第41話 Mastersの社長
「えぇ、これで貴方の娘さんは助かりますよ。」
高級な黒いスーツを身に纏った40代後半の男は笑顔で目の前の大富豪の男にそういった。
ベッドにはランクの高い回復薬をかけられて正常な呼吸を取り戻し気持ちよさそうに眠っている幼い子供が横たわっている。
「あぁ、神よ。ありがとう。本当にありがとう!!融資の件は任せてくれ!!いくらでも積んでやる!よかった、本当によかった!!」
大富豪はすやすやと気持ちよさそうに眠っている娘を抱き、涙を流す。
「では、これで。融資の件は約束通りにお願いしますね?」
黒いスーツの男はそう言ってこの場を立ち去る。
扉の前で待っていた護衛のダンジョンマスター2人も黒いスーツの男に続く。
彼の名前は九条龍治。
ダンジョンマスターであり、ダンジョンマスターが生み出せる魔法の品々の販売やダンジョンマスターの力を使った要人護衛を手掛ける会社 Mastersの社長である。
彼の事業は拡大していき、今は上場も果たし、もはや中小企業の範疇を超え、大企業となった。
さらに、最近は就職者の雇用もしている。
しかし、全てがうまく行っている思われる彼であるが、今、会社は窮地に立たされていたのだ。
立花財閥のダンジョンマスタービジネスの参入。
圧倒的な資金力、囲っているダンジョンマスターの数、それに伴った潤沢なDP、圧倒的な情報網と人脈。勝てる相手ではなかった。
どんどん顧客が立花財閥に流れていき、Mastersは利益が確実に減っていった。
もはや、立花財閥に合併されるしか道がないとかというところまで迫られている。
この富豪宅は山奥にあったため、今は車で崖沿いの山道を車で走っていた。
前から車の光が現れて、車を3台並べて道を塞がれていた。
「こんにちは、社長さん。」
フードを深く被った若い女性がその車の一台から出て来て、声をかけられた。
すぐに車内にいる護衛が警戒する。
「誰だ!?」
護衛の1人が社外に出てその女性に話しかけた。
「私?私はねー、秘密組織の幹部だよ?社長さんとビジネスの話がしたくて来たんだ。」
「秘密組織?ふざけるなよ?嬢ちゃんの遊びに構ってる暇はないんだ!」
車外に出た護衛がそう言って怒鳴る。
「遊びじゃないんだなぁ、これが。」
謎の女性がそう言ってパチンッと指を鳴らすと3台の車からフードを被った人がぞろぞろと降りてくる。
「なっ!?」
護衛はすぐに武装したリザードマンを二体出す。
「逃げましょう!!」
もう1人の運転をしている護衛は切り返して車で逃走しようと図るが、道路の崖の上に人を伏していたらしく、すでに後ろはストーンゴーレムが数体いて道を塞いでいて逃げ場は道路の崖下しかなかった。
「あれがすべてダンジョンマスターならやばいな。」
俺は冷や汗をかいてそう呟く。パッと見ただけで十人以上いる。
「さて、社長さーん。早く出てこないとこの人殺しちゃうよー。」
謎の女性は、巨大なオークを召喚しており、私が目を離した隙に護衛の出したリザードマンはそのオークによって殺されていた。護衛もすでに敵に捕えられている。
私は観念して車を降りる。
「わかった、話をしよう。」
私は両手をあげてそう伝えた。
「うんうん、大丈夫。悪い話じゃないから!」
謎の女性はそう言って私を他のダンジョンマスターに捕らえさせて、拘束し、私に黒い布の袋を被せた。
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