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転生の草原、ステータスの呼び声

広大な草原が、風に優しく揺れる異世界。青々とした草の海がどこまでも続き、遠くの山々が霞む中、主人公のたかちゃんは目を覚ました。ついさっきまで、地球の喧騒で車に轢かれて死んだはずの男――30歳のサラリーマン、たかちゃんは、土の感触に体を起こし、周囲を見回した。空は澄み渡り、鳥のさえずりが響く。『異世界キター! これは夢じゃねえ、ガチの転生や!』 彼は立ち上がり、拳を握りしめ、草原の真ん中で大声を上げた。声が風に乗って広がり、草の葉が微かに震える。


「ワシはたかちゃんや!!とりあえず、定番のヤツやってみるか!!「ステータスオープン」」


空気が微かに歪み、草原に青い光の粒子がふわりと浮かび上がった。たかちゃんの視界に、半透明のステータス画面がゆっくりと展開する。文字が光り輝き、まるで魔法の書物のように広がる。神のような荘厳な声が、頭の中に直接響いた。それは、この世界の案内役――転生を司る存在の声だった。穏やかで、どこか楽しげな響きが、たかちゃんの興奮を煽る。


「種族:人間。職業:冒険者...おや?」


たかちゃんは画面に顔を近づけ、苛立たしげに拳を振り上げた。草原の風が彼の髪を乱す。


「おやってなんや!?続きを言わんかい!!」


神の声は、くすくすと笑うような柔らかな調子で続きを告げた。画面に、青い文字が次々と浮かび上がり、草原の光を反射してきらめく。


「レベル1。HP100/100。MP50/50。攻撃力15。防御力12。素早さ20。スキル:剣術1。鑑定1...ん?この下に特殊能力が...!」


たかちゃんの息が上がり、画面を指で突つく。


「ワシの特殊技能はなんなんや!?」


「特殊能力:『異世界言語理解』『アイテムボックス』『ステータス偽装』...おっと、隠しスキル枠に『転生者加護』!これはレアな能力ですよ!」


草原の草が、たかちゃんの興奮に呼応するようにざわめいた。彼は拳を握りしめ、飛び跳ねる。


「ステータス偽装って、この世界のステータスは他の人間にも見えるんか!?それで、たかちゃんは、偽装してレベル999とかに見せれるって事か!?」


神の声は、穏やかに訂正する。まるで古い友人に説明するように、丁寧で温かみがある。


「いやいや、そう単純ではありませんよ。この世界ではステータスは『表示』と『非表示』の選択が可能です。他人に見せる時は自由に選べますよ」


たかちゃんはニヤリと笑い、目を細めて草原の地平線を見つめた。


「とりあえず、たかちゃんはそのステータス偽装を使って、詐欺師みたいな生き方をするのが一番効率的なんやな!?ドギツい人生に当たってしもたの!?」


「まあまあ、そう悪い選択でもありませんよ。ステータス偽装は生きる術として有効ですが、問題は『転生者加護』の存在です。これは目立ちすぎる能力なんです」


たかちゃんは草原にしゃがみ込み、画面を睨みつけた。土の匂いが鼻をくすぐる。


「転生者加護について詳しく聞かせてくれや!!」


「この能力は『神の加護』『魔力増幅』『スキル習得速度上昇』『アイテムボーナス』など、複数の特殊効果がランダムで付与されるんです。今回は...」


「たかちゃんに当たったんは何や!?」


神の声に、わずかな驚きが混じる。画面に、光の粒子が舞い上がり、草原の空気を震わせる。


「おや...『全言語理解』『神速』『魔力感知』の3つですね。これはかなりの当たり能力かもしれません」

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