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魔法で極める暗殺稼業  作者: マッスルアップだいすきマン
魔法で極める戦争稼業
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異世界復興支援庁長官

 魔王城での生活は殺風景で何も無いので、暇である。逆にツアレのラボは切り刻まれた人間の死体がところ狭しと並べられたり吊るされていたりするから、遊びに行くのも憚られる。

 「そういえば魔神様はどこにいるの?」

 テーブルを囲んだ雑談でエマちゃんに聞いてみた。

 「魔神様は人間の所にいるよ。こないだ来た転生者も寿命でだいぶ死んじゃったから労働力が不足しているんだよね。復興がだいぶ遅れている。化外奴隷を使って復興を手伝っている。」

 「魔神様は女神みたいに異世界転生者召喚はできないの?」

 「そりゃ、井上がその真似事ができるくらいだから、当然できるよ。でも魂転生はマサユキみたいなのを転生させちゃうバクチだから避けてるみたいだね。」

 「ふーん。この世界のオリジナルの人間や獣人達はだいぶ個体数を回復したのかしら。」

 「ジビエ戦争で結構食べちゃったからね。あと、知っての通り異世界人とは交配できないから、低空飛行ってとこかな。そろそろジビエも食べたいし、増えてくれないと困るんだけどね。」

 「ふーん、前に転生者やエルフは不味いって言ってたけど、どう不味いの?」

 「どう不味いって、そりゃドブみたいな味だよ。」

 「???」

 「魔力が多すぎるんだよ。肉は無駄にレインボーに輝いてるし、魔力抜きしないと臭くて食べられん。」

 「普通の人間とエルフとのハーフはどうなん?」

 「おお!昔そういう禁断の恋愛ストーリーあったな!昔むかしあるところに・・」

 「いや、物語はいいよ。とりあえず魔神様の所に挨拶に行くから。」

 エマちゃんの長話を聞かされずに済むように、俺は言い訳を作ってそそくさと退散した。

 

 かつてマサユキが使っていたカケル学園は見る影もなく、平屋の石造り住宅が並んでいた。その平屋の一つに魔神はいた。ただの優しいお兄ちゃんみたいな佇まいだ。カケル王国の誰も彼を魔神様とは思ってもいないだろう。

 「やあ、君か。やっぱり復興を手伝ってくれる気になったんだね。」

 その問いには答えず、俺は逆に問いかけた。

 「復興が思うように進んでいませんね。」

 魔神はそりゃ当然、という顔で俺の顔をみた。

 「君が降らした家や建物や化外が思いのほか多くてね。女神が最後に送り込んだ転生者はほとんど瓦礫の片付けで人生が終わっちゃったよ。」

 「魔神様は女神みたいに転生者を使わないんですか?」

 「私はこの世界はこの世界で完結させたいと考えている。だからできるだけ使いたくない。かといって女神が創造したこの世界の人間達は、姿形は良いけれど、脳みそが残念な奴が多い。創造者の技術が未熟だったんだね。」

 「そもそも魔神様が創造なさることはしないんですか?」

 魔神は少し困ったように少し沈黙し、口を開いた。

 「できるけど、そもそも僕は魔族とかそういう造形が好きなんだ。じゃあ全部ぶっ壊して全部魔族にすればいい、と思うかもしれないが、妻、いや女神への多少なりともの罪滅ぼしで、いまこうして復興を手伝っている。」

 魔神もなかなか苦悩しているんだな。女神の子供たちだもんな。自分の子供みたいなものだ。なんか思い出せそうな気持ちがしてきた。

 「一つ提案なんですけど、魔族は無理にしてもエルフとか長命部族とこの世界の人間の混血を進めて、人口を増やすっていうのはどうですか?エルフとも関わって来ましたけど、人間よりはるかに長命ですし能力も高い。」

 魔神は少し考え込んで呟いた。

 「それも、あり、だな。女神が熱中して細部まで作り上げたのがエルフだし、いつまでも化外奴隷を人間世界で働かせるわけにもいかないし。」

 「一度、エルフの長老と会ってみますか?」

 「いやいや、アイツラからしたら俺なんて不倶戴天の敵だろう。話に乗るとは思えないが・・」

 「実はエルフの里にも俺の妻と子供がいるんです。妻は、長老です。」

 「ああ、ルカか。知ってるよ。俺はかなり嫌われてるけど、女神の狂気沙汰にもうんざりって感じで隠れ里に引きこもっているんだよね。」

 「失礼を承知で具申しますが、魔神様が下手に出て『協力を頼む』と一言いえば丸く収まると思います。」

 「とにかく人間を増やしたい。混血でも構わない。元の通りにさえ戻れば僕は満足だ。」

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