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四章 深まる絆、別たれる繋がり

地学――大陸ウィール

 この世界は、たった一つの大きな大陸でできている。それはそのままこの世界の名となり、それこそがウィールである。

 ウィールの形は些か形容しがたい。平面的かつ簡単に表すならば、二つの台形が重なり合ってできた大陸の各所を、三角形をつけたり消したりすればできあがる。

 もっとも特徴的な地形は、大陸中央を東西に走る大山脈だ。台形が重なり合った場所の繋ぎ目を隠すかのように、険しく大きい山々が続く。人の手を拒むように険しい自然が待ち構え、太古の魔物が跋扈する、世界有数の危険地帯だ。残りの危険地帯が海上であることを考えると、唯一と言ってもいい。

 そんな山脈のちょうど真ん中――即ち大陸の中央。そこには北と南を結ぶ谷間があった。谷間は山中だと言うのに不自然なまでに穏やかで、そこに平原を作り上げている。左右の山脈から均等に距離を取れば、地平線の際に山脈が見渡せるくらい広い。

 そしてその平原の主こそが、商業国家ミーレルハイトである。

 国土は山脈に押しつぶされるかのように横が細く、反面大山脈の南北と同じ長さある縦は非常に長い。

 大陸の中央という立地、また山脈の抜け道であるそこは『大陸の臍』と呼ばれ、ウィールにおいて最も重要な土地だ。南北間の交易はここを除けば海路しかなく、海の各所は渦潮が発生し、その近辺には必ずと言っていい程海獣の姿が見られるからだ。それら渦潮を越え、海獣の縄張りを避けて通れる人間は数えるほどしかいない。

 その土地柄を理解しているのか、ミーレルハイトは関所を設けず、自由な出入りが許可している。下手に規制を設けると、結託した国々により武力侵攻をさせてしまうためだ。そんな背景もあり、商業国としてしか生きられない国であった。しかしそれに足るだけの金が、この国に落とされている。

 大陸の臍と隣接する国は三国。

 ミーレルハイトの北端東側三割程度。そこは帝国ヴァル=ルージェ。ミーレルハイトとの国境は、広がる森林地帯。土地面積は大陸の臍の十数倍だが、大陸全体から言えば二%もなかった。東の大山脈ハガラジャと接し、形はほぼ正方形を描く。

 北端西は、山脈から下る大河が北へと流れる。そこを跨いだ先は大陸最大の面積を誇るスイ・ラ・グネ。大河はそのままスイ・ラ・グネとヴァル=ルージェの国境となっている。この国の面積の比較対象にミーレルハイトを出せば、数百倍でも足りはしない。西の大山脈イミナヤに沿うようにできた大国で、縦はヴァル=ルージェと同程度。横は大陸中央から海までという長大さ。大陸の半分の長さを誇り、大陸全面積の一割強を占める。

 残った南には、サマサマーナという宗教国家が扇状に鎮座している。宗教対象は平等を掲げる女神そのもの。各地には女神像が掲げられ、護神を邪神と忌み嫌う。その過程において、護神の司る魔術を異端の法とし、国から排する動きが広まっていた。

 以上に挙げた四国は、中央四大国家と呼ばれ、大陸最大の力を持つ国々である。魔物の多く棲む大山脈と大きく隣接する為、武力を持たざるを得なかったからだ。この傾向は大陸共通で、中央の大山脈に近づくほど軍事力が強い傾向があった。

 中央諸国の次は北の漁業について……


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