20話目 逃げるあかりちゃんチーム
「あっ、亮がやられた。もう、ちゃんと連絡しろって言ったのに。」
アプリのログにはあかりちゃんチームにリョウがやられたと書いてある。
送った増援も全滅したようだし、どうやら強敵に当たったみたいだね。
あーあ、これで俺以外全滅じゃないか。
んー、やっぱりもっと有能な手駒がほしいなぁ。
あかりちゃんチームねぇ。
亮に連絡する隙すら与えずにあの数のモンスターを倒すなんて、なかなか優秀じゃないか。
「みんな、急いでここから離れるよ!」
あかりちゃんは亮を光に変えて、残党を倒し終わるとすぐに2人を連れてその場を離れた。
「えっ?なんで?」
しのぶは不思議そうにそう言った。
「さっきの男、絶対バックにヤバい奴がいる。」
あかりちゃんは冷や汗を流してそういった。
「どういうこと?」
今度はセラがあかりちゃんに尋ねた。
「さっきの男がゲームオーバーになったあと、あのスケルトンと蜘蛛たちは消えなかったでしょ?つまり、あいつのモンスターやあいつのスキルで召喚したわけじゃないわけ。たぶんあいつは捨て駒、ヤバい奴がくるかもしれないからここから急いで離れないと。」
迂闊だった。あの数のモンスターだ。あれでかなり無理をして召喚してるのかと思ったけど、増援が来た時にやばいと感じた。
あの量のモンスターをチームメンバーに持たせて、さらに増援も送れる。
絶対に格上のダンジョンマスターがバックにいる。
「えぇー、でもあかりちゃんのおっちゃんなら倒せるんじゃない?」
しのぶは呑気にそう言う。
「あんな量のスケルトンと蜘蛛を送ってくるんだよ?召喚特化って思いたいけど、あの量のモンスターを送りながら自分の安全も確保しているはず。つまり、順当に考えれば、おっちゃんと同じBランクのモンスターを複数所持している可能性があるの。」
いや、もしかしたらそれ以上のモンスターを従えているやつかもしれない。
「じゃあ、あの人倒さないほうがよかった?」
セラは不安げにそう言った。
「ううん、それはよかったと思う。捨て駒といえ、あの戦力を一気に削ったから向こうもこちらを警戒してくれたと思う。それにあのままあいつにダンジョンマスター達を派手に狩らせてたら誰もポイントが巻き返せないほどになってた。だから今は、敵が警戒している間に、もしもそいつが向かって来てるなら会敵する前に逃げるのが大事。」
あかりちゃんはセラが安心できるようにそう言って笑顔を見せる。
もしも、敵がただのアホでないのなら、あれは餌だった可能性もある。
あんなに派手に大量のモンスターを率いてダンジョンマスターを狩らせていたのだ。強力なダンジョンマスターを釣るための餌だとしたら?
でも、なんのために?
そんなの決まってる。自分が優位に立っていうちにこのイベントでできるだけライバルのモンスターを殺しておきたいんだ。
絶対にヤバい奴だ。これらを考えるに、敵は自分の強さに確信を持っている。
「可愛い子達発見!!」
空に巨大な影がさし、ドラゴンの遠吠えが響き渡った。
「あいつ、ドラゴン使いの村井だよ!」
セラが指差してそう言った。
BランクのドラゴンとCランクのワイバーン2体がこちらを見下ろしている。
「もう!なんでこんな時に!!」
あかりはついに苛立ちを隠せないでいる。
「こいつ、たぶんチームメンバーを置いて1人でダンジョンマスターを狩ってるんだよ!」
しのぶはそう言って自分の周りにモンスターを集める。
「そうだとも!俺のドラコで無双してやるんだよ!」
村上はそう言って不敵に笑う。
「メスなの?」
セラが場違いなことを尋ねる。
「女の子だよ!ドラコ、ドラゴンブレスだ!」
村上はそう言って答えるとドラゴンにドラゴンブレスを放つように命令した。
「みんな!相手は無勢だよ!さっさとやってここから離れるよ!おっちゃん!」
あかりはそう言って自身の最強のモンスターであるオークジェネラルにドラゴンを倒すように命令を出した。
「くそ!思ったより手強いじゃねぇーか!ドラコ、体制を立て直すぞ!」
村上はボロボロになったドラゴンを撫でて、退却して行く。連れていた2匹のワイバーンもやっと飛んでいられる様子だ。
「はぁ、はぁ、みんな大丈夫?」
あかりは肩で息をしてみんなにそう呼びかけた。
「うん、でも、私のゴブリンライダーやられちゃった。」
「私のポイズンスネーク2体も…」
しのぶとセラの2人は悲しそうにそう言った。
「私もハイオーク2体やられたわ。流石ドラゴンね。他のBランクとは格が違うわ。」
あかりは焦った表情でそう言った。
ここで明らかに時間を使いすぎた。早くここを離れないと。
「あれれ?みんな満身創痍って感じかな??」
俺は3人の前に姿を現す。姿を現すと言っても隠蔽スキルセット全開だから声だけ聞こえるんだけどね。
「誰!?」
あかりはビクンッと体を震わせた。
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