一章 そして戦乱の幕開ける
失われし伝承――創世神話
混沌より生まれし生き物。それ即ち神なり。
一に生まれしは地母神。混沌とは、そこに在るだけの原初。博愛の精神を持つ地母神は、無軌道不規則な混沌に法則を作ることで、新たな生命の誕生を促し、それの礎とした。
二に生まれしは創造神。自由を核とする創造神は、混沌を用いて有象無象のモノを創り上げた。創造神に創りしモノには、生命までも含まれる。
三に生まれしは天空神。支配を根幹にする天空神は、無秩序たる混沌を嫌い、分離し管理することで秩序を齎した。しかし混沌の分離により、神が新たに生まれることはなくなった。
三神、それぞれ他の神に対することはなかったが、一つの出来事を境に争いを始める。
その出来事とは、ヒトの誕生。
創造神の創り上げたヒトというカタチ。
それは、天空神、地母神の姿そのものだった。
ヒトの雄のカタチが天空神、雌のカタチが地母神。
そして創造神はどちらでもないカタチであり、それを再現するモノを創造神は創らなかった。
二柱の神はそれに怒りを表し、反駁するように創造神も怒りをぶつけた。
地母神は創造神の創造する生命を不和の象徴とし、反目す。
創造神は天空神の支配する属性を不完全な根源とし、反目す。
天空神は地母神の管理する法則を不要な秩序とし、反目す。
こうして神は、世界を舞台に戦いを繰り広げた。
その結末がどうなったのか、誰も知らない。
伝承――百年戦争
百年に一度、この世界に三人の英雄が降り立つ。
一人は護神の使いたる天使。
一人は女神に選ばれたる神子。
一人は死神の生み出したる悪魔。
護神は理想の国家を、女神は平等たる世界を、死神は全ての破滅を、願い、英雄を放つ。
英雄は異界の住人。
それぞれ神の目に適うだけの思想を持ち、強い望みを、感情を、放っていた者たち。
彼らはこの世界にない知識と力を有し、神々の祝福を受けて世界に降臨する。
また英雄には、それぞれ二人の僕が傍につき従う。
護神は属性を司り、女神は法則を操り、死神は生物を扱う。
英雄はそれぞれ対応する神の力を持ち、僕らは英雄にない力を宿す。
しかし僕も、英雄あってこそ。僕は英雄の持つ、神の剣を介してしか力を振るえない。
護神の剣、コールブランド。
女神の剣、クラウ・ソラス。
死神の剣、ダーインスレイヴ。
英雄は神の想いを叶える為に僕を求め、神剣を求め、他の英雄と戦うこととなる。