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(075) 岩井さんがヤバいです

◇◇◇ 市街地 ◇◇◇


ノノンとの面会を終え、オレは寮へと

徒歩で帰宅中。


1人の夜道は寂しい。

閑静(かんせい)な住宅街を歩いてるのもある。

以前はどこに行くにしても1人を好んだ。

相手の顔を伺いながら興味のない会話を

するのが苦手だったからだ。


それがノノンが現れてからである。

オレの感覚が変わったのは。

ノノンと一緒に過ごした時間は楽しかった。

誰かと旅行に行きたい。思い出を作りたい。

という気持ちになったのは初めて。

コミニケションを取るのが苦手な

オレをそこまで変えさせたんだ。


いっしょにランド行きたかった。

ノノンにあの風景を見せてやりたかった。

病院で眠る乃々(ののか)をノノンと決めつけ

話し掛けてるけど、合ってるんだよな?


乃々佳がノノンであると結びける証拠がある。

天使の姿でいい、答えを聞かせてくれ。

無反応の乃々佳に心が折れそうだ。

オレの声を聞けば目覚めるものと

自負していのたに。

どうやらオレの中二病だったらしい。


ノノンはどうして姿を消したのだろう?

代わりに乃々佳が昏睡状態から目覚めた

のなら納得する。

病院に担ぎこまれてから乃々佳の状態は

変わってないと聞く。

どうも説明がつなかい。


♪ツチツツ、ツツ。ツチツツ、ツツ。


岩井さんからLine電話だ。

DMにしてくれよ。

関わりたくないんですけど。


「細倉です。どうしました?」

「どうしよう」


また何か事件でも?

あなた、また泣いてます?


「どうしたらいいと思う?」


だから何が?

求められてることが分かりません。

インスタのアカウントが

抹消されたとかか?

言っておくがオレに相談しても

解決できんぞ。


「落ち着け。

 何のことについて話してるか

 説明してくれないか?」

「インスタに投稿された詐欺サイト

 あったでしょ?

 被害者が1万人を超えた」


そんなに多いの?

被害総額を聞くのが怖いんですが。


「岩井さんは乗っ取られたんだから

 関係ないでしょ?」

「被害者のふりして共犯なのでは?

 って噂されてる。

 私、悪いことしない。どうしよう」


やばさが桁違いだ。

なぜオレに相談してきた?

無理だよ。オレには手に負えない。

見捨てる訳にもいかないし。困った。


「私、学校やめる」


マジか!?

それって引き留めて欲しいのか?

気軽に『やめるな』とも言えねぇ。

もし俺だったら海外に逃亡するな。


「だって私の名前と住所が

 ネットでさらされてる。

 もう学校行けない」


うわぁ。最悪な事態だ。

家にも居たくねぇやつじゃん。

逃げ出しても家族に迷惑掛かるしな。

あれから悪化してる。

住所がさらされてるのはヤバい。

金沢さんより酷い状況だ。


金沢さんも岩井さんも裁判になるな。

アンチが過激な行動に出なきゃいいけど。


岩井さんは、オレに助けを求めて来た。

何とかしてあげたい。


オレに出来る事はなんだ?

寮にかくまってあげたいけど男子寮だ。


このまま放置したらきっと自殺するかも。

一緒に居てやるとか希望を与えないと。

とりあえず、家から遠ざけないと。

明日の約束をすれば、

今日は変な気は起こさないだろう。


「ゴメン。解決策がみつからない。

 明日オレと1日デートしないか。

 嫌なことを忘れさせてやる」

「私の弱みに付け込んで、

 ホテルに連れ込む気でいます?」


なるほど。その発想はなかったわ。

ありがてぇ、教えてくれてありがとう。

と言いたいところだが。


「いいね、それ!

 残念ながら貧乏学生にはホテルを借りる

 お金がねぇ」

「あっそ。別にハルキとならホテル行っても

 いいって思ってますけど」


女子の口からそんなこと言うな。

そうとう追い込まれてるな、こいつ。


あなたみたいな美人さんが

オレを好きにならないのは知ってます。

もう免疫があるので勘違いしません。


「ピアノコンクールに行くけど。

 一緒にどう?行こうよ。」

「出場するの?」


「Aクラスの篠崎さんがね」

「もしかして彼女?」


「残念ながら違う。Youtube仲間」

「へぇ、ハルキってYoutuberだったんだ」


「まぁね」

「ハルキって意外と謎よね」


「じゃぁ、行く。

 どんな服装すればいいんだろう。

 カジュアルな感じでいい?

 ハルキはどんな格好で行くの?」


しまった!

まったく考えてなかった。

あぶねぇ。

Tシャツ、短パンで行くところだったよ。

恥ず。


「制服!?」


服なんて持ってないよ。

学校の制服しか思いつかない。


「あ、ははは。いいわね。制服デート。

 してみたかった」


電話出たときは泣き声だったけど

今は楽しそうだ。

この電話で少しは事件の事、

忘れられたのならよかった。

明日以降も予定を作って忙しくさせないと。


なるほど。

金沢さんにも同じことすればいいんだ。

オレにできることはこれしかない。


ということで明日、岩井さんと

デートすることになった。

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