エピソード2:ハッピーな遭遇
異世界の森、月明かりが木々の隙間を縫う。たかちゃん、30代後半の元サラリーマン転生者、ボロボロの冒険者装備で歩いていた。全言語理解、神速、魔力感知、そしてステータス偽造――彼のユニークスキルが、この世界でのサバイバルを支える。突然、空から鋭い叫び声が響き、黒い影が降下してきた。ハーピーの鋭い爪が、たかちゃんを狙う。
「獲物を見つけたっ!」
たかちゃんは驚き、素早く身をかわす。目の前のハーピーは、黒い翼と長い黒髪、鋭い爪を持つ美しいモンスターだ。彼女の言葉に、たかちゃんは驚きの表情を浮かべる。
「おぉ!!なんやお前!?」
ハーピーは動きを止め、驚愕の目でたかちゃんを見つめる。人間がハーピー語を話すことに、明らかに動揺している。彼女は黒い翼を優雅に広げ、くすっと笑う。
「ふふ...あなた、私の言葉が分かるの? 珍しい獲物ね...食べちゃおうかしら?」
たかちゃんは胸を張り、得意げに答える。
「ワシはたかちゃん言うんや。ワシには全言語理解能力ってのがあってなぁ。お前らモンスターの言葉もわかるんや」
ハーピーの瞳が好奇心に輝き、黒髪を風になびかせ、爪を光らせる。
「まぁ、たかちゃん...面白い能力の持ち主ね。あなたみたいな珍しい獲物は、ゆっくり味わわせてもらうわ...」
「なんでお前、そんなさっきから、たかちゃん食いたがっとるねん」
ハーピーはくすくすと笑い、翼を軽く揺らす。
「あら、私の本能よ。美しい獲物を見つけると、どうしても...食べたくなっちゃうの。特にあなたみたいな珍しい方はね♪」
たかちゃんは首を振って、不思議そうに尋ねる。
「お前、種族なんて言うんや?鳥でええんか?」
ハーピーはムッとした表情で、翼を大きく広げる。
「ハーピーよ。鳥なんかと一緒にしないで...私たちは空の支配者、もっと高貴な存在なの」
たかちゃんは頭を掻き、ちょっと申し訳なさそうに。
「たかちゃんの勘違いやったらすまんな?お前らハッピーは鷹とか鷲とかを、物凄く強くした存在って事でええんか?」
ハーピーは爪を鋭く光らせ、たかちゃんに一歩近づく。
「鷹や鷲とは比べ物にならないわ。私たちは知性も魔力も持つ高次の存在...あなた、もっと近くで見せてあげましょうか?」
たかちゃんは目を輝かせ、ワクワクした表情。
「ワシら人間からすると、飛べるだけで凄いけど、まだあるんか?お前、他どんな事出来るねん?見せてくれや」
ハーピーは指先から紫の魔力を漂わせ、微笑む。
「ふふ...風を操り、幻影を見せ、そして...獲物を魅了する力もあるのよ。見せてあげましょうか?」
「はぁはぁ、お前ら凄いなぁ。そんなぎょうさん出来るんか?たかちゃんはな?『全言語理解』『神速』『魔力感知』の三つやわ。一応『ステータス偽造』って能力もあるんやけど、これは詐欺師スキルやわ」
ハーピーの瞳が好奇心に輝き、たかちゃんをじっと見つめる。
「まぁ、そんなにたくさんの能力を...特に『神速』は気になるわね。私の翼と、どちらが速いかしら?」
たかちゃんはニヤリと笑い、森の奥の巨木を指さす。
「せやな?実はたかちゃん、この世界に来たばっかりで『神速』の能力はまだ使ってないねん。ハッピーちゃんと一発、向こうのでっかい木までどっちが早く着くか勝負してみよか?」
ハーピーは翼を大きく広げ、目を輝かせる。
「いいわ!あの巨木まで勝負よ!負けた方が勝者の言うことを一つ聞くってルールでどう?」