04
許可証を貰い、正々堂々法に則り山の中に住む事を認められ懐かしの洞窟へ戻ってきました。すぐには入れないので様子を伺い、動物や魔物が入り込んでいない事を確認してから、注意深く慎重に内外を調べました。これからどのくらいお世話になるか分からないので、念入りに調べました。取り合えず入り口に扉を設置してカモフラージュしました。入り口近辺には、罠を数ヶ所仕掛けて進入を難しくしました。転移してきた時に、ソーラーパネルやバッテリー等もリュックにしっかり入っていたので、明日は、洞窟の上の方へ設置しようと思います。発電と充電が出来れば、ある程度地球と同様に研究が出来る筈です。ノートパソコンもあるし顕微鏡もあるのだから。しかし、同じとはいかないのでこれから何度も行き詰るような気はします。でも、出来る限りは、やるつもりです。
一日掛かって、ソーラー発電設備の設置は完了しました。何気に洞窟への配線取込み用の穴が一番大変だったりしました。明日は、パネルを壊されないように、近づけさせないために電気柵を打ち込む予定なのだが、その為の配線を今やっています。こんな事は、業者に頼んでいたのでいざ自分でやると大変だったりします。しかし、生活には問題ありません。料理も炭化さえ気にしなければ、大丈夫です。火加減何とかせねば。水は、少し下ったところに沢を見つけました。飲用に問題無かったので確保してあります。明かりは、手回し充電式LEDランタンもあるし、蝋燭もあります。窓も作ろうかと思ったが、有事のとき困るので止めました。そんなこんなで、生活の充実、研究設備の充実であっと言う間に2週間がたってしまいました。
ある程度、設備面で先行きが見えてきたので、ポーションを作ろうかと思い、レシピの入手方法を考えながらじっと見ていたら鑑定の上位である解析が出来てしまった。
ポーション(L)ヨモグル草1株、水100ml、魔素
以上のように、解析結果が分かった。どうやら薬草の効能成分を水に溶かし出して、そこに魔力をかけて変成させているようです。一度、このままで作り成功させてから、地球での薬に適応させてみようと思います。地球にあるような薬草があるかどうか、これも調べてみないといかん。このまま引き続きポーションの作成を成功させたら、1度薬師ギルドへ行ってレシピが手に入らないかどうか、聞いてみよう。
そんな事を考えてていたら、昔の事を思い出した。家の裏には、小さな林があり、そこにダンボールを持ち込んで秘密基地を作っていた。男の子の夢ですよね。今は、生活の拠点と言う所が、何か物悲しいですが。そんな事を考えたり、考えなかったりしながら日が暮れて、夕飯は、何にしようか・・・気配がそれも殺気です。
「誰だ?」
「へぇー、凄いですねぇ、見つかっちゃうんですね。」
「そんな事は良いから、誰で何の用か、言え。」
「僕は、B級冒険者のデールと言います。先日は、うちのクランの者が大変お世話になったようで。」
「ん?誰も世話した覚えは、無いが。大体、知り合い自体少ないのに。」
「ギルドでお前と決闘をした奴等の事だよ。」
「ああ、奴等の事ね。お世話なんて言うから分からない、初めからそう言えば良いのに。ところで何の用事ですか?」
「お礼に来たってところかな。」
「それは、わざわざご丁寧に、しかし、お礼ならギルドマスターのウィルソンにでも、どうぞ。」
「ウィルソンには、もう言ってきたよ。お前には、くれぐれも宜しくってよ。」
「それで、どうしたいんだい?目的は?」
「うちのクランの面子が丸つぶれなんで、改めて決闘を申し込む。」
「断る!!面子が云々は、俺には関係ない。降りかかった火の粉を払っただけだ。」
「しかし、クランのメンバーは、それでは納まらないだろう、周辺には気をつけろよ。」
「ああ、大丈夫だ。決闘の時には、見え透いていたから、怪我で済ませてやったが、襲い掛かって来るなら、返らぬ旅に送り出してやるよ。覚悟して掛かって来いと伝えてくれ。」
「じゃあ、早速、襲わさせてもらうよ。」
「もう面倒だな。最初からそのつもりっだったんだろう。」
「ああ、まさか見つかるとは、思ってなかった。」
「その時点で、相手の力量を見誤っているのだから中止するか、出直すべきだよ。」
「そうも言って居れないんだよ。他のメンバーがいきり立ってるのでね。」
「はぁ、面倒臭い。ここで勝負して負けたお前の死体は、誰が始末するんだよ。」
「もう俺が負ける事が、決定事項のようだあな。」
「うん、俺が負ける要素が無い。ああ、面倒だ。今回に限り気絶で許してやる、次回から襲うのは、街の中にしてくれ。後始末は、騎士団がやってくれるからな。」
「本気か?」
「ああ、出来れば諦めてくれた方が、面倒は無いがな。来る者は拒まずだ。それに街中の方が、襲う方にもメリットがあるだろう。俺に勝ったと証明出来る。どうだ?」
「確かにそうだが。」
「じゃあ、掛かって来いよ。」
暫く待ったが、掛かって来ない。
「オイ、どうしたんだよ。掛かって来ないなら、こっちから行くぞ。」
こちらから近づき鳩尾に正拳と見せて、防ぎに来た左手を捕まえ、脇固めに極めて背中に圧し掛かり折りました。武装解除しました。帰りは山を下りるので、短剣だけは残したけど。
「武器が無ければ襲えないでしょ、明日、ギルマスに返しておきますよ。用事もありますしね。」
「・・・。・・・・。」
暫く洞窟の前で考え込んでいたようだが、1時間くらいで、気配は消えた。明日は、山を下りなければなりません。用事が出来てしまいました、配送業務です。配送費は、着払いのようです。いくら請求しましょうか?