(080) ■■ サード・インパクト ■■ ■■■■■■■■■■■■■■■
◇◇◇ 病院 ◇◇◇
乃々佳の病室に突然あやしい
連中が入って来た。
リーダー1人と黒服4名。
そいつらは乃々佳を連れて行くという。
「では、取り掛かってくれ」
黒服が乃々佳の方へ足を向けた時。
「やめろ!」
オレはベッドの前へと行き、両手を広げて
阻止しようとする。
「キミ、これは院長先生と話が
付いてるんですよ。
邪魔されては困る」
確かにおかしい。
この病室は監視カメラで見守られてるはず。
とっくに警備員が来てもおかしくない。
まかさ、ここに来る途中、片っ端から
人を殺して来たということか。
廊下に出たら血の海で、
生存者はここに居る者だけとか。
そんな映画みたいなことってあるのか。
「ハルキ!お願いだからやめて」
岩井さんは身を震わせている。
彼らの邪魔をすれば2人の身が危険だ。
だが、おとなしくしたところで、
この場を目撃したオレらを
そのまま返すだろうか。
相手の人数が多すぎる。
抵抗したところで、状況はきっと変わらない。
どうにかして、打破する方法を考えないと。
黒服たちが詰め寄る。
オレは1人に取り押さえられた。
もう1人の黒服が、バッグから
銃のような物を取り出すのが見える。
何をするか目で追うと乃々佳の頭へ
銃口を向けたではないか。
「キミ!」
オレは取り押さえられてる男から抜け出し、
銃を発射する直前でオレは銃口を握り、
角度を変え防ぐ。
「何をする」
「ハルキ、やめて!」
黒服は力ずくで銃口を戻そうとするも
オレは銃口を自分の額へと押し当てる。
「撃てるものなら撃って見ろ!」
「いやぁー」
オレが死んだら岩井さんはどうのような
扱いを受けるのだろう。
岩井さんが心配だ。
♪カチ
本当に引き金を引きやがった。
だが、痛くもかゆくもない。
発射音もない。不発?
オレがひるんだところを、再度別の黒服に
倒され、取り押さえられてしまった。
岩井さんは足の力が抜けたのか
その場に床に座り込む。
「先生。こいつも対象です」
先生?対象?
「ジュンなのか?」
リーダーがオレに問う。
ジュン?だれだよ?
オレは抑えられ身動きが取れない。
事の成り行きを目で追うしかできないでいる。
そして再度、銃口を乃々佳の頭に向けられた。
「やめろ!」
♪カチ
そしてついに乃々佳も撃たれてしまった。
だがオレの時と同じだ。銃声がない。
また不発?
「先生。確認できました。
間違いありません」
「では運びだそう」
お前らなにやってるんだ?
リーダーは黒服に指図すると
オレに視線を戻し話し掛ける。
「私は前田だ」
だから何?
珍しくもない名前だ。
「だめだ。ジュンもおかしい」
リーダーは携帯を使い、どこかへ電話する。
「私だ。ここにもう1人対象がいた。
通信障害が原因だろう。
ああ、かまわない。全て強制切断していい。
念のため再起動も頼む。
ちょっと待て。
オレは黒服に押さえつけられてる状態で
リーダーがオレに話し掛ける。
「キミを元の場所へ戻す。
3日後に、ここへ戻って来てくれ」
「なんの話だ」
「戻れば言ってる意味が分かる。
彼女の方は私から説明しておく。
家にもちゃんと送り届けとくから
安心したまえ」
彼女とは岩井さんのことか。
本当に送り返してくれるのか?
この状況で信用でるか。
話の流れからオレもどこかに
運ばれるらしい。
「済まん。切っていいぞ!」
突然、視界が真っ暗となった。




