら嬉しいよな。


守はそこはかとなくその絵を見ていたら一つ重要な事に気づいた。


――――ここって、博物館だよな………。


確かに、こんなに大きい絵は見た事は無いし、描かれてる内容もさっきのドラゴン(・・・・)みたいに小説か絵本に出てきそうな感じの物なんだけど―――。


何で美術館じゃなくて博物館なんだろう。この絵に何か古い歴史とかあるのかな?


周りを見ても展示品の名前や歴史などの説明をする物も無いし、解説してくれる人も居ない。


ただ、どこの国か分からない歴史の展示品を見るだけ。


やっぱりおかしいよな………。


博物館って恐竜とか琥珀とかが展示されていて、『これは何百万年に生息していた虫』とかが書かれてる物があるはずだよな………。


この博物館はそれ(・・)がない………。


博物館ってこんな所だっけ?


そして隣キラキラ目を光らせてウキウキしている奴に聞きたい。


――――――――ここは面白い………のか?


もし今、この博物館って面白い? と、聞かれると即答できる。


確かに展示品の一つ一つが色んな歴史が有るんだろうな―――とは、雰囲気的に感じとれるが肝心の内容が全く解説無しっていうのが問題だ。


この、展示品たちの歴史はご想像にお任せします的な?


ここは感性を養う場ですか………。 と、創設者に問いたい。


「よし、満足!」一咲菜はこれ以上ない位の感服の意を表して、他の場所に歩き出して

行ってしまった。


―――変わった物が好きなのは変わった者、としみじみ思いながら後に続こうとした。


「――――――」


「ん?」守は誰かに呼ばれた様な気がして振り返った。


もちろん、さっきまで人が居なかったので誰も居るわけもなく、壁に掛かった一枚の絵があるだけだった。


―――――気のせいか。


「………行くか」


ふと気づくと一咲菜は居なかった。周りを見渡しても姿は見えない。


「………まったく、面倒だ」


どこに行ったのかも分からないので、とりあえず出口に向かった。


出口に戻るとあの店員さんが愛想よく挨拶してくれた。


「あ、館内はどうでしたか?面白かったですか?」


「不思議でした」とりあえず本音を言ってみた。


「やっぱりなー、なんか他にこことは違う世界があったらこんな風なのかな~とか思っちゃうよね?」


店員さんの言葉に少し気にかかった。


確かに中を見てドラゴン?とか石で造られた人形はともかく、アンティークとかは日本物っぽくないなと思ったが違う世界か―――。


「言われてみればそうですね………」


「でしょー」まるで自分が褒められたみたいに嬉しそうに笑った。


「あっそうだ、例の子、先に帰っちゃったよ?」


――――え? ナンデスト?


「―――先に帰った?」


「うん、なんか好きなテレビが始まるからーとか言ってたよ」


「好きな番組………」


ああ、あれか。


一週間前に凄い面白い番組が始まったとか言って、その内容を小一時間聞かされたっけ。


内容って言っても高校生のする会話では無いなとその時思った。


―――番組名『石の形』だよ?


面白いわけがない!


胡散臭い奴が出てきて石の良し悪しをただ淡々と語るだけ。


面白いわけがない!


しかも、毎週放送中。


まぁ、そんな事よりもアイツに一言イイタイ―――。


「先に帰んなよ―――」


置いてけぼりを食らった守は博物館からトボトボとした歩みでやっと家に帰った。


――――――――――――――――――――――――――――――


「ただいまー」靴を脱ぎ捨て自分の部屋に向かったが妹に引き留められた。


「お帰りーご飯出来てるよー」


「おお妹よ、お兄ちゃんは疲れているので母に静かなる眠りにつくと言っておいてくれ」


「なんか、気持ち悪いけど分かったー」


―――うん、気持ち悪いは余計だね。


「じゃあオヤス―――」


妹はミを言い切る前にドアを閉めた。


つっこむ気力も起きないのでそのまま部屋に向かった。


バタムッ


部屋に入るなりベットに勢い良くダイブした。


―――疲れた。


全身に程よい疲労感が溜まっていて、このまま何もしないで心地よく眠れそうだ。


そんなウトウト気分であの博物館の事を考えていた。


不思議な場所だったな………。


今まで生きてきてあんなに変な物がギッシリ詰まった建物は見たことなかったから、ここは何処か違う世界に来てしまったんではないかという気分になった。


まぁ、ことの始まりは一咲菜のカツアゲツアーからだから何が来ても驚きはしないと思ったが、その上を行ったか………。


まぁ、一咲菜の付き合いは長いから今日みたいな日は慣れっこだ。


そんなことを思いながら守は遠のく意識の中であの(・・)()の事を思った。


――――――。

――――る。

――もる。


春風のような気持ちのいい風が吹いていた。


ハッキリしない意識の中で気持ち良くその風を感じていた。


刹那に吹く一際強い風が吹き視界が鮮明になり風と一緒に頭の中のモヤモヤが過ぎて行った。


周りを見渡せば美しい黄色い花が一面にどこまでも咲いている何とも綺麗な場所だった。


本来、この花の香りで落ち着くところだが見覚えがない場所でそんな気分になれる筈がない。


「―――ここは?」


自分の記憶には無い場所だ、と言い切れるほど異端な世界だった。


まず、三百六十度を見わたして地平線の先も続きそうな花畑。


蝶なのか鳥なのか良く分からない光る生物か飛んでいたり―――。


そして、なによりここが異端と決定づける物があった。


空に浮かぶ月と月―――。


赤い月が淡くこの地を照らしている。


―――――。


………夢だよな?


やはり結論はそこに行ってしまう。


ためしに自分の頬をつねってみた。


「――――痛い」


無情にも頬の痛さがここが現実というのを物語っていた。


夢じゃないのか? じゃあここは何処なんだ?


少なくとも俺の住んでた町ではないな。 というか、日本でもないよな――――。


海外なのか?


―――ん?


再度周りに見える情報を集めていたら少し遠くで人のような姿が見えた。


―――そう、人のような姿だった。


この表現に間違いはない………。


それ(・・)とは二百メートルぐらい離れているがはっきりと言える。


恐怖心はあったが守はとりあえずそれ(・・)に向かって歩いた。


一歩、また一歩と、その姿がはっきりと見えてくる。そして、人ではない事を再度確信した。


あと、五十メートルぐらいって所でそれ(・・)はこちらに気づき駆け寄ってきた。


守は歩みを止め、少し怖くなったが駆け寄ってくるそれ(・・)の姿を見て不思議と恐怖は無くなった。


駆け寄ってくる姿は本当に人間だ。


身長は百六十センチ位で、ほっそりとした体が上下に揺れている。


髪は透き通るような白髪で、クリクリとした目は何処までも突き抜ける青空のような色。


肌も一点の汚れも無い白さで、目の色と同じ青色の宝石を首に下げていた。


それ(・・)を人ならざるものと認識するには決定的に人ではない部分があった。


―――。

―――――――背中に―――――翼があった。


それ(・・)はあっという間に守の前に着き、ニコっと笑って


「こんにちは」と、言った。


その笑顔は眩しく、少なくともこちらに対して敵意は無いようだ。


戸惑いはあったが、とりあえず友好的で良かったと思いながら『こんにちは』と、答えた。


この人が人間かどうかは置いといて一つだけ言えることがある。


――――綺麗だな。


容姿は言うまでも無いぐらい綺麗で、声も聴くだけで癒されるような感じがした。


背中にある翼?も一つ一つ輝きを持っていて、風に吹かれている様はまるで風を(まと)っているかに見えた。


その姿はまるで―――。


――――天使だ。


この世界に天使が居るとしたら、こんな感じなのかな、と思った。


「確認です!君はこの世界の人ではないよね?」


この世界は?やっぱり―――。この世界は異世界なんだ………。


色々な出来事がありすぎて頭が追い付かないからか、絶望感は無かった。


「た、たぶん」


「ここは何処なんですか?」


「ここは―――」


さっきの無邪気な表情とはうって変わって凛とした表情、真剣な眼差しで言い放った。


「―――――――――――――――――エリアール―――――――――――――――――」


「エリアール………」


「あなたの居た世界とは異なる世界」


頭では分かっていたがこう言葉で言われると、十秒前に無かった不安が一気に込上がってくる。


「―――俺は、元の世界に帰れるんですか?」


「うん、帰れるよ」


――――――ん?


あれ、帰れちゃうの?


自分にとっていい期待外れの答えが返ってきて面食らった。


ガクッ


安心したのか全身に張り巡っていた緊張の糸が切れて、その場になだれ込んでしまった。


「今すぐ帰りたい?」


天使の表情はそんなに変わらないが、声から伝わる一つ一つの言葉が何故か寂しそうに感じた。


さっきまで帰りたいと思ったが今になって少しでも、もうちょっとここに居てもいいかなと思った。


それにこの世界についてもっと知りたいし、何より目の前の天使について知りたかった。


「――んー、いつでも帰れるならもう少しここに居てもいいかな?」


「ホント!?」


さっきとはうって変わって喜びを全身で表現していた。


「なら、なら!お話しよ!」


「―――う、うん!」


さっきとのギャップに少したじろいだが無邪気な笑顔につられるように笑顔になって答えた。


「えっと、何から話す?」


その天使は白くてサラサラの髪を(なび)かせながらチョコンと隣に座った。




次回から、バトルやら、異世界に飛ばされたりなんやかんや始まる予定です。。。

自分のイメージよりも文字数って多くなっててしまいますね。。反省。。。

若輩者ですがどうぞよろしくお願いいたします。


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