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07

 裏では、女騎士が正座をさせられていました。思わず石を抱かせろと思ってしまいました。副団長は、腕を組んで顰め面だし、アルトさんは、俺の隣で固まっています。

 「副団長、連れて来ました。」

 「ああ、君、妹が馬鹿な事をして申し訳無かった。」頭を下げてくれました。

 周りがざわついています。騎士団のそれも副団長が、頭を下げたからかな。若しかして貴族だったりしたら、面倒事一直線だよね。神様、お願いだから貴族は、止めて。

 「はい、私はなんともありません。別段、気にしないで下さい。」

 「ふむ、君は心が広いね。名前を教えてくれないか。」

 ああっ、名乗らず知らん顔してフェードアウトしようと、思ったのに名乗らない訳には行かないんだろうな。偽名を・・・申し込みの時に、名乗ってる。万事休す。

 「はい、ヒロと申します。しがない薬師です。」

 「ほう、薬師とな。どこぞの剣術家かと思ったぞ。おっ、そうだ、遅くなったが俺は、ファーレン王国の第2王子アルハイトだ。そしてこのじゃじゃ馬が第1王女のターシャだ。今は、第3騎士団の副団長と騎士をやっている。今回は、迷惑をかけたな、許せ。」

 はい、はい、確かに貴族では無かったですね神様。ただ、王族ってどういう事?

 「いいえ、どうかお気になさらず。この後、予定が入っておりますので、失礼をさせていただきたいのですが。宜しいでしょうか?」

 「まあ、そう言わずに少しの間で良いので、付き合ってくれ。」

 「はい、分かりました。少しの間なら大丈夫です。」

 今すぐ帰りたい、面倒事しか思い浮かばない。

 「ヒロと、申したか、その方、特異な剣術を使うようだが、どこで学んだのだ。」

 「当家に伝わるものでございます。今は亡き祖父より教わりましてございます。」

 「剣の打ち合いを避けるように感じたが、どうじゃ。」

 「はい、確かに打ち合いを極力避け一太刀にて、急所を狙うのが当家に伝わりますものでございます。」

 「何故、避ける事を優先するのか?」

 「はい、単純に生き残るためでございます。相手がいつも片手剣や短剣であれば問題ありませんが、両手剣、大剣、斧などですと、打ち合う事は適いません。故に常日頃から剣を合わさず、慣れるためです。」

 本当は、もう少しあるのですがこの世界だとかんな感じかな、昔の日本では、金棒とかもあってまともに打ち合ったら、刀なんぞ一瞬で折れ飛ぶのです。音もさせず頚動脈を撥ね切るのが、一番の良策なのです。

 「確かに取り落とさずとも、手が痺れても命取りだな。ところでお主、ターシャに剣を教えてはくれまいか?」

 「あのですね、常日頃は朝に一時稽古をするだけで、後は只管に薬の調薬、新薬の開発に費やしております、真に申し訳ありませんが、お断りさせてください。」

 「その一時だけで良いから、一緒にと言う訳には、参らぬか?」

 「今は、山の中で薬草を採取しながら、偶に生活用品を買いに待ちに出てくる生活ですので、無理かと思います。何とか、品質の良いポーションを作ろうと精進しているところでございます。」

 「そうか残念じゃが、致し方ないようだな。いつか、時間が出来たら頼まれてくれ。」

 「はい、いつか、時が合いますれば、喜んで勤めさせていただきます。」

 「うむ、ではまたの。」

 「失礼させていただきます。」


 なんとか王子の魔の手からは回避出来ました、しかし、後の方で貴族らしき人達が、こそこそしているようです。どうするかなあ。このまま、ほとぼりが冷めるまで隣町へ行くかな。

 隣町、ラーンへ移動する事にしました。第3騎士団が王都へ帰るまでは、戻らないつもりです。STOP THE 面倒事!!です。


 馬車に乗って行きたかったのですが、今日の便は出てしまい、次は三日後との事で、歩いております。別段急ぐ事も無いし、慣れない馬よりは、気楽に物見遊山でと思っていたのですが、何と言っても変わらない本当に変わりません、行けども行けども同じ風景です。ずーっと、平原です。こんな事なら、馬でも借りるのだったと軽く後悔をしていたところ。前方にて騒ぎが勃発しているようです。マップを念じると赤い点が10個程確認できました。どうやら、盗賊のようです。気配を消しながら急いで接近してみました。馬車2台に対して、盗賊が5人づつに分かれて襲っています。馬車にも護衛が乗っており、応戦をしており膠着状態のようです。ここは、応援に行っても、面倒事には成らないようですので、盗賊の一人に忍び寄り、当て落としました。当然、盗賊にも気づかれますが、拮抗していた力が一気に護衛側へと流れ浮き足立った盗賊を、四人続けて当て落としました。向こう側の馬車を襲っていた盗賊は、こちら側を見て諦め逃げました。

 「助勢、ありがとう。本当に助かった。結構長い時間戦闘が続いていて、疲れも溜まりぎりぎりだったんだ。本当に助かった。俺は、C級冒険者のニールと言う今回護衛の責任者を任されている。」

 「どうも助かりました、マスクテイル商会のビーンと申します。護衛の皆さんも疲れて来てて、本当に危なかったんです。本当に、助かりましたよ。ラーンに行かれるのでしたら、一緒に乗って行かれませんか、護衛していただけるとより安心できますので。護衛の料金も多くはございませんが、お支払いします。」

 「どうもヒロと申します。いやー、ラーンへ乗せて行っていただけるのなら、嬉しいです。一人で歩くのにも飽きました。乗せてもらうだけで、ありがたいので護衛は、気にしないで下さい。」

 「ビーンさん、盗賊は、どうしますか?連れて行きますか?処分しますか?」

 「ヒロさん、どうします?盗賊を倒したのは、ヒロさんですから権利は、ヒロさんにありますよ。」

 「何せ、このような事は、今回が初めてですので、何も分かりません、全てお任せします。」

 「後まだ結構な距離があるので、連れて行くのは無理ですね。処分でお願いします。」

 「はい、分かりました。」

 今の何気ない会話で、5人の命が消えた。何とも命の軽い世界である。簡単に奪われるし、簡単に奪う世界です。慣れるべきなんでしょうね、慣れないと自分が奪われるかもしれない。肝に銘じよう。こう言う所は、地球に比べても遥かに厳しいです。自分の世界に入っていると、声を掛けられました。後、1時間休憩するそうです。戦闘で疲れているそうですし、そろそろ昼です。普通の人は、昼食を取らないそうです。冒険者や旅人は取るそうです。いつ何時何があるか分からないから、極力空腹は、短い時間にするようです。生活の知恵ですね。

 時間になり出発しました。ラーンまでは、後4日の道程です。

 「ヒロさんは、何をしてるんですか?」ニールさんに、聞かれました。

 「俺は、つい先日までは、同じ脳険者だったんですが、今は、薬師をしています。」

 「へぇー、変わってますね。冒険者からだと商人が多いですけどね。」

 「元々、薬師になりたかったんですが、薬師ギルドが近くに無かったし、お金も掛かるんですよね。」

 「成るほど、そう言う事ですか。なかなか大変ですね。」

 何事も無く3日がたち、明日にはラーンに到着する夜、何事も無く開ける筈だったのに。

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