06
翌朝、森の中に行って見たが、何も残っていなかった。奴等のいた所には、スライムが、群れになっていた。その周辺に、血痕があるのでお掃除に来たのでは。このまま、任せておけば良さそうです。それにしても、剣とか鎧も消えているが、スライムが取り込んだのだろうか?異世界は、凄ェ!!
今日は、調薬をする予定だったが、脱退の事をギルドマスターに知らせてやらないと面倒そうなので、知らせに行き、序に騎士団の鍛錬場で鍛錬をさせて貰おうと思った。確か、幾らか払えば、剣術も教えてくれると聞いた。異世界の剣術も体験してみたい。
朝からテンション高めで、走ってます。今日は、剣術を学びます。先ずは騎士団の詰所へ参ります。
「おはようございます、剣術を教えて欲しいのですが、どうすれば宜しいでしょうか?」
「おおっ、今日は2時間後からの部に空きがある1回銀貨1枚だ。」
「はい、お願いします。先に銀貨も払っておきますね。」
そのまま冒険者ギルドへ向かった。
「すみません。マスターは、いますか?」
「はい、御用は何でしょうか?」
「ギルドを脱退しようと思いまして、後から言われても面倒なので先に断っておこうかと。思いまして。そう言う訳で、ハイこれ!」
ギルドカードをカウンターの上に出しました。受付の女の子は、慌てて裏へと駆け込んで行きます。
「どう言う事だ!脱退だと。」
「ああ、昨日の帰り道にも襲われた。お前のところのギルドは、駄目だ。愛想が尽きたから脱退するんだよ。クラン一つ制御出来ないような、ギルドマスターを容認するようなギルドに用は無いんでな。」
徹底的に貶めてやった、最初から、腹立ってたんだよね。その後も襲撃の可能性を知っていながら、俺には何も知らせて来なかった。気を使ってやる心は、欠片もない。
「メンバーでなくなれば、買取も身分証も無くなるぞ。」
ニヤッと笑いやがった。キレそうだが落ち着いて返事をしてやったよ。
「ご心配いただかなくても、大丈夫です。薬師ギルドの方へ加入いたしましたので。」
「何っ。お前は薬がつくれたのか?」
「ええ、ポーションは全てつくれますよ。それも5級以上をね。」
「本当か?5級なんて最近中々手に入らないぞ。」
「ええ、これからもこのギルドには、入らないでしょうね。」
「ん?どういう意味だ!」
「俺、ポーション類は、専門の商会へ卸すつもりですので。」
「何故そんな事をするんだ。」
「ここのギルドが嫌いだからですよ。登録の決闘、その後の襲撃、あなたは何か手を打ちましたか?何もやってないでしょう。全て俺個人で対処しました。迷惑はかけられたが、世話にはなっていない。迷惑をこれ以上回避するために、係らない。と、こういう結論になりました。当然でしょう。」
「・・・・・・。」
その後騎士団の詰所へ向かい、訓練の時間を待ちました。
「時間になりました、剣術未経験の方はこちら、経験者はあちらへお願いします。」
二人一組に別れ、騎士団の方が手本を見せてくれるので、それを手本に打ち込みから、開始です。刃を潰してはありますが、鉄製の剣でまかり間違えばあの世行きです。どうも本気で打ち込むと殺人者になりそうなので、加減が難しい。
「オイ、そこのチッコイの本気で打ち込まんか。手加減しては、上達せんぞ。」
困った事をおっしゃいます。相手に合わせてるだけなのに、これ以上の剣速では怪我をさせてしまいます。そうするとまた厄介ごとに。まあ、後少しだけ速めましょう。
「えいっ。」
「あっ、・・。」
剣を弾き飛ばしてしまいました。教えるのならもう少しまともな方を、相手させて欲しいものです。それに、どうやら相手は、女性のようです。
「ぶ、無礼者!何をするか?」
「ハイ???剣術の稽古ですが。」
間の抜けた返事をしてしまいました。それに、剣術の稽古の時間ですよ、それも貴方は教える側ですよね?頭の中で???が、乱舞しています。
「馬鹿者!!何が、無礼者か!剣を手放すとは何事か!恥を知れ。」
「申し訳ありません、お兄・・・副団長。」
ん?今、不穏当な発言を聞いた様な気がするが、空耳だろうか?
「オイ君、私が相手になろう。しかし、思いっ切りは、勘弁してくれ、身が持たぬ。」
「ハイ、宜しくお願いします。」
「はい、ここまで。君、強いね、まだまだ本気には程遠いようだね。」
「ええまあ、小さい頃から祖父に教わっていましたので、それなりには強いでしょうね。」
「なにご謙遜を。俺はアルトと言います。第二部隊の部隊長をしてます。」
「私は、ヒロと言います。薬師をしています。」
「えっ、薬師なのに剣術?」
「皆さん、そうおっしゃいますが薬草や素材の採取では、取り扱いが難しいものもあり、どうしても危険な場所へも行かなければならない事があり、身を護る術は絶対に必要なんです。」
「ふーん、そうなのか、大変だね。」
「まあ、それだけではなく、剣術等が好きってのもありますが。ところで皆さん、お見かけした事が無いのですが、こちらの騎士団の方ですか?」
「ああ、違うよ。僕達は王都の第三騎士団だよ。なんだかここの領主が行方不明らしく、地元の騎士団は、その探索に全力を挙げるので通常の仕事を肩代わりに、派遣されてきたんだよ。」
ん?領主、そう言えばどこかで聞いたような・・・きっと、気のせいだ。
「ちょっと、あなた、さっきはよくも恥をかかせてくれたはね、本当の実力をみせてあげるから、相手をしなさいよ。」
アルトさんを、見た。どうやらお手上げのようだ。少し相手して、負けてやるかなと思っていたら。先程の騎士団長からお声が掛かりました。
「どうやら周りの者が我侭を諌めなかった様で、このように育ってしまった。申し訳無いが、一手指南をお願い出来ないだろうか?」
指南と言われて、スイッチが入ってしまったようで、以前の師範モードに移行してしまいました。
「では、どうぞ、掛かって来て下さい。」
「戯け、平民の分際で。」
上段に振り上げた瞬間に、踏み込み首筋に刃を当てました。
「もう、死んでますね。」
「ええい、ちょっと油断しただけじゃ。」
「戦闘中の油断は、命取りですよ。」
「さあ、どうぞ。」
今度は中段に構えました。同じですよね、切ろうと剣を引き付けた瞬間に、踏み込み首筋に刃を当てました。
「また、死にましたね。」
「さあ、どうぞ。」
今度は、引き付ける動作をなくそうと、正眼に構えを変えたようです。切りかかろうと踏み込む前に、踏み込み首筋に刃を当てました。
「今度も、死にましたよ。少しは考えたようですが、何もかもが駄目です。刃筋、剣速踏み込み等、数え上げれば限がありません。最初からやり直した方が、良いですよ。」
ああっ、ヤバイ、以前の師範をしていた頃のお説教モード全開だった。
「何よ、平民の癖にっ。」
詠唱を始めやがりました。ええっ、魔法かよ。生活魔法しか使えないのに。
「ファイアーボール」
本気で撃って来ましたよ。他の騎士団メンバー、呆けてるんじゃないよ。何とかしなさいよ。まあ、熱いのは、嫌なので対処はしますけどね。
「ウォーター」ジュッと消えて無くなりました。
「馬鹿者っ、何をやってるんだっ!!」
副団長、再起動しました。女騎士の手を捕まえて、裏へ引きずり込みました。この間に逃げようとしたら、アルトさんに捕獲されました。俺も裏へ引きずり込まれました。