死と出会い
『人は死ぬと、天国か地獄にいける。』
何回も聞いた話だった。でも今の私にとってはとても信じられない事だった。
天国でも地獄でもない何処か……。
私は死んだ。死因は簡単。自殺。
何もしていない、何も言っていないのに、私は世間から除け者にされて、嫌で嫌でしょうがなかった。そうして、私は住んでいたマンションの屋上から飛び降りた。
目覚めた時にはどこまでも続く平野。この時、私が死んだことを実感した。
「…君。そこの君。名前。」
後ろから突然話しかけられた。当然、びっくりした。
「な、名前?! く、倉風科です!あ、あなたは?」
挨拶、上手くできたかな? できたかな??
「…シナ。」
「ふぇ? だからあなたの名前を…」
「私も、シナ。奇遇。」
驚いた。死んで最初にあった人と名前が同じだなんて。それにしても…
「…あ、あなたはどうやって死んだので?!」
「自殺。ここにいる人、全員。あと、敬語、別にいい。面倒。」
どういうことだろう…全員、自殺? 病死とか、他殺とかは?
「あの…ここって天国? 地獄?」
「楽園。」
楽園……答えになってないような気が…天国ってことで…いいの?
「あの、ここって「キャアアア!!」…え、ええ?!」
丁度、悲鳴が聞こえた。私はもちろん、シナも振り向く。
そこには、口が裂け、触手や角が生え、体も一回り大きい、俗に言う、化け物がいた。
この時私は、初めて死んだ事を後悔した。