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10、研究室の仲間と新年を

 そうして瀬野と俺は、今、神社の境内に向かって、何故か二人並んで歩いていた。恋人繋ぎとやらで。――……ヤバい。こんなところを瀬野の上っ面に騙されている瀬野信者共に見られたら、俺、消される!!


 瀬野の方を見ると小唄でも口ずさむそうな楽しげな表情で、行き路に経っている露店や並んだ人々などを眺め、普段と違う町を楽しんでいるようだった。


 こちらを見ず唐突に瀬野が口を開く。


「習慣とは面白いものですね」

「は?何が?」


 彼女は着物の裾を揺らし、悪戯っぽく俺を振り返りった。


「だってこうやって大晦日に神社に詣で、太陽信仰でもないのに初日の出を拝み、キリスト教でもないのにクリスマスも楽しみ、葬式は寺でする。本当に面白い国だとは思いませんか?日本は」


 彼女はにっこり笑って、着物を捌き、鳥居をくぐっていった。


 云われてみれば確かにそうだ。可笑しな国だ日本は。

 だが、それとこれと俺になんの関係がある?


「……まったく、お嬢様の気まぐれには勘弁してほしい……」


 鳥居をくぐれば、瀬野は先に行かずに待っていてくれた。そうしてまた、歩き始める。

 後ろからはグロッキーから回復したらしき研究室の仲間たち。


「……たまにはこういうのも、……悪くない。」


 もうじき初日の出。俺らの日常は――……続く。



 

これは、俺たちが体験した“箱庭大学”の、とある研究会の、とある年末年始の記録である。その後、彼らがどういう道をたどったかは、語らずに終えるとしよう。



ー*-*-*-*-*-


やっと終わりました。

2013年の大晦日に投稿した短編。その分割&改稿連載版です。


短編だと1万字を越えて、読み難かったので、足りない言葉も増やして分割投稿してみました。誤字・脱字・感想受け付けてます。というかプリーズ!!

(お暇があればですが)


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


 追伸、ゲテモノ妖物食材については、なんかスゲーモン食わされたとでも思っておいてください。

 この世界は、妖怪やら神様やらなんかいっぱいいて、陰陽師とか祓い屋とかいる和風世界だとでも思っておいてください。

 その場のノリで書いた小説なので、余計なこと書き足したら雰囲気が壊れそうなのでございます。ごめんなさい。


 敬具。


                      【終】

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