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プロローグ:あの日のことを思い出す。

 あの日のことを思い出す。

 僕が最後に、怒鳴った日。多分笑ったのもその日が最後だ。泣いたのは……どうだったかな?

 あの日の記憶は未だに鮮明で色褪せない。僕自身の細かな身振り手振り。彼の彼女の一挙手一投足。全てを忘れることができない。

 ただ、しかし、一つだけ思い出せないことがある。

 それは喜びでありそれは怒りでありそれは哀しみでありそれは楽しみだった。

 そう。『だった』だ。確かにあの日まで僕はそんなものを抱きながら毎日を過ごしていたというのに、もう既にそれがどういったものなのか理解し得ないのだ。

 それは、恐らく悲しいことなのだろう。そう思って胸を痛めようとしてもうまくいかない。当然だ。『悲しみ』を理解していないのだから。

 僕はあの日、死んだんだ。

 亡骸なんだ、僕は。

 亡骸のはずなのに、何故か生き続けているんだ。

 ……ああ、そういえば。最後に泣いたのはあの日の次の日か。ぎりぎりで日付が変わった、午前零時二分十六秒だったもんな。泣き止んだのは。


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