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5、毒を吐く
思い出した記憶に毒を吐く。
「シュール缶のやろうぅぅ…」
ついでに腹の内容物も吐き出してしまい、おれの顔は青白いを通り越して、土気色になっている事と思われる。それぐらい、酷かったのだ。あの異臭は。
魚を一ヶ月以上缶に詰めて発酵=腐らせたニオイである。普通の生ものでも腐れば凄い異臭がするというのに、それが一ヶ月以上放置された高級珍味。クサヤと同格かそれ以上の臭さと謳われるシュール缶。
臭くないハズがない。
段々思い出してきた。
先ほどまでおれの昨日の記憶が飛んでいた主な原因は、原因は――……あの缶の臭いにおいと……胡桃が出してきたアレだろう。
あの、物体しかない。
多分、おそらく、きっと。