微笑ましき一家団欒の風景
対象の共産党員のリストアップはすぐに終わった。俺も適当にタブレットをスワイプして50人ばかりをバニシングした。
「じゃあちょっくら行ってくるわ。昼までには戻ると思うよ。」
俺はそう言ってソファから立ち上がったら、新井に引き止められた。
「私も連れてって貰えませんか?」
「いいけど、異世界未経験者がワームホールに入るとどうなるか分かんないよ。金子さん、あなたは異世界経験者だけど、また行きたいって思う?」
「何がどうなるか分からないですし、私はごめんですね。新井さん、あなた化外になっちゃうかもしれませんよ。」
金子は笑いながら応えた。
「じゃ、やめときます・・」
新井は意気消沈したようだった。
すぐに板橋に向かい、ワームホールを抜けたが半分くらいは化外牧場に転送されたところだった。早く話を通さないとエマちゃんに食べられてしまう。すかさずバニシングをかけ、魔王城に飛んだ。
「おう、エマちゃん、化外が牧場に着いただろ。どうしてる?」
「井上、思ったより早かったな。2カ月ぶりくらいか?また豚のプレゼントありがとうな。なかなかいい味だったよ。」
「ゲッ、食べちゃったの?」
「なんだ。プレゼントじゃなかったのか。」
「いやいや、あの化外は向こうで使うんだよ。何頭残ってる?」
「複製しているから、一応オリジナルは全頭残ってるよ。」
「ならよかった。ところで相談なんだけど、化外の脳みそを魔改造してこっちの言う事を何でも聞くロボットにできる?」
「ロボット、とは何か分からないが、言う事を聞くようにはできるよ。」
「あと知性なんだよな。化外は脳みそパッパラパーになっちゃうじゃん。それを直して自分で判断できる忠実な下僕にしたいんだけど。」
「結構難しいことを言うな。だけど、不可能じゃないな。都合のいい記憶、都合のいい性格にすることができるが、調整が難しい。」
夫婦の話を続けていると、エマちゃんの後ろからひょっこりツアレが顔を出した。
「私そういうの得意だよ。」
「おおお、さすが我が娘!さっそく頼むよ!」
「えー、タダで?」
いつの間に打算的な性格に成長してしまったんだ。全く、誰に似たんだ!
「わかった、わかった。何が欲しいんだ。」
「私、異世界人の白子が食べてみたいんだ。」
「げ、キンタマかよ!化外のじゃダメなのかよ!」
「いろいろ化外の実験したんだけど、送られた時には精子がダルダルなんだよね。活きが良いのを生で食べてみたい。」
「わかった、わかった。何とかするから。頼むよ。」
そこから一カ月間は魔王城に滞在した。人間世界の復興は、当初は責任を感じて魔神が携わろうとしたが、その後に湧いたいくばくかの転生者達が中心にやり始めたそうだ。八王子の連中だろう。それなりに復興できているようだ。
しかし、中には冒険者を気取って魔王領に潜入するやつもいた。さすが八王子市民だ。しかしここは高尾山や街道沿いのだだっ広い駐車場があるコンビニじゃねーぞ!そういう不逞の輩を俺はひっ捕らえて、キンタマを引っこ抜いた。
「なあツアレ、今日は転生者のフグリを狩って来たぞ。」
微笑ましい家族団らんの食事風景である。ツアレは皿に乗った竿と玉をつまみ、いろいろな角度から観察していた。エマちゃんは化外の腹を切り裂いて腸を食っていた。俺は、人間の肉なんて食いたくないから森で捕まえた、なるべく現世界の牛や豚の味に近い魔獣の肉を鑑定して調理して食べていた。
「パパ、これあんまり美味しくない。ママの言ったことは嘘だったの?」
エマちゃんは腸を貪るのをやめ、血だらけの口で話に入ってきた。
「いや、井上の精液は格別だったよ。思わず受胎しちゃうくらいに。」
「なんだ、パパの白子が美味しいのか。じゃあパパのちょーだい!」
「いやいや、親子だぞ!そういうのはイカン!しかし親としては真面目に考えないとなぁ。たぶんレベルなんだと思うよ。今度高レベル個体を探して来てあげるから勘弁してよ。」
「約束だよ!」
魔王城来訪一カ月後、共産党員の魔改造が完了した。
「ツアレ様、お父様。我々は貴方がたのために造られし下僕です。貴方がたのため身を粉にして働かさせていただきます。」
共産党員Aが応えた。こいつは、、国会議員の海削綴だ。YouTubeもやっていてTUZURUチャンネルの登録者数は結構いた気がする。これは使える。
「これ、調整方法というかマニュアルとかないの?」
「パパは世話が焼けるね。人間語で書いておいたから、ほら。肉体強化の仕方、新しい記憶の付与、行動様式の変更方法とか微調整できるよ。だけど、パパはあんまり頭良くないから、『ガンガンいこうぜ』とか『バッチリがんばれ』とか適当な命令でも最適行動できるようにしてるから。」
「さすが我が愛娘!次来る際は高レベル個体フグリをしっかり用意するから!」




