(091) 携帯、買い替えようかな
◇◇◇ 記者会見会場 ◇◇◇
時刻は13時。
病院での堀北家との打ち合わせから
オレは場所を移し、記者会見が行われる
ホテル前へと移動したところだ。
岩井さんの記者会見だ。
そしてオレは、会場へは直行せず
1階ロビーのソファに腰かける。
Lineが来てたので確認するためだ。
Line>明日、部室に集合しません?
というカイの提案に対して
Line>ごめんなさい。
明日、あさっては用事があるので
パスします。
堀北さんが不参加を表明。
そりゃそうだろ。明日は手術だからね。
現在、ロサンゼルスに居る中雄医師とは
日程調整ができてない。
チャーター機は24時間待機させてあるので
いつでも飛行可能にはしてある。
できるだけ早く来てもらいたいものだ。
焦ってもしかたない。
そんなことが頭を過りつつも、
オレは堀北さんに加勢しる形でLineに返答する。
Line>オレもパス。
親戚が東京に遊び来てるので無理。
あさって以降にしてくれ。
ハルキの身体が使えるのは明後日だ。
早く寮に戻りたいところ。
あと、堀北さんの手術に立ち会いたいし、
岩井さんもケアが必要になるかも知れない。
いろいろと忙しい。
Line>お前ら薄情過ぎるだろう。
金沢さんは、深く傷ついてる。
オレらで元気付けないとだろ!
カイくんよ。
このLine、金沢さんも共有されてますよ。
Line>あのぉ。
私にも文書見えてますけど。(汗)
ほら言わんこっちゃない。
Line>でも岳中くん、ありがとう。
まだ外に出るのは怖いです。
文面からだけだけど、金沢さんは回復してる
してるように思われる。
も少しだ。
オーパーツ事件の真相が明るみになってから
主催者であるTOKYOギャラリー社が叩かれ
まくってる。
主催者側としては、流出した監視映像は
捏造だと主張している。
テレビや週刊誌は競って金沢さんを
批判しまくっていたのに
今はしれっと主催者側を叩いてる。
金沢さんに対して謝罪の一つもない。
これには憤りを感じてる。
金沢さんは未成年ということもあり
顔も名前もさらされてはいないのが救いだ。
だが金沢さんはトラウマになってることだろう。
オレも元気付けたいけど、ハルキの身体に
戻らなければ身動きがとれない。
Line>分かった。オレ1人で金沢家に行くよ。
オイオイ。スゲェなぁ。
よくそんなことを書けるよ。
Line>ごめんなさい。
部屋が散らかっているの。
また今度にして。
はい、残念でした。
とりあえず、金沢さんがLineに参加して
くれたことが、なによりも嬉しい。
事件が好転して、少しは楽になったのかな
と思いたい。
世間も叩いていたメディアに対し怒りを感じ、
金沢さんを擁護する声が集まってる。
オーパーツ事件は最終的にどのような
結末を迎えるか分からんが、金沢さんに
矛先が向くことはないだろう。
あとは、金沢さんのケアをするだけだ。
Lineを終え、オレは会場へと向かう。
「ちょっといいですか?」
会場に入ったところで岩井さんと目が合い
声を掛けられた。
「ハルキと合わせて」
1時間後には記者会見だろう!?
確かに気になるか。
あんな別れ方しんだから。
ありがとうな、こんな時に心配してくれて。
惚れそうだよ。
やばい、いつもの女子なら誰でもいい病が
発動しだした。
落ち着け。
オレは、誰にも聞かれないよう
とりあえず岩井さんと会場の隅へと移動する。
その間、どう返答するか考えてるが
なにも浮かばない。
さて、どう答えたら正解だ。
そもそも正解はあるのか。
「1つ説明しておく。
病院に来た黒服の連中と私は関係ありません。
そしてハルキくんは元気でいます。
明後日になれば戻ってきます。
待てませんか?」
「酷い目にあってないかが心配です。
どこで、どうしてるかだけ教えて!」
そんなに心配されると心が痛いよ。
むしろオレを心配してくれ。
心も体もメッチャ疲れてる。
「私にも分かりません」
「なぜ?
ならハルキの携帯を田中さんが
どうして持っているんです?」
おっと、そうだった。
まずい、オレも頭が混乱してきた。
そもそも、はぐらかしたところで
ハルキと再会した時どう説明する?
無理だ。説明しれきれん。
「黒服の連中がオレの前に現れて
しばらくハルキ君になりすまして
と携帯を渡されたのだよ」
ちょっと無理があるかな。
いつもの適当にキレがない。
「田中さんとハルキはどういう
関係なんです?」
うわぁ。更なる難題が来た。
どうしよう。
「それは秘密です」
そうか。
全てこれで回答しとけばいいんだ。
「全部嘘だったのね。もういいです。
明後日、ハルキに直接聞きます」
それ、やめて!答えられないっす。
携帯買い替えようかなぁ。




