31話目 就職者クエスト
「その反応。先生もダンマスなんですね。」
スイは明らかに警戒するように俺の前に立ち、先生を睨みつける。
先生はしまったという表情を浮かべた。
「…俺もということはまさか、立花君もそうなのか?」
星宮先生は驚いた顔をしてそう尋ねた。
「先生、質問に答えて下さい。」
スイはキッと睨みながらそう言った。
「確かに俺はダンマスだ。だけど、イベントにも参加したことがない。だいぶ俺のダンジョンは僻地にあるみたいでね。ダンジョンにもゴブリンくらいしか襲ってこない。」
「信じられません。」
「今の世の中、ダンマスだとバレると厄介だ。息を潜めているダンマスはたくさんいる。俺もそのうちの1人だということだ。俺に敵意はない。」
先生はそう言って両手を上げる。
「…わかりました。すみませんでした。」
スイはそう言って謝り、頭を下げる。
「いや、いいんだ。こんな世の中じゃ仕方ないさ。むしろ、そのくらい警戒心はあった方が良い。とまぁ、それどころじゃなくて、勇輝くん。そのアプリを俺たちによく見せてくれないか?」
「ダンジョンマスター?スイ、お前はあのダンジョンマスターだっていうのか!?モンスターを呼び出して暴れてるあの!?」
意味がわからない。スイがダンジョンマスターだったなんて。
ニュースでよく目にする。超常的な力、魔法を使った建物を壊す人やモンスターを従えて犯罪を犯すもの。
ある日突然力を授かった者たち。それがダンジョンマスターだ。
「勇輝、あとでちゃんと話すわ。とりあえず今はそのアプリをよく見せて。」
スイが俺の手を握って不安そうな表情でそう訴えかけてくる。
「…わかった。」
俺は言われた通りにいつのまにかインストールされていたアプリ 就職者クエストを開く。
ようこそ!貴方は職業に就職することができました。
貴方の職業はユニーク職業 勇者です。
おめでとうございます。
このアプリを通して様々なクエストをこなしてください。クエストをクリアすると報酬が与えられます。
報酬を使って自信を強化してください。
この世界を守るために奮闘を期待します。
「なんだ、これ。」
流れていくアプリの表示を読んでいく。
勇者ってなんだ?ユニーク職業?
俺は次にステータスという表示をタップする。
職業:勇者 lv1
スキル:勇者
これだけ?
「勇者ってスキルをタップしてくれ。」
星宮先生がそう言って勇者のスキルを指差す。
俺は言われた通りに勇者のスキルをタップする。
勇者:1人しか就くことのできないユニーク職業。成長と共にブレイブパワー、ブレイブスラッシュなど強力なスキルを得ることができる。常時微量回復を付与。
成長超加速、ダンジョンマスター特攻、魔王特攻を得る。
特記:勇者は人類の希望。強大な力を持っている魔王にすら勇者の刃は届きうる。
「なるほど、つまり、勇輝は私たちの天敵ってわけかな?」
スイは悲しそうな顔を浮かべて俺の顔を見ずに俯いてそう言った。
「スイ…」
そんなスイをみて俺も悲しくなる。
「こっちの異世界転移を押してみてくれ。」
星宮先生がそう言ってアプリの操作を急かす。
俺は言われた通り異世界転移をタップする。
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