第36話 美しき冬の女王
ということで、魔王ブルゴルとの会談をすることになった。
意外にも向こうも会談には前向きだった。
会場は向こうの山脈の中腹にある広い広場で開催することとなった。
俺はダンジョンアイで出席だ。
相手に失礼に思われるかもしれないが俺が向こうにはいけない。その代わり最古参のカースナイトを共につける。
「まずは対話に応じてくれたことを感謝します。」
俺はまず対話に応じてくれたことに感謝する。
俺はダンジョンアイから魔王ブルゴルの姿を見る。
白く美しい肌に白銀に煌めく見事なドレス。そのドレスに引けを取らないくらい輝いている白銀のサラサラの長い髪。整った顔立ち。
美しい女王がそこにはいた。
いや、美女なんかいっ!名前的に毛むくじゃらの化け物みたいなやつ想像してたわ!
「いや、攻め込んだのはこちらである。対話の機会を設けてくれたこと感謝する。」
魔王ブルゴルはそう言って頭を下げる。頭を動かすとサラサラと魔王ブルゴルの美しさ銀髪が動き、輝く。
う、美しいな。思っていた魔王とのギャップがすごい。
「さて、早速本題に入らせてもらうが、このままそちらは戦争を続けたいか?」
俺は早速本題に入った。
「其方らが我がキガン大霊峰を脅かす憂いがあるのならば、我らは戦わざるを得ない。」
魔王ブルゴルは表情を変えずにそう言った。
「いつ俺らがそちらの山を脅かすと言った?」
「其方らが勢力を拡大するのならば、我がギガン大山脈の攻略は必須。いずれ其方らがこちらに攻め込んでくるのは容易に想像できる。」
「いやいや、それは勝手な想像だろう?」
まぁ、実際そうだろう。もしも俺が中央に進出するのならばギガン大山脈の攻略は必須だ。
「魔王グダラを滅ぼしておいてよく言う。魔王グダラ領の最後は悲惨であった。その領民や兵のことごとくを虐殺して回っていたではないか?」
そう言って魔王ブルゴルは目を細める。
おぉう、確かにそれは否定できない。
めちゃくちゃゴブリン狩まくった。あれ、もしかして俺、相当評判悪い?
「なるほど、だけど、俺らとて貴公らに何もしたいなのに一方的に攻められて黙っているわけにもいかない。もしも、そちらが戦闘継続の意思があるのならば、こちらは必ず攻め滅ぼす。雪山の環境に合う兵を用意して何年、何十年かけようとも山脈を攻略する。」
もちろん脅しである。
そんな費用対効果の悪いことはしない。こちらのDPとて無限じゃない。
「…こちらとしてはもちろん戦争は終わらせたい。」
魔王ブルゴルはこちらの回答を聞いてその美しい眉を顰める。
「貴公らの意思は了解した。では、和平協定を。」
俺はカースナイトにある書類を出させる。
そこには和平する代わりに、賠償として山脈の一部割譲を要求する内容が書かれている。
もちろん、少し多めに請求している。
魔王ブルゴルはこちらをキッと睨んだ。そして、後ろの将軍に見てみろとばかりに書面を渡す。
「貴様ぁ!!中腹手前まで寄越せだと!?」
その書面を見た魔王ブルゴルの将軍が怒りの形相でこちらに怒鳴りつける。
「当たり前だ。そちらはこちらに大侵攻して来た。当然の支払いだと思うが?」
「ふざけるな!こちらはあの虫けらとその鉄屑にギガン大霊峰の戦士たちが相当数やられているのだ!!」
魔王ブルゴルの将軍はそう言ってカースナイトを指差した。虫けらとはアバドことだろう。
「それは貴公らが攻め入ってきたからだ。しかし、我らとて貴公らと事を構えたいわけではなかったのだ。いや、むしろ貴公らとは友好的に関わりたい。わかった、要求した領地が割譲できないのであれば、ここはどうだ?」
俺はカースナイトに地図を出すように指示し、ダンジョンアイの触手である山を指差した。
「ふむ、そこか。…いいだろう。」
魔王ブルゴルはやや考えて了承した。
そこは山脈の端の山だ。ちょうど大陸との交通にある山だ。
この端の山さえ押さえることができれば正直大陸中央への道が開けるし、逆に大陸中央の勢力からの侵攻も防げる。
ここが一番欲しい。逆に山脈などいらない。大山脈全域を守るなんて俺にはできない。なら、魔王ブルゴルに山脈を守ってもらっていた方がいい。
それに向こうだって、ここを渡せば俺たちが中央に進出するために大山脈を攻めてくるかもしれないという憂いはなくなる。
今回の賠償としては妥当であるし、これからの俺たちの関係を考えるとこの要求は飲まざるを得ない。
そして、魔王ブルゴルは要求を飲んでくれた。
これで魔王ブルゴルとの戦争は終結した。
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