神速の限界
たかちゃんは拳を握り、勝負師の笑みを浮かべる。
「ハッピーちゃんなかなか勝負師やな?面白いわ。やってみよか?ほんならいくで?よーい……ドン!!」
たかちゃんは信じられないスピードで巨木に向かって走り出す。地面が震え、風が唸る。ハーピーは驚愕の表情で空を見上げ、叫ぶ。
「きゃっ!? こんな速さ...!でも負けないわよ!」
ハーピーは黒い翼を大きく広げ、風を切って追いかける。たかちゃんの速度は圧倒的で、彼女は追いつけない。焦りが、彼女の羽ばたきを乱す。
「ちょっと待って!こんなの反則よ!人間の速さじゃないわ...!」
だが、突然、たかちゃんの動きが鈍り、息が荒くなる。
「はぁっ……はぁっ……ぜえっ……ぜえっ……」
たかちゃんの足が重くなり、スピードが落ちる。ハーピーは一気に追い抜き、巨木に到着。得意げに翼を広げる。
「ふふ、チャンス! あらあら、スタミナ切れかしら?私の勝ちね♪」
たかちゃんは木に辿り着けず、その場に倒れ込む。
「あ、アカン……」
ハーピーは急いでたかちゃんの元へ舞い降り、慌てた表情。
「あら大丈夫? まさか...能力の反動で体に負担が?」
たかちゃんは地面に倒れたまま、苦しそうに笑う。
「いや、そんなんちゃうわ……たかちゃんのMPが尽きたんや……たかちゃん、まだこの世界来たばっかりで、レベル1なんや……」
ハーピーは目を丸くし、慌ててたかちゃんを抱き上げる。
「まぁ!初心者なのに無茶しすぎよ。私が看病してあげるわ...」
たかちゃんは弱々しく首を振る。
「いや、たかちゃん負けたんやで……そこまでしてもらうんはハッピーちゃんに悪いわ……なんかせなアカンのたかちゃんの方やろがい……」
ハーピーは頬を赤らめ、優しく微笑む。
「ふふ、勝者の権利として看病させてもらうわ。それに...あなたのことが少し気になってきたの」