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(083) さぁ、反撃開始です

◇◇◇ PMC本社 ◇◇◇

ここはプロテクト・マネージメント・カンパニー

という名の会社。

略してPMC。その本社に来ている。

業種は、表向きボディーガードの派遣会社である。


外観は古く、木造家屋の一軒家で庭があり

敷地が広い。

だが、壁に囲まれてるため

外部の人からは知るよしもない。

壁沿いにはガレージがあり、

ベンツが並べられてある。


だれが見ても会社ではなく金持ちの

個人宅にしか思えない。

それもそのはず。

元々は、郷田組というヤクザの拠点だったのだから。


ここではオレは会長と呼ばれている。

理由は、郷田組をぶっ潰して

オレがボディーガード会社に作り変えたからだ。

警察に捕まった上層部意外は、

社員として使っている。


門の前に1台のタクシーが到着した。

それを察知してか、体格のいい2人組の男性が

外へと飛び出し、タクシーの後部扉の前へと立つ。


タクシーから降りた人物は、

スーツ姿のエリート風な男性1人のみ。


「会長、来るなら連絡ください。

 お迎えを向かわせましたのに」


会長とはオレのことだ。


「急ぎだったもので直接来た。

 すまんがタクシー代を払っといてくれ」


オレはそう言って、単独で屋敷へと入って行く。


PMC社は独自の諜報機関を持っている。

オレは誰にも挨拶を交わさず

諜報室へと直行するのであった。


中に入ると3・4人しか入れないような

狭い部屋で、数えきれない数のモニターが

何かを絶えず映し出している。


「会長、お待ちしておりました」


中は作業員が1人だけであった。


「何か分かったのか?」

「完全解決には至りませんが、

 いろいろと分かったことがありますので

 現在の調査状況を報告します」


オレがPMC社に依頼したのは2つ。

金沢さんのオーパーツ破損事件と、

岩井さんの詐欺事件について。


「仕事が早いな。流石だ。

 状況を説明してくれ。

 金沢(かなざわ)(かえで)の件から頼む」


金沢さんの件は、事件当日に金沢さんに

ぶつかった人物を特定してくれという依頼だ。


何度もニュース映像を拝見したが、

わざとやったようにしか見えない。

もしかしたら、ふざけた結果、

大事(おおごと)となった可能性はあるが

犯人が子供ならまだしも、いい大人である。

ここは人物を特定して、そいつにも責任を

負わせて、金沢さんの精神的苦痛を

軽減させたいと考えている。


問題は、監視映像に顔が映ってないということ。

顔の向き、首の角度、立ち位置が絶妙で

運良く顔が映らいでいた。


「人物が特定できました。

 監視映像から株式会社TOKYOギャラリー社長、

 こと八重田(やえだ)宏一郎(こういちろう)であります。

 八重田興業、組長の次男でもあります」


はい?

一般人かと思いきや関係者だと。

TOKYOギャラリー社は、オーパーツ展の主催社だ。

その社長が、自ら金沢さんを倒したことになる。


「どうやって特定した?」

「簡単ですよ。

 今は便利なツールがあるんです。

 歩き方や仕草でAI検索させたんですよ。」


「そしたら、主催社の社長がヒットしたと?」

「はい。

 99%の一致ですので間違いありません」


なるほどな!と言いたいところだが、

展示品は全て借り物であり、世界の文化財だぞ。

そんなふざけたことをする意味がわからん。


「そこで、一つ面白いっ事実が判明しました」


まず、主催者であるならば事件発生の場所で

監視カメラに顔が映らない角度を把握

できてたはずだということ。

監視カメラは多数設定してあるので、

犯人が入館から出て行くまでの間に、

他の監視映像に映っているはずだということ。


更に諜報員は決定てきなのを発見をした。


ドクロの傷は首に出来たと記者会見で

発表されていたが、金沢さんが落とした時は

ドクロは頭から床に激突してるのだという。

となると、傷は頭に出来たことになる。

記者会見と食い違っている。


「ドクロは既に破損していた。

 その犯人を金沢さんになすり付けた。

 ということか?」

「そう考えるのが自然ですね」


「ん~ん。

 あんな荒い画質で良くドクロが

 頭から落ちたと判断できたな。

 別の情報を入手したのか?」

「いえ。

 ニュースで放送された映像のみです。

 ご指摘の通り。

 床に当たった時、頭なのか首なのかは、

 あの映像からでは判定できません。

 ですが、ドクロが棚から床に激突する

 までの映像はあります。

 一緒に確認して頂きたい」


ドクロが棚にある映像から、ドクロ部分を

拡大させてモニタに映し出す。

すると、その時点で既にドクロの原型が

把握できず、どこが頭かも映像からでは判断できない。

こんな荒い画像で何がわかるというのか?


驚く事にドクロが棚から滑り落ちるまでの間、

ドクロが回転してるか否かは認識できるのである。

映像を何度見返しても、床までの間、

ドクロは半回転しかしてない。

すなわち頭から落ちたということになる。


「素晴らしい。納得した」

「もしかしたら、わざと荒い画質の

 物をメディアに提供してる可能性が

 考えられます」


確かに。

ますます主催者サイドが怪しくなって来た。

では、いつ破損したかだ?


事件前日は普通に営業しており客を入れてた。

ならば前日の営業終了までは破損してなかった

と推測できる。

となると、深夜に別の者が傷つけた可能性が高い。


「事件前日の営業終了から当日の営業開始

 までの監視映像を入手できないか?

 欲を言うと事件の時もだ」

「そう言うと思いました。

 既に博物館側へ情報提供の依頼を

 出してます」

「オレが来るまでもなかったな」


希望が見えてきた。

優秀なスタッフが居てくれて頼もしい。


「次に詐欺事件の件になります」

「コスプレイヤーの方だね。

 こっちも犯人を特定できたのか?」


「いえ、流石にこちらは乗っ取った時に

 使われたIPアドレスかMACアドレスが

 ないと探せません。

 ダメ元で運営側に情報提供を依頼

 しましたが渡せられないという

 回答が返って来ました」

「分かった。

 この件に関しては、前田経由で圧力を掛ける。

 入手したらPMCに共有するよう伝えておく」


「1つお聞きしますが、この2つの事件。

 ここまでしてやるほど重要な

 案件なのでしょうか?」


友人としてだけでなく、彼女らには

いろいろと教わった。

しかも、みな良い子だ。

だから助けてやりたい。


「あぁ、オレの命に代えてでも解決

 したい最優先事項だ。」

「承知いたしました」

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